(回答先: 「財政赤字は家庭内マージャンの負けと同じ」週間東洋経済3/30増大号 投稿者 あぼーん3世 日時 2002 年 3 月 29 日 18:00:45)
千葉商科大学学長 加藤 寛
「財政赤字は家庭内麻雀の負けと同じ」(全文)
(日本の借金は国内で作ったもの。財政赤字過敏症は無用。米国国債
3000億ドル、国有財産91兆円、国民の金融資産1400兆円を担保に
国債を発行すれば暴落はあり得ない)
財政赤字が膨らみ、日本は財政破綻した諸外国と同じようになるかのよう
に言う人がいます。ただ、日本の財政赤字はあくまで国内で作った借金で
あることに注意する必要があります。例えて言えば、家庭内麻雀でお父さん
(政府)が大きく負けてしまったと思えば良い。お母さんも子供も(国民)
大勝しているので黒字です。
たばこ銭が無くなったお父さんは、子供やお母さんにカネをよこせといい
ます。(増税)ところがお母さんも子供も出し渋っています。そこでお父さんは
仕方なくお金を借りる事にした(国債の発行)。国債を買ったのはお母さんと
子供だった。家の外(外国)からはお金を借りていません。ここが財政破綻
した諸外国とは根本的に違います。ですから「国債暴落」はいまのところ
ありません。
暴落するとしたら、5〜6年後に日本経済が上昇する時に、
国が支出を増やし続けて国債を発行する時です。政府の財務残高は666兆円
あります。欧州統合の際に用いられたマーストリヒト条約では、政府の借金は
GDPの60%までは「通常の借金」であるとしています。これに倣えば
666兆円ある債務のうち、360兆円は差し引いて構わない。残った
303兆円のうち三分のニは地方分、中央が処理しなければならない借金は
100兆円にも満たない。そんなに騒いで心配するほどでもありません。
第一、日本には国有財産九十一兆円、保有する米国国債が3000億ドル、
国民の金融資産が1400兆円あります。これはすべて国債発行の根拠になって
います。
第一、日本には国有財産九十一兆円、保有する米国国債が3000億ドル、
国民の金融資産が1400兆円あります。これはすべて国債発行の根拠になって
います。(財務省は国債の発行とこれらを結び付けたがりませんが)
国際的な各付け会社も、よく見れば担保があるわけだから、格下げする
必要もありません。では、言われてきた「危機」は去ったのか。私は危機は
先送りされただけと思っていますが、だからと言って日本経済が潰れない
理由もあると考えています。理由の一つは日本銀行の考え方が変わってきた
こと。貨幣の発行量を思いきって増やしています。貨幣を増やしても巷には
出回っていませんが、いずれ「お鍋」から溢れてくる。第二に企業の
リストラが進んでROE(株主資本利益率)が上がってきました。そして、
第三番目に団塊の世代が五○歳を越えました。子供の教育費の負担が少なく
なり、住宅ローンも軽くなり、多少リスクのあることにもお金を投じよう
となってきました。もちろん業種によっては整理、淘汰は進んでいく
でしょう。でも、それが日本経済全体の危機に直結するとは思いません。
では、4月以降株価は上がるか。私は株式市場が動き出す要素はあると
思います。一つには、昨秋成立した401K(確定拠出型年金)の導入が
進みます。これは、株式にカネが回ることを意味します。第二に、これも
昨年末に成立した証券税制がじわっと効いてきます。使い勝手が悪いという
評判ですが、それゆえにかえってプロには儲けるチャンスが開かれています。
株式市場が少し温かくなってくると、不良債権の重しが外れます。すると、
金融機関にも少し余裕が出てくるでしょう。
ここですべきなのが、退蔵していると減価する地域通貨の導入です。
地域限定の通貨を発行して、地域の消費を活性化すればよい。たとえば、
一年間で生活費に使った消費税分は地域通貨で還付するのも一案です。
すでに竹中(平蔵・経済財政担当大臣)さんにも話をしました。早速、
通気通貨を導入している現地に視察しに行ったようですよ。今、生産性
本部で調整しています。6月ごろには政府に答申できると思います。
かつてオーストリアのヴェルグルという村がありました。人口5000人
の村ですが、400人ほどの失業者がいました。これを助けるために
地域通貨を導入したそうです。するとこれが当たって、失業率は半年で
ほぼゼロになったというのです。おカネはしまっとくから景気が上向かない
わけです。ですから、地域通貨に利息は付きません。
経済の活性化を妨げているのは、官僚の規制です。今度の予算では、
道路特定財源に回していた5000億円を削減しました。これはよいこと
ですが、これを使わなくてはなりません。その使い道の一つは介護など
ですが、たとえばケアハウスを作ろうとすると、「過去に経験のある人しか
認めません」という厚生労働省の規制にぶつかる。また都心に住みたいと
いう需要があっても、空室の目立つオフィスを居住用に変える事は
できません。建築基準法によって阻まれているからです。こうした規制を
外して行かないと、本当の経済活性化は起きません。