(回答先: 「財政赤字は家庭内マージャンの負けと同じ」(全文) 投稿者 あぼーん3世 日時 2002 年 3 月 30 日 14:58:52)
>(日本の借金は国内で作ったもの。財政赤字過敏症は無用。米国国債
>3000億ドル、国有財産91兆円、国民の金融資産1400兆円を担保に
>国債を発行すれば暴落はあり得ない)
国民の金融資産は、個々人が保有している金融資産の統計的総和であって、国家や“国民共有”のものではない。加藤 寛氏が主導して共産主義革命を起こすというのなら、少しは認めてもいいが...
さらに言えば、国民の金融資産は、どこかに大事に保管されているものではなく、銀行の国債引き受けで日本国債や米国債にかたちを変えていたり、銀行の貸し付けで企業や他の個人に使われていたり、銀行の投資で株式にかたちを変えたりしているものである。
日銀が保有している米国債にしても、必ず償還されるとは限らないものである。
>日本の財政赤字はあくまで国内で作った借金であることに注意する必要があります。
>例えて言えば、家庭内麻雀でお父さん(政府)が大きく負けてしまったと思えば良
>い。お母さんも子供も(国民)大勝しているので黒字です。
この説明は、逆に言えば、日本は、米国のように「対外債務デフォルト」を宣言して借金から逃げることもできないということである。
共産主義者や笹川良一氏の“思想”に傾倒しているのかどうかはわからないが、日本国民は一つの家族に属しているわけではない。私の家族はなんとか安泰に、私の家族だけだどうしてこんな目に合うのというのが現実である。
さらに言えるのは、国債で信用が創造されている(商業銀行は国債を担保にして日銀から借り入れをしている)問題にふれていないという致命的な欠陥を持っている。
「例えて言えば、家庭内麻雀でお父さん(政府)が大きく負けてしまったと思えば良
い。お母さんも子供も(国民)大勝しているのだが、それだけにとどまらず、お母さんは、お父さん(政府)の負け証書を担保にして物を買ったりしているので、お父さんが負けを支払えなくなったり負け証書の価値が下がると困った事態に陥る」
政府は、国債発行分を財政支出してしているが、その同じ国債を使って、商業銀行は中央銀行からお金を借り入れ、企業などに貸し付けしたり投資をしたりしているのである。
1兆円の国債を発行することで、2兆円分近くの取引が行われているのである。
>(増税)ところがお母さんも子供も出し渋っています。そこでお父さんは
>仕方なくお金を借りる事にした(国債の発行)。国債を買ったのはお母さんと
>子供だった。家の外(外国)からはお金を借りていません。ここが財政破綻
>した諸外国とは根本的に違います。ですから「国債暴落」はいまのところ
>ありません。
いざというときは共産主義政策を採って個人の私有財産を没収するという心づもりを政府が持っていれば、国債暴落は避けられるかも知れない。
>私は危機は先送りされただけと思っていますが、だからと言って日本経済が
>潰れない理由もあると考えています。
日本経済は、政府と日銀が潰さないような適切な政策を採れば、つぶれないことは確かである。
>理由の一つは日本銀行の考え方が変わってきたこと。貨幣の発行量を思いきっ
>て増やしています。貨幣を増やしても巷には出回っていませんが、いずれ「お
>鍋」から溢れてくる。
『いずれ「お鍋」から溢れてくる』では困るのである。
溢れるのではなく合理的に汲み出す政策を採らなければ、溢れる事態(大量の貧民救済に乗り出さなければなったとき)になれば、さらに追加の国債発行と貨幣発行量の増大でハイパーインフレになってしまうだろう。
>第二に企業のリストラが進んでROE(株主資本利益率)が上がってきました。
首切りで個別企業のROEが上がっても、国民経済全体は「デフレ不況」から脱することはできない。それどころか、収益性が上がり価格競争力が増すと、シェア拡大と生き残りのために、商品価格を下げてさらにデフレを深化させることになる。
首切りではなく、需要の拡大でROEが上がらない限り、現在の「デフレ不況」から脱却することはできない。
>そして、第三番目に団塊の世代が五○歳を越えました。子供の教育費の負担が少
>なくなり、住宅ローンも軽くなり、多少リスクのあることにもお金を投じよう
>となってきました。
ウソでしょう。
国民の多くは、「年金問題」で老後に危機感を抱くようになっているので、多少たりともリスクがあることは避けたいと思っている。
>もちろん業種によっては整理、淘汰は進んでいくでしょう。でも、それが日本経済全
>体の危機に直結するとは思いません。
整理、淘汰が進んでいけば、日本経済全体の危機につながる可能性はある。
>では、4月以降株価は上がるか。私は株式市場が動き出す要素はあると
>思います。一つには、昨秋成立した401K(確定拠出型年金)の導入が
>進みます。これは、株式にカネが回ることを意味します。
2,3月に株価をした支えするために大量にぶち込んだ公的資金を上回る金額が、401kで投入されるのなら一応そうは言えるが...
>第二に、これも昨年末に成立した証券税制がじわっと効いてきます。使い勝手が悪い
>という評判ですが、それゆえにかえってプロには儲けるチャンスが開かれています。
税制変更で、株式市場の基調を変えることはできない。
参考:『クリントン時代の「経済的繁栄」と「財政赤字」は“高額所得者増税”から始まった』( http://www.asyura.com/sora/dispute1/msg/374.html )の後半部分
>株式市場が少し温かくなってくると、不良債権の重しが外れます。すると、金融機関
>にも少し余裕が出てくるでしょう。
株式市場の問題は問わないとして、金融機関に少し余裕が出てきたからといっても、現在の「デフレ不況」のなかで貸し出しが増えるわけがない。
金融機関は、今貸し出しを増やすことは、不良債権を増やすことだという認識を持っている。「デフレ不況」の出口が見えない限り、貸し出しが増えることはない。
地域通貨以降については後日アップします。