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日刊ゲンダイ6月21日
「共産党批判」本の魑魅魍魎
全国で3000万枚もの広告ビラを配布
「自民党・野中筋」「オウム」「ナチス礼賛の超右翼」
過熱する選挙戦で、共産党をターゲットにした大量のビラがまかれている。不破委員
長は、「40種類ぐらいある」と言っているが、なかでも目立つのが「共産党批判
本」の広告の体裁をとったビラである。全国で3000万枚はまかれたといわれるこ
のビラの〃出所〃をたどっていくと、魑魅魍魎の人脈が浮上してくるのだ。
問題の本は「誰も知らない日本共産党のホンネ」で、出版元は雷韻出版(東京・目
黒)だ。広告ビラが大量に出回った背景を関係者がこう説明する.「今年2月、この
出版社にある大手紙の元記者が〃自費出版したい〃と原稿を持ちこんできた」さらに
国会解散の直前にナゾの男が、〃5万部買い取るから、本の宣伝のチラシを選挙用に
使わせてほしい〃と申し入れてきた。出版社側が〃(自民党の)野中(幹事長)さん
の関係か〃と尋ねると〃それに近いと思ってもらって間遠いない〃と答えたそうで
す」
その後、本は複数の書店を通じて買い取られ、しばらくすると、本の広告ビラが深夜
にあちこちでばらまかれた。広告ビラといっても、中身は共産党批判のオンパレー
ド。共産党の関係者がビラを配っていた男を捕まえると、創価学会員だったという話
もある。
本の定価は1400円。5万部を買い取ると7000万円になる。宣伝ビラ3000
万枚の費用が1億1OOO万円。「読売」や「毎日」など全国紙にも広告を出してい
るので、ざっと2億円の経費がかかっていることになる。
しかも、この出版社がちょっと変わっていて、オウムやナチズムを信奉する超右翼団
体のカゲがちらつくのだ。この出版社から上祐史浩との対談本「オウム解体」を出し
た宮崎学氏が言う。
「上祐氏は、インタビューに応じる条件としてこの出版社を指定してきた。横浜の本
部で会見したときもこの会社の社長が一緒にいました」
一時、オウムに肩入れしていたというこの出版社の社長は、超国家主義の政治団体の
代表でもある。
「日本民族の優位性、一党独裁政権を目指すこの団体は、昨年暮れ、ナチスドイツの
カギ十字の旗を掲げて米国大使館に押しかけています」(事情通)
何やらウサン臭い団体が見え隠れするこの本の広告ビラ。野中幹事長は「知らない」
と言っているが、ある県連事務所に本が平積みになっていたという目撃談もある。い
くつかの地方の自民党県連に間い合わせると「送りましょうか」「たくさんあるから
2,3冊あげますよ」という返事。不気昧な広告ビラ作戦である。