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バス乗っ取り少年供述「電波が命令…」
学校に対する不満も
西日本鉄道の高速バス乗っ取り事件で、人質強要処罰法違反などの疑いで逮捕された佐賀市の少年(17)が、「目立ちたかった」「世の中に腹が立っている」などと動機を示唆する供述を始めていることが、8日までの広島県警西条署捜査本部の調べで分かった。また、少年は「電波が命令した。東の方へ行けといわれた」などと口にしており、同本部では、動機についてさらに調べを進めている。
少年は今年3月、刃物を持って自室に閉じこもり、精神障害で佐賀市内の国立療養所に入院。少年の両親は、部屋からサバイバルナイフなどの刃物類が多数見つかったことや、不可解な言動が目立ち始めたことで、佐賀県警に相談していた。入院した少年は同県警の署員に対して、「中学時代にいじめられたが、学校は何もしてくれなかった」と、学校に対する不満を述べていたという。
また、入院の直前、少年が母親に対して「殺してやる」と叫ぶなど、危険な言動をエスカレートさせていたことも、捜査本部の調べで分かった。
関係者によると、少年は中学時代から荒れ始め、飼い犬を蹴るなど動物を虐待するようになっていた。平成10年4月に高校を中退し、自宅に引きこもるようになってからは、家族に対してもしばしば暴力を振るうようになっていた。
捜査本部では、こうした経緯や少年の供述から、少年が社会への強い不満を募らせていたものとみている。しかし、なぜバスを乗っ取ったかなど、具体的な動機や事件の核心部分になると黙り込んでしまうため、さらに慎重に聴取を進める。
「電波が命令した」と供述していることについては、少年がバスを乗っ取った後、九州から東方向にバスを走らせて「霞が関へ行け」と命令しており、捜査本部で関連を調べている。
また、少年が携帯電話で警察との駆け引きを続けていた最中に、人質の自宅の電話番号を聞き出し、家族を脅していたことも判明。最年少の乗客だった石橋優希ちゃん(6)=佐賀県久保田町、思斉小1年=の父親や他の女性乗客の兄に電話をかけ、「けん銃を持ってくるよう警察に言え。さもないと娘の命が危ない」などと脅迫していた。
捜査本部では今週中に、少年が乗車した佐賀市から逮捕された小谷サービスエリアまで、少年を立ち合わせた上で、同型のバスを使って実況見分を行うことを決めた。
同本部は、拘置期限の14日にも殺人などの容疑で少年を再逮捕する方針を固めている。これまでの調べや犯行時の状況から、少年の刑事責任は問えるとの見方を強めているもようだ。しかし、慎重を期すため、殺人などの容疑の拘置期限終了後に、鑑定留置して責任能力の有無を詳しく調べる方針。