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その小柄な耳のとがった老人は言った。
「わしのまだ若い頃じゃったわい。商人と工人の国であの子が生まれたのは...
皆があの子の誕生を喜んでおったと思ったのにのう。
ちょうどそのころその国は戦の真っ最中じゃ。
ある日突然お前の国には世界制覇をたくらむ悪魔の子がおる。そやつがおる限り
この戦は収まることがない。そう脅されたのじゃ。
商人と工人なんぞ、所詮が弱いもんじゃて、あれ以上戦にまきこまれたくなかったんじゃな。
あの子は着の身着のままで野に追い出されたしもうた。」
そこで老人は息をついだ。
「歴史は皮肉なもんじゃ。今世界を統べる王はそう言ってきた国から生まれた者じゃ...」
言葉が切れた。
再び口を開くと老人はおかしなことを言い出した。
「時にお前さん、ご飯は好きかい...そうじゃろう。あれは旨い。」
「そもそもあの子の望みは異なる民の国を一つにまとめあげることなどではなかったのじゃ。
工人の技と、学者の知恵とを統一し、民の不自由をなくすることだったのじゃ。
それを思い出した時、まだまだあの子は希望を捨てなんだ。」
老人はひょいと懐から炊飯器を取り出した。
懐にこんなものを入れているとは得体の知れない老人である。
「これがなんじゃか分かるかな。
ここにあの子の意思がある。」
静かに目を閉じて右手をかざすと小さな音をたてて炊飯器は二つに割れた。
二つに割れた炊飯器から現れたのは一つのLSIチップであった。
「表の世界から放り出された子ではあったが、
もうひとつ別の世界に身を潜めて
ちゃんと力を蓄えておるのじゃよ。
いつか表の世界に返り咲いて、
あの子の夢見た世界を実現することができるかどうか
果たしてそんな日が本当に来るのやらどうやら、
わしにはわからんがのう。」
老人は皺だらけの顔をさらにくしゃくしゃにしながら言った。
そして我に返ったような顔をして言葉を続けた。
「さてあしたの朝はどうやって飯を炊くかのう。」
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組みこみ機器用OS分野でTronが頑張っていると私は聞いています。
もともとTronは大型コンピュータから組みこみ機器まで
全ての電子機器を統合するOSとして発想されたものです。
コアとなるパソコンOSで足場を築くことができなかったTronですが
今後テレビやビデオ等のデジタル家電にどう浸透してゆくか
そこに食いこむことができるかどうかが注目ポイントと思います。
Tronの有力パトロンは松下ですが、ここはソニーとはあまり
仲がよろしくない。しかもソニーは今絶好調。実はそこが
今Tronの置かれた一番の逆風なんじゃないかなぁ。
もしも松下の出したゲーム機(名前忘れた)が売れていたら...
Tronの現状に詳しい方がいらっしゃいましたら是非情報を
いただきたい。
それとも今の段階ではまだ伏せておいたほうが良いのでしょうか...(^^)