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ローマ（ＣＮＮ）
イタリアのチャンピ大統領は１３日、1981年５月にバチカンのサンピエトロ広場でローマ法王ヨハネ・パウロ２世を狙撃した罪で終身刑を受け、現在服役中のトルコ人メーメット・アリ・アジャ受刑者（４３）に恩赦を与えた。これを受け、アジャ受刑者は同日夜、トルコの軍用機で出国した。
大統領スポークスマンによると、１３日朝に大統領がアジャ受刑者に恩赦を与える命令に署名、法相も本国送還を命じる書類に署名したという。
同受刑者は、トルコで新聞編集者を殺害した容疑で逮捕された後、脱走中に法王暗殺事件を起こした。トルコでは被疑者不在のまま裁判が行われ、同受刑者は死刑判決を受けたが、1991年の特赦で禁固１０年に減刑された。本国送還後は、編集者殺害の罪で１０年間服役する見込みという。
同受刑者は、サンピエトロ広場でオープンカーに乗っていた法王を銃で狙撃、その場ですぐに逮捕された。法王は暗殺未遂事件の３日後、犯人を許すと宣言、収監中の犯人と対面もしている。
バチカンのナバロ報道官によると、法王は大統領の決定に満足しているという。
同報道官は、「周知のとおり、ヨハネ・パウロ２世は狙撃犯をすぐに許し、かねてから、イタリア法が許すならば、恩赦を与えることに賛成しているとイタリア当局に伝えていた」と述べた。
アジャ受刑者の弁護団によると、恩赦の知らせを受け、同受刑者は法王と法王庁に感謝したという。
ファティマの聖母マリアのおかげ？
法王は１９年前の狙撃事件で、腹部、左手、右腕に傷を負ったが、一命をとりとめたのはファティマの聖母マリアのおかげと信じているという。
法王庁は、法王がポルトガルの聖地のファティマを先月１３日に訪れた際、長らく謎とされた「ファティマの第３の予言」が、1981年の同じ５月１３日におきた法王暗殺未遂事件を暗示したことを明らかにした。
共謀の証拠はなし
アジャ受刑者は、トルコの右翼グループのメンバーだが、法王狙撃の動機については、矛盾する供述を行っている。
検察当局は、暗殺未遂事件の２審で、狙撃を東欧の民主化運動と関連付けようと試みたが、共謀を証明することはできなかった。
検察当局は、ブルガリアの秘密警察がソ連の要請でアジャ氏を雇ったとの説を唱えていた。祖国ポーランドの自由独立労組「連帯」の熱烈な支持者だった法王が、同国での自由投票による政権誕生に貢献したとされていることがその背景にある。
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