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「地震暴動日本でも」英紙に発言
【ロンドン13日=沢村亙】 石原慎太郎・東京都知事が十二日、英紙ガーディアンとのインタビューで「ロサンゼルス地震では黒人やヒスパニックが強盗したでしょう。このようなことは日本でも必ず起きる」と発言したことがわかった。実際には一九九四年のロス地震で深刻な略奪や暴動は起きていない。マイノリティー(人種的少数者)の存在が治安への脅威であるかのように示唆した石原氏の発言は波紋を呼びそうだ。
ロス地震でカリフォルニア州は、九二年の人種暴動の再発を防ぐため、約一五〇〇人の州兵を動員し、市内に夜間外出禁止令を出した。米国では、マイノリティーをとりまく深刻な差別や貧困が人種暴動の背景にあり、不法移民問題とは切り離してとらえるのが常識的な理解だ。石原氏のこの発言は「問題なのは不法滞在の外国人」とした記者会見での説明とも食い違っている。
さらに、在日外国人から人種差別との批判が出ていることについて、「彼らは差別でインフェリオリティ・コンプレックス(劣等感)を持っているので反発している」と発言。「私に人種差別(の意図)はない」と述べた。
インタビューをした同紙のジョナサン・ワッツ記者が「もし、英国で政治家がこんな発言をしたら大騒ぎになるが」と話したところ、石原氏は「そう? どうして?」とけげんな表情だったという。
インタビューの一部は十三日付のガーディアンで報じられた。ワッツ記者は「石原氏自身には差別という意識がないようだ。人種問題について、日本人の認識の浅さを示していると思った」と話している。[朝日4/14]
「三国人発言は人種差別撤廃条約違反」
国連機関に通報へ 在日人権団体 調査・勧告求める
旧植民地出身者に対する差別的な呼称とされた「三国人」という言葉を使い、不法入国者による凶悪犯罪の多さや騒動の可能性を指摘した石原慎太郎・東京都知事の発言について、在日本朝鮮人人権協会(柳光守会長)は「人種差別撤廃条約違反」として、国連事務総長、国連人権高等弁務官、同条約の実施状況を審査する条約委員会に対し、十四日午後にも発言内容を通報するとともに、調査と再発防止措置を要請することを決めた。
同協会は在日朝鮮人の弁護士、学者、教育者らによる調査・研究団体。同条約には「公の機関が人種差別を助長または扇動すること」を禁じる条項があり、日本は同条項を含めて締結。政府の報告書などをもとに定期的に国内実施状況の審査が行われる。
さらに、国連には個人や団体が人権委員会などに直接訴えることができる通報制度がある。
同協会が準備している通報文書では、石原知事が「その非を認めず、同趣旨の発言を繰り返している」と指摘。「日本政府がこれを放置している」ことも「条約違反だ」として、高等弁務官らに緊急調査や日本政府への勧告を求めている。[4/14 朝日]