【奴らはこうしてエリートを手なずける】

 
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投稿者 陰謀王子☆彡 日時 2000 年 6 月 17 日 23:29:33:

【奴らはこうしてエリートを手なずける】

例えば、
あなたが最高学府に在籍している“将来を約束された”エリートで、
いよいよ官庁に就職も決まり、卒業旅行なんかへ出かけることになったとしよう。
旅行先をどこにしようかと考えていると、二年前に卒業した先輩から、
「ロング・ビーチに知り合いがいるから、ディズニーランドにでも行って来いよ」
と、お誘いを受ける。友人も連れていっていいか? と訊くと、
「いざ勤めだしたら、なかなか一人旅なんて出来ないぞ。今のうちに遊んでおけよ」
と言われ、あなたは「なるほど」と思い、
ロサンジェルスまで一人旅に出かけることが決まった。

ロサンジェルス国際空港に着くと、
先輩の友人だという、ジェームスさん(30歳)が迎えに来てくれた。
ジェームスさんは、なんだかよくわからないけど、IT関係の職場に勤めているらしい。
それより、あなたが気になったのは、
ジェームスさんに同行してきたパツキンの女性、キャサリンさん(2?歳)だった。
「ミスタ・ジェイムスの彼女?」と、あなたが訊くと、
「違う。従妹(いとこ)だよ。キャサリンは日本びいきなんだ」との事。
ここでキャサリンが微笑む。なんか、いい感じ♪
まだ陽が高いので、サンタモニカまで出かけて食事をすることに。
「住まいはロング・ビーチなのでは?」と、あなたが訊く。すると、
「ロング・ビーチにあるのはヴィラさ」白い歯を見せてジェームスは答える。
30歳にして別荘持ちとは……エルドラド・ツーリングクーペに乗り込みながら、
よくわからないけど、IT関係ってのはそんなに儲かるものなのか? とあなたは思う。
そして海の見えるホテルでの食事……うまいのかまずいのか、よくわからない。
ただ、こんな人たちと知り合いなんて、先輩もなかなかやるなぁ……
と思いつつ、あなたはキャサリンに見とれる。キャサリン微笑む。イイ感じ。
食事を終えると、ジェームスの車で送ってもらい、
あなたは予約していたホテルの部屋に入った。
明日は、キャサリンがハリウッドを案内してくれるそうだ。
あなたは眠りに引き込まれていく。来てよかったかも……。

早いもので、ロスアンジェルスに来て五日が過ぎた。
今日はキャサリンと一緒に、ディズニーランドへ出かけることになっている。
三日前のハリウッド、一昨日のドジャースタジアム、昨日のビーチ……
すっかりキャサリンとも仲良くなった。実は昨日、ちゅーもしちゃった(はぁと)。
ジェームスさんは忙しいそうで、初日以来あっていない。
キャサリンが迎えにやってきた。
さあ、ディズニーランドだ。

ディズニーランドからの帰り道、疲れたのでご休憩。
もう、すっかり、あなたはキャサリンの虜(とりこ)。
でも、なんか出来過ぎてないか? ま、いいや。

いよいよ明日、日本に帰る。
でも、あなたは帰りたくない。
キャサリンが部屋にやってくる。
「おもしろい場所へつれてってあげる」だってさ(ワクワク)。
連れて行かれたのは、ダウナー系の“クラブ”だった。
でも、日本と違って、かなり危ない雰囲気。
完全にラリってるのが一目でわかるようなヤツもいる。
ビビリながら、あなたはキャサリンの後を付いていく。
「これ、あげる」
キャサリンから渡されたぁゃιげな錠剤。これってヤバそう。
「大丈夫。ほら」
彼女が飲むのを見て、あなたもそれを飲んだ。
だって、今日で“アメリカ”は最後だから……。
でも、
なんだ、なんてことない。ヤバい薬かと思ったけど、効かないじゃん……
と思ったのも、つかの間、音楽に合わせて、フロアが揺れて見え始めた。
なんだか気持ちいい……意識が遠のく……。

気が付くと、あなたはホテルのベッドの上。
キャサリンの他に、クラブで見かけた男女が数人……。
ぼんやりとした視界に、
銀色のストローを鼻に差し入れ、紙の上から何かを吸い込んでいる男の姿が移った。
コカインだ!
驚いて上体を起こしたあなたに、キャサリンが気づく。
そして近づいてくる。手にストローとペーパーと白い粉を持って……。

そこから先のことは、何も憶えてない……。

いや、忘れようとしていたのかもしれない……(笑ぃ)。

 ………………三年後………………

仕事は順調だった。
入社三年目になって、仕事の内容も変わり、他の部署との交流も増えた。
ようやく、あなたも官庁の一員として認められたような気分。

久々の休日、
真夜中に電話がかかってきた。
「誰だよ、こんな時間に……?」
あなたは口を尖らせて受話器を手にする。
「はい、どなた? あ……!」
相手は、三年前にあったきりの、キャサリンだった。
悪い予感。
調べて欲しいことがあると言っている。
勤め先の資料?
何を言い出すんだ? 訳がわからない。
そんなあなたに構わず、キャサリンは喋る。
三年前のこと、違法、ドラッグ、証拠……
認めたくはなかった自分の立場が、
ようやく、はっきりと、わかってしまった……。
受話器を置いたあなたは、弱々しく頭を振って、その場に座り込む。
「まさか、先輩も、仲間だったなんて……」

 ………………数年後………………

職場でしか得られない【情報】を、
定期的に“キャサリン”に引き渡しながら、
あなたは官庁に勤め続けている。その情報が何に使われているのかも知らないまま……。

例の“ジェームス”を紹介してくれた先輩とは、一度だけあって話した。
先輩も、卒業旅行で、手なずけられたらしい……。
初めて先輩に回ってきた“仕事”は、
あなたをジェームスの元へおびき出すことだったようだ……。

自分のような人間が、この国には沢山いるかと思うと、あなたは凄まじい不安に駆られる。
しかし、自分のような一介の公務員に、何が出来るというのだ……。
それに、そんなに重要だとは思えない資料を横流ししているだけで、
それほどの悪事を働いているわけじゃない……と、あなたは思おうとする……。

さらに歳月は流れ……

あなたは、どこからともなく“ジェームス”や“キャサリン”の情報を得る。
もちろん、二人は“いとこ”などではなかった。
二人が米中央情報局と関係していることも、今更どうだっていいが、知ってしまった……。

それでも、
あなたの公務員としての仕事は、
順調すぎるほど順調に進んでいる。

そういう人たちが目をつけるくらいの将来性なのだから、
当然、同期では真っ先に役職に付いた。

競争にうち勝ってきた優秀な上司の顔を見るたび、あなたは思う……
この人も、手なずけられているのだ ろうか……と。


以上、フィクション。
やけに長くなってしまった……(^^;)




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