投稿者 倉田佳典 日時 2000 年 8 月 22 日 18:01:30:
森首相買春疑惑で警視庁に調査命令 犯歴確認されれば即刻退陣は必至
森喜朗首相=写真=が買春疑惑を報じた月刊誌「噂の真相」を名誉棄損で訴えた民事訴訟の第3回口頭弁論が22日午後1時15分から開かれ、東京地裁(信濃孝一裁判長)は被告側(噂の真相)が求めていた首相の犯歴に関する前代未聞といえる調査嘱託を採用した。これにより東京地裁はただちに警視庁に“調査命令”を発するが、もし、首相の犯歴が事実であることが確認されれば、首相の進退問題に直結することは確実だ。
この日の口頭弁論で、東京地裁は、噂の真相の報道が公益の利害に関するものであり、その掲載が公益目的性が否定されないことを確認したうえで、「原告(=森首相)の方が(犯歴の)真否を対象にしている以上、(原告個人の)プライバシーの問題を考える必要もない」と判断した。
そのうえで、噂の真相側による「昭和23年2月当時、森首相が東京都売春等防止条例違反で警視庁に逮捕された事実があるから確認してほしい」という申し立てを認め、警視庁に対して調査嘱託を行うことを決めた。
噂の真相は6、7、9月号で「『サメの脳ミソ』『ノミの心臓』を持つ、森喜朗“総理失格”の人間性の証明」などと題して連続追及し、森首相のものとして犯歴番号「30−74086577」と右手と左手の指紋番号「77967」「79997」を公表している。
さらに、「現在も警視庁が保管している40年以上前の犯歴データの中に森喜朗の『売春検挙歴』が含まれている、というのも動かしがたい事実なのだ。しかも過去、森の売春検挙歴を記録した『前歴カード』なるものまで存在するというのである」と書いている。
こうした一連の報道について、森首相は「事実無根」と全面否定しているが、噂の真相側の岡留安則編集長は報道直後、夕刊フジの取材に「記事および犯歴番号、指紋番号には自信を持っている。そのことは首相自身が一番分かっているはず」と答えていた。
異例中の異例といえる調査嘱託だが、「強制力を伴うものの従わなかった場合の罰則規定はない」(噂の真相側弁護士)という。そこで、ボールを投げられた形の警視庁の対応が注目されるが、捜査の機密保持に関わることであるうえ、行政機関のトップに関わることから、警視庁が拒否することも考えられる。
これに対し、ある野党関係者は「神奈川県警や新潟県警などの警察不祥事が続発した直後でもあり、裁判所が公開を求めた国民の重大関心事についてむげに拒否することはできないのでは? もし、首相が否定していた犯歴が出てきたら、森政権は即刻退陣しなければならないだろう」と話している。
板倉宏日大法学部教授の話 「裁判所が犯歴を証拠と認めて出せといった以上、警視庁も出さざるを得ないと思います。一応、提出を拒んだ際には20万円以下の過料を課すという規定もあるのですが、これまでに提出を拒んだという事例を、私は聞いたことはありません。森首相側としては、裁判所の決定に異議を唱えることもできるかもしれませんが、これまで首相側が出さないように反対していて、出せという命令が出たわけですから、異議を申し立てても無理でしょう。とにかく出せといわれれば、出さないわけにはいかないんです。森首相にすれば大ピンチだと思いますね。本当に犯歴があれば、森首相側が敗訴となるのは間違いありませんからね」
土本武司帝京大教授の話 「今回の裁判所の判断は、買春行為が政治家になってからやったのなら、公共の利害に関する事実になるが、学生当時の話であれば微妙なところだ。裁判所の命令を断るには、相当の理由が必要となるが、『捜査上の秘密』はそれに相当する。警視庁が命令に応じない場合、裁判所が職権で警視庁を強制捜索することも考えられるが、民事訴訟で行われている以上、裁判所がそこまで強硬に出るとは考えにくい。報道が真実かどうかの立証責任は、『噂の真相』側にあるので、犯歴番号を知ったニュースソースを明らかにして立証するか、ニュースソースを秘匿するのなら、何か第2の手段を講じざるを得ない」