県、放射能測定を要請/劣化ウラン弾薬きょう流出

 
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投稿者 田中 光一 日時 2000 年 6 月 01 日 14:31:26:

 米軍から劣化ウラン弾の薬きょう数百発が民間の払い下げ業者に放出され、西原町の物資置き場に
放置されていた問題で、県は5月31日、米軍と日本政府に対し、周辺住民の不安を払しょくするた
め、人体に影響がないかを確認する放射能測定調査を現場で実施することを要請した。一方、翁長正
貞西原町長は、現場の土壌や地下水への影響調査のほか、劣化ウラン弾の薬きょうが民間に払い下げ
られた流出経路について、調査を求める姿勢を示した。
 琉球新報社は同日、払い下げ業者から譲り受けた薬きょうの放射線量の測定を琉球大学理学部化学
教室に依頼。その結果、異常値は検出されず、周辺住民の健康に及ぼす可能性は極めて薄いことが分
かった。
 在沖米海兵隊報道部は同日夕、「すべての薬きょうに害はない。使用した部隊によって、空で使用
済みであることが確認され、国防再利用売却事務所(DRMO)でスクラップとして売却している」
とコメント。放置されていた薬きょうの出所や、いつ、どこでウラン弾が使用されたのかなど、民間
への流出経路の核心部分については「調査中」と説明した。
 一方、政府は外務省が在日米軍や在日米大使館に対し、環境への影響や薬きょうの流出経路などに
ついて照会した。情報を得た上で、対応する方針。那覇防衛施設局は同日午後、在沖米海兵隊外交政
策部(G5)と話し合い、流出経路や環境への影響がないかを早期に確認するよう求めた。また、ほ
かにも同様な薬きょうが民間に放出されたケースがないかについても確認を求めた。
 数百個の薬きょうは31日中にも、業者が牧港補給地区のDRMOに運び出す予定だったが、県や
西原町が環境影響調査のために現場にとどめる必要があると要望したことから、物資置き場内に保管
されている。

ゆゆしき問題/稲嶺知事
 【東京】上京中の稲嶺恵一知事は31日、米軍の劣化ウラン弾の薬きょう数百発以上が、民間の払
い下げ業者に放出された問題について「報道されている通りとすれば、大変ゆゆしき問題だ。現在、
調査に入らせており具体的状況を見ながら対応したい」と述べた。

米軍は責任取って/業者”やっかい者”に困惑/施設局対応を批判
 「一刻も早く引き取ってほしい」という民間業者と「米軍との調整がつくまで現場に置いてほし
い」とする県や西原町の職員。5月31日、劣化ウラン弾の薬きょうが放置されていた西原町小那覇
の物資置き場では、薬きょうの運び出しをめぐり、時折厳しいやり取りが交わされた。米軍のずさん
な廃棄物管理から端を発した問題だけに、米軍のみによる調査を拒む自治体側の不信感もにじみ出
た。一方、政府が調査に乗り出す方針を表明したにもかかわらず、那覇防衛施設局の職員が現場に訪
れたのは、県や町職員、業者が引き揚げた後の午後4時すぎで、薬きょうの現物の確認もできなかっ
た。関係者からは国側の対応の遅れに不満の声も上がった。
 「危険があるかもしれない。とにかく引き取ってくれ」。午前8時、民間業者はキャンプ・キン
ザーにある国防再利用売却事務所(DRMO)を訪れ、担当責任者に訴えた。民間業者は「これでは
仕事にならない。販売した米軍に責任を取ってもらいたい」と話し、知るすべもないまま、劣化ウラ
ン弾の薬きょうを抱え込んでしまった困惑をあらわにした。
 西原町や県、浦添署が現場調査に訪れ、保管状態や期間、入手経路など業者に対して質問が相次い
だ。一刻でも早く、"やっかい者"を撤去したい業者は、クレーンで薬きょうの入ったドラム缶をつる
し、何度も運び出そうとした。県が「米軍へは県が立ち会い調査できるよう要請している。調整がつ
くまで米軍に持っていくのはやめてほしい」と何度も説得。関係者からは「米軍に持っていってしま
うと、どう処理されるのか分からない。調査したとしても県などの立ち会いがなければ、一方的な報
告になってしまう」と米軍主体の調査を危ぐする声も上がった。
 西原町の担当者は同町の公害対策審議会で独自で調査したいと薬きょう三本を持ち帰ろうとした
が、県の説得で元に戻した。
 額賀福志郎官房副長官が午前の記者会見で政府として調査する考えを示していたが、那覇防衛施設
局の職員が姿を見せたのは午後4時15分ごろ。既に物資置き場には人気がなくなり、入り口にはか
ぎがかけられていた。
 田渕真二施設調整官は「施設局独自で調査する立場ではなく、見守る立場。県からは施設局に要望
もまだ来ていない」と話し、五分間余の現場視察を終えた。

汚染なくとも「核燃料物資」/琉大・平良教授
 劣化ウラン弾の薬きょうの放射能測定を実施した琉球大学理学部化学教室の平良初男教授(地球化
学、放射化学)は、薬きょうから放射能が検出されなかったことについて「劣化ウランの弾芯はアル
ミニウムで包まれているので、薬きょうに汚染はなかったのだろう」と説明。その上で「ただ劣化ウ
ランも核燃料物質の取り扱いを受けるべきものなので、汚染のない薬きょうでも民間に流出するのは
住民感情としては納得できないだろう」と述べた。
 測定は同学部の分析測定室で行われ、放射能の量と種類を測定できるガンマー線分光計装置の検出
機に薬きょうを2時間収納して測定した。

法的整備が急務/医療品、廃油も競売/商品にするか個別に判断
 劣化ウラン弾の薬きょうが民間業者に流出していた問題で、業者に薬きょうを鉄くずとして払い下
げていた沖縄の国防再利用売却事務所(DRMO)は31日午後、劣化ウラン弾の薬きょうが入札に
掛けられていた理由について「カートリッジ(薬きょう)は真ちゅうと鉄の二種類あり、似たような
形が多い。この件については現在、調査中でこれ以上のことは回答できない」と話していた。
 浦添市のキャンプ・キンザー内にあるDRMO沖縄には、県内の各米軍基地で発生した不用物や有
害廃棄物などがすべて集積される。DRMOでは、これらの物資を産業廃棄物としての処理に回す
か、商品として売却するかを個別に判断し、売却品は入札に掛けて民間業者らに払い下げる仕組み
だ。
 入札は二カ月に一度の国際入札と月に一度の地方入札の二種類実施されている。国際入札は韓国の
DRMO、佐世保、岩国、相模などの日本各地のDRMOの物資の合同入札で、地方入札は沖縄だけ
の物資を競売に掛けている。参加者は3日間の入札期間に競売品を記した冊子やキンザー内の倉庫に
展示された現物を見て購入希望金額を届け出て翌日朝の開票を待つ。売却品は輸入扱いとなるため、
落札者は税関検査を受けた後に代金を支払う。
 冊子をみると入札に掛けられる物資は医療用品、台所用品、照明、寝袋、工具、事務 用器具、自動
車部品、家具、じゅうたん、鉄くずなどさまざまだ。
 通常は産業廃棄物として処理されるような廃油も販売されることがあり、中部の業者が落札した廃
油入りドラム缶を物資置き場に長期間放置し、周囲の土壌に廃油が漏れ出していた事例もあった。廃
自動車も鉄くずとして売却されており、部品販売を目的に購入した業者の中には部品を抜き取った後
の車体を大量に積み上げている事例もある。

http://www.ryukyushimpo.co.jp/news01/2000/2000_06/000601a.html



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