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Re: 日本経済がインフレからハイパーインフレになるとき 投稿者 あっしら 日時 2002 年 4 月 23 日 23:41:20:

(回答先: Re: レス1:この作品は転載させて頂いたものです 投稿者 PBS 日時 2002 年 4 月 23 日 22:03:01)

PBSさん、レスありがとうございます。


オリジナルを書いた方は、数多くいる経済学者や経済アナリストのなかではずっとまともな識見をもっていると思っています。

簡単ですが、疑念の点に絞って書いてみました。

>日本経済が現状、インフレにならずに済んでいるのは、この作者のいう、『パラドッ
>クス』によって抑えられているからなのでしょうか。

政府不信がインフレを阻止しているという解釈は、穿ちすぎだと思います。

インフレになっていないのは大きな需要不足の「大不況」であることがベースですが、金融緩和という状況との絡みで言えば、日銀と商業銀行のあいだで国債を介在させながらとてつもない大きな“現金プール”を造っていることに起因しています。

レスで書いたように、金融緩和とはその“現金プール”にお金を貯めることでしかありませんから、M2+CDがいくら増えようと、インフレにはなりません。

この“現金プール”が決壊したときには、日本経済もインフレに転じると思います。
決壊のきっかけはいくつか考えられますが、貿易収支の赤字化→経常収支の赤字化もその一つです。

貿易収支(経常収支)の赤字化+「長期大不況」による失業者増大・年金給付危機・健保財政危機で、日本はインフレからハイパーインフレに進む可能性が高いと思っています。
(これに米国政府のデフォルトが加わるととんでもない事態に陥ります)

貿易収支の赤字化で円安になれば、輸入物価が上昇するので、上昇した商品を仕入れる企業の資金需要も増大し、コストアップした製品や輸入品の販売価格も上昇します。こうして、経済社会全体で資金需要を増大することになります。
このときに問題になるのは、貿易赤字から経常赤字にまで進んで、経常赤字と財政赤字が両方存在する“双子の赤字”をどうやって埋めるかということです。
“双子の赤字”を国内の貯蓄で埋められるあいだはいいのですが、それができなくなれば、経済が縮小するのを我慢して輸入を減少させるか(輸出品向けの輸入を優先する)、外国からの資金流入に頼ることになります。(推移から見て、たぶん、貿易赤字になった後で輸出を増大させて貿易黒字に戻すのは無理でしょう。工場が“よその国”に移転することで生じる産業空洞化が貿易赤字の原因だからです)

国際基軸通貨国である米国は、外国から資金を流入させることで“双子の赤字”をしのぎましたが、日本が米国と同じ手法でしのぐことはできません。
現状でも日本国債の格付けは下がっていますから、日本国債を購入しようという外国投資家と政府が発行したい日本国債の金額バランスはとれないでしょう。

それを乗り越えるために国債の利払いや償還をデフォルトすることも考えられますが、日本国債は国内の貯蓄でほとんどまかなわれているので、デフォルトを行うと日本経済全体が壊滅的な打撃を受けることになります。
そうはできないと政府も考えるでしょうから、日銀の直接引き受け(商業銀行に貸し出してそれで国債を買わせ、国債を日銀に売るという今のような手法も似たものですが)で国債を発行するしかありません。
利払い及び借り換え向けの国債も年を追うごとに膨らむ一方で、「長期大不況」で年金・雇用保険・健康保険の保険料の収入が減るなかで高齢化社会が進みますから、財政の赤字=新規国債の発行高も急増します。

これは、通常のインフレではなく、ハイパーインフレをもたらすことになります。

国民が最低限の生存を維持するための財政支出は行わなければならないのに、産業基盤ががたがたになっていて、経常赤字だから輸入もままならないという状況では、物価が急上昇するのを避けることはできません。
そして、物価が上がったために、国民が最低限の生存を維持するための財政支出をさらに増やさなければならないという悪循環でハイパーインフレになります。

これは、敗戦直後の日本で、産業基盤がめちゃくちゃになったときに復員兵が増えて財政支出を増やすことで進んだハイパーインフレに似たものです。

前から書いていますが、このような状況に陥らないように経済を立て直す猶予期間は、ここ1年、ぎりぎりでも後2年ほどしかないと見ています。

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