投稿者 FP親衛隊國家保安本部 日時 2000 年 8 月 10 日 13:17:22:
「知事という地位とその力に酔いしれ、おごりたかぶっていた」。十日午前、大阪地裁で開かれた前大阪府知事・横山ノック被告(68)による強制わいせつ事件の判決公判。女子大生(22)の激しい被害感情を酌んで、判決には、横山被告を批判する厳しい言葉が並んだ。知事に挑んだ被害者の勇気ある告訴から一年四か月。執行猶予付きながら有罪に問われた前知事は、険しい表情で判決に聞き入っていた。
■法 廷
「被告人を懲役一年六月、執行猶予三年に処する」
大阪地裁で最も広い二〇一号法廷。午前十時三分、川合昌幸裁判長が判決主文を読み上げた。
同地裁には、この日早朝から傍聴希望者が押しかけ、同地裁としては過去最高の九百十九人がわずか五十七枚の傍聴券を求めて長い列を作り、現職知事の犯罪に対する関心の高さを示した。
■横山被告
「判決はどうあれ、これからはだれの目にも触れずひっそりと暮らしていきたい」
判決前、横山被告は弁護人らにこう漏らした。知人には、「あと十年、生きられるかどうかと医師に言われた」とも話した。知事辞職後は、〈表舞台〉に出ることもなく、大阪市北区のマンションにこもったままだった。
周辺によると、収入は、元参院議員としての年金と、ハワイで知人と共同経営する飲食店の配当金ぐらいという。一方、事業資金などの借金が一億円以上あるとみられ、有罪確定後には、府から知事一期目の退職金(五千六百八十四万円)返還も迫られる。知事時代の側近の一人は、「退職金は二期目の選挙費用などに全部、使ったはず。返済猶予か分納、あるいは自己破産を申し立てることになるかも」と話す。
■女子大生
「執行猶予は不満だが、自分の言ったことがすべて認められたことには満足している」。被害者の女子大生は判決後、こんなコメントを出した。
事件が明るみに出たのは、女子大生が一人で弁護士事務所に飛び込み、横山被告を告訴してから。周囲の冷たい視線にもさらされ、体重は七キロも減った。多くの友人も去ったという。「全国民を敵に回した気になった。このまま犯罪者にされると思った」と、胸の内を漏らしたこともある。
起訴直前の最終聴取にも「告訴を取り下げるつもりはない。謝って済むなら、警察はいりません」と答え、証人尋問でも「厳重な実刑を望みます」と信念を貫いた。
■大阪府庁
「罪は許せないし、大阪府政を混乱させた責任も重大だ。厳しく断罪してほしかった」「年齢を考えると、実刑は酷。ほっとした」など、府庁内では様々な声が交錯した。
若手職員の一人は「府民も職員もさんざん恥ずかしい思いをさせられた。実刑が当然だった」と不満げに話した。被告の対応にも「府民や府議会、職員には、いまだにウソをついたままの状態。説明も謝罪もないのはおかしい」と憤る。