Tweet |
回答先: ゲノム科学時代の新たな電脳ウイルスの予兆…… 投稿者 佐藤雅彦 日時 2000 年 5 月 20 日 20:37:12:
パソコン・プライバシー時代の終わりの始まり?
――他人のハードディスクの内容を覗き見して
お気に入りのファイルをパクってくる検索エンジンが登場――
●要するに『ナップスター』や『グヌーテラ』のようなファイル交換システムを、検索エンジンに応用するという構想なのですが、実用上はいろいろと問題がある。 まず、ゴミ情報をつかまされる可能性――いいや必然性――が圧倒的に高まるので“検索エンジン”としての存在意義が怪しくなる。 (これを解決する方法は……あるだろうけどね、例えば中国やフランスが現在企てているらしいインターネット利用免許制とか、資格試験でジャンク・ユーザを排除するとかいう“最終的解決”が……。 いわばインターネット・ユーザの“優生学的選別”と「劣悪」ユーザへの“ホロコースト”だけどさ……。 それはインターネット・システムの自殺を意味するでしょうね。) それに音楽ファイルや映像ファイルに偽装したウイルスをばらまいておくことだって、はるかに容易になるだろう。
●こういう“検索テクノロジー”は、電脳ネット諜報をおこなうスパイ当局にとっては、重宝な技術に違いない。なにせ、アングロアメリカン諜報界は、これを格段に非効率な方法で――といっても格段に強力な電子的オートメイション技術を駆使して――「エシェロン」全世界通信傍受システムで実行してきたわけだから。 しかし今後は、こうしたテクノロジーが個人でも使えるようになる、ということでもある。
●私個人としては、『グヌーテラ』のようなソフトを基盤にして画期的なサイバー大量殺戮ウイルスが開発される危険性を懸念しているが、IT業界はこうしたソフトや検索システムの出現を「合法的なファイル共有革命」と評価している。 確実に「革命」は起こりつつある。 革命は戦争――むろんサイバー戦争――の様式をがらりと変えることになるだろう。
★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★
★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★
●●個人のハードディスクまで検索するエンジン登場へ(上)●●
http://www.hotwired.co.jp/news/news/20000607302.html
Chris Oakes
2000年6月6日 3:00am PDT 5日(米国時間)設立されたポインテラ社( http://www.pointera.com/ )のマニシュ・ビジュ最高経営責任者(CEO)は、ウェブ検索はナップスター時代に入る必要がある、と語る。
同CEOによると、「わが社はナップスター型のファイル共有システムをすべての文書に広げ、ポータルがこれを使用できるようにしていくつもりだ。これで、『ヤフー』で『ブリトニー・スピアーズ』と入力して検索すると、テキスト文書だけでなく、他人のハードディスクにある文書へのリンクも得ることができる」という。
ポインテラ社は、自らをポータルのためのアプリケーション・サービス・プロバイダー(ASP)と呼んでいる。同社は、この「共有エンジン」のライセンスを、ヤフーやアルタビスタなどのポータルや検索サイトに供与したいとしている。ちょうど、検索会社米インクトミ社( http://www.inktomi.com/ )が、自社の技術をヤフー、アメリカ・オンライン(AOL)、MSNなどのポータルにライセンス供与しているのと同様に。
ビジュCEOは、ウェブポータルの検索結果に、ユーザーのパソコン上にある個人的なファイルを追加するよう、ポータル各社を説得したいという。これは、議論を呼んでいる音楽交換ソフトウェア『ナップスター』および、それに似た『グヌーテラ』(Gnutella)におけるファイル交換と同様の発想だ。
ポインテラ技術を使用すると、ユーザーは、音楽、映画、ウェブページから、ワープロ文書に至るまで、あらゆる種類のファイルの検索、ダウンロード、共有が行なえるようになる。ポインテラは、すべての標準的なウェブブラウザー上で、Javaアプレットとして動作する。
「ユーザーの観点からすると、『ヤフー』と何ら変わりはない――すべての種類のファイルを検索して、その検索結果はウェブブラウザーからやって来る感じで現れる。だから、通常のユーザーには、検索エンジンとの違いはまずわからない」
ポインテラ社は提携会社の名前を挙げなかったが、3大ポータルの1つと話し合いを進めていると述べた。
ビジュCEOにいわせれば、ナップスター時代は、インターネット検索の持つ意味に大きな変革をもたらし、大手ポータルとコンテンツサイトが、同CEOが「合法的なファイル共有革命」と呼ぶものに参加できるようにするものだ。それは、「ヤフー社がナップスターの領域に合法的に入る」ような革命だ。
「合法的」という言葉を使うのは、現在ナップスター社が、著作権で保護されたメディアを容易に交換できるようにしたとして訴えられているからだ。しかしビジュCEOは、検索エンジン経由にすることで、ポインテラは最初から法の保護を得られると述べた。ポインテラ社によると、組み込まれた著作権強制機能によって、検索サイトは著作権保持者の権利を保護できるという。またビジュCEOは、『デジタル・ミレニアム著作権法』(DMCA)では、検索エンジンの著作権保護義務は免除されていると述べた。
しかし、『サーチエンジン・ウォッチ』 ( http://www.searchenginewatch.com/ )の編集者、ダニー・サリバン氏は、ウェブ検索にナップスターのような付属機能が必要かどうかについて、若干疑問視している。
サリバン氏は、「ナップスターのような技術を使用することは、さまざまな種類のユーザーにとってすばらしいことだ(ろう)が、検索エンジン自体の代わりになるとは思わない。ユーザーが何を捜しているのかに、大きくかかってくる」と述べた。
同氏は、既存の検索サービスを使うほうが探しやすいようなファイルはたくさんあると言う。「たとえば、ウェブ上で画像を捜すなら――画像もやはりファイルだ――『アルタビスタ』のような画像検索エンジンを使った方がいいだろう……なぜならこうした画像というのは、急いで掲示されたり消されたりするものではないからだ」
(6/8に続く) [日本語版:天野美保/合原弘子]
WIRED NEWS原文(English)
http://www.wired.com/news/technology/0,1282,36760,00.html
-----------------------------------------------------------
●●個人のハードディスクまで検索するエンジン登場へ(下)●●
Chris Oakes
2000年6月6日 3:00am PDT (6/7から続 く)
サリバン氏はさらに、ファイル共有技術では通常、ファイルの中身は検索しないので、検索結果はあまり有益なものではないと付け加えた。ウェブ検索では、コンテンツの中身を検索語への適合度で分析することができるが、ファイル名の検索では、そうした有益な結果は出ない。
インクトミ社の技術担当副社長、マシュー・ホール氏も、従来のウェブ検索にナップスター型の検索機能を追加することが有用なのか、疑問視している。
ホール氏は、検索インデックスに数え切れないほどのパソコン上のハードディスクを追加するという考えは、すでに大量に存在する検索結果に望ましくない負荷をかけることになるだろうと述べた。
「何らかの適切な技術なしに、検索結果の量だけが増えたら、さらに悪い結果が生じる」とホール氏。ポインテラ社は「確かにこれまでとは違うものを追加するかもしれない。(しかし)われわれの顧客が欲しがるようなものは加わらないだろう。興味深いものだが、われわれのビジネスと接点はないようだ」
また、セキュリティーの問題もある。ファイル共有技術では、ユーザーが検索サイトに対し、ユーザーのハードディスクを走査して、どのファイルを共有すべきかを調べる許可を与える必要がある。
サリバン氏は、「そんなことをしたがらない人もいるだろう。私ならちょっと不安を感じる」と語った。
ポインテラ社のソフトウェアのようなものは、ハッカーやウイルスを現在よりもコンピューターに侵入しやすくする可能性があると、同氏は述べた。
しかしポインテラ社のビジュCEOは、こうした危険性の問題は、電子メール経由のセキュリティー問題と大きな違いはないと言う。
「汎用的な文書共有という意味で、新しいセキュリティー問題が生まれつつある。友人からMP3ファイルを受け取っても、これが本当にMP3ファイルなのか、ウイルスなのかは分からないのだ」とビジュCEO。「そして、共有セキュリティー問題に対するソリューションは基本的に、現在、ウイルスに関してウイルススキャンをアプリケーションにフックさせるという形で部分的に行なわれているのと同じものだと私は考えている。われわれがやろうとしているのは、まさにこれだ」
サリバン氏は、ナップスターのような分散型検索モデルは、主に内部ネットワークを利用しているような組織では有用だと結論づけた。このような場所では、ユーザーのパソコン上にあるファイルを共有する必要性が明確だからだ。
[日本語版:天野美保/岩坂 彰]
日本語版関連記事
・さらに便利になる音楽検索
・『ナップスター』はもはや問題ではない?
・遺伝子研究者が『ナップスター』技術の応用を検討
・MP3ファイル交換ならナップスターよりIRC
●・オープンソースの「MP3共有」プロジェクトに障害
(この記事は重要なので【参考】として下記に掲載しておきます)
WIRED NEWS原文(English)
http://www.wired.com/news/technology/0,1282,36760,00.html
-----------------------------------------------------------
-----------------------------------------------------------
【参考】
●●オープンソースの「MP3共有」プロジェクトに障害●●
http://www.hotwired.co.jp/news/news/Technology/story/3879.html
Christopher Jones
2000年3月15日 1:25pm PST 米アメリカ・オンライン(AOL)社の音楽部門、米ナルソフト社( http://www.nullsoft.com/ )のメンバーによって開始されたオープンソース・プロジェクトが14日(米国時間)、ネット上に発表されてほんの数時間後に中止された。
ナルソフト社の創立者で、人気のあるMP3プレーヤー『ウィンアンプ』を開発したジャスティン・フランケル氏とトム・ペッパー氏は、ファイルを共用するソフトウェアツールを開発している。これは、ネット上でユーザー同士がMP3ファイルを共有するためには、オンラインで音楽ファイルを共有できることで人気の高い『ナップスター』(Napster)に勝るかもしれないツールだ。
『グヌーテラ』(Gnutella)と呼ばれているこのプロジェクトは、現在のベータ版段階以上には進まないかもしれない。もしAOL社がこれを、レコード会社である米ワーナー・ミュージック社や英EMIレコード・ミュージック社に対する脅威だと考えればだ。ワーナー社およびEMI社は、合併が承認されれば、年内にAOL社の一部となる予定だ。
「グヌーテラ・ソフトは、無許可で独自に行なわれていたプロジェクトだった。このソフトにアクセスできたウェブサイトは現在閉鎖されている」と、AOL社でスピナーおよびウィンアンプ・プロジェクトの統括責任者を務めるジョシュ・フェルザー氏は語った。
グヌーテラの作者たちは、これ以上のコメントはできないと語った。
全米レコード工業会(RIAA)は昨年12月、米ナップスター社に対して訴訟を起こし、ナップスターは、著作権のある音楽の違法コピーおよび配信を助長すると主張した( http://www.hotwired.co.jp/news/news/Business/story/3358.html )。 もしAOL社がグヌーテラを同じように見ているのであれば、ナルソフト社の社員たちは開発を続けられないかもしれない。
『スラッシュドット』( http://www.slashdot.org/ )は14日、グヌーテラ計画に関する情報を伝えた。その後、ナルソフト社サイトのグヌーテラのページにトラフィックが殺到し、同日遅くにサイトが閉鎖になる前に、数千のダウンロードが行なわれた。
「スラッシュドットのサイトを見たユーザーが殺到したため、ベータグループの募集は締め切られた。グヌーテラのバージョン1.0をリリースする前に、ネットワークの安定性をテストするため、1000人のメンバーからなる非公開のベータグループのためのメーリングリストを作る予定だ」とサイトには書かれていた。
ナップスター・プログラムはユーザーにファイルを共用させるために集中型のサーバーシステムを使っているが、グヌーテラは、一企業の動きと関係なく自ら成長するようなネットワークを作るよう設計された。
ユーザーは、このプログラムをインストールしたあと、他の「サーバント」コンピューターと接続し、参加ユーザーの鎖を作る。この構造によって1対1あるいは多対多の接続ができ、ネットワーク管理者がソフトの妨害をするのは難しくなる(ナップスターの場合、最近いくつかの 大学で大学のネットワーク管理者がこのソフトを使えなくするというケースがあった)。
「サーバント・コンピューターが分散しているおかげで、大学のネットワーク管理者がグヌーテラサービスへのアクセスを妨害しようとしても、非常に困難になる……音楽を聞くポートをユーザーが変えられるため、管理者がアクセスを妨害するのはいっそう難しい」と、閉鎖される前のサイトには書かれていた。
ナルソフト社はMP3ムーブメント最初期の革新者であり、最初の人気プレーヤー、ウィンアンプを作った。そのとき以来、ナップスターのようなプログラムによって、MP3はさらに大きな現象となっている。
ナップスター的なプログラムは他にもある。『Imesh』( http://www.imesh.com/ )や『キュートMX』( http://www.cutemx.com/ )などがそうで、ユーザーはこれらを使うと、ネット上でマルチメディア・ファイルを見つけてダウンロードできる。また『グナップ』( http://gnap.sourceforge.net/ )など、開発中のオープンソース・プログラムもいくつかある。グナップは、GNU(グヌー)ジェネラル・バブリック・ライセンスに基づいている。
さらに、『フリーネット』( http://freenet.sourceforge.net/ )と呼ばれる開発中のネットワーク( http://www.hotwired.co.jp/news/news/3849.html )があり、これはグヌーテラと同じく集中型の管理インフラを持たない形で計画されている。
「ジャスティンとトムは、ウィンアンプとシャウトキャストのメーカー、ナルソフト社で働いている。ね? AOL社だって良いものを提供できるのさ」と14日、グヌーテラのサイトには書かれていた。
AOL社のフェルザー氏は、ナルソフト社の創立者らがこの副プロジェクトを継続できるかどうかについてコメントしなかった。
[日本語版:大津哲子/岩坂 彰]