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http://village.infoweb.ne.jp/~fwgk8572/tcdd/tcdd9805.html
環境ホルモンのひとつであるビスフェノールAを例に取る。これはポリカーボネート製哺乳瓶や食器、缶詰の内側のエポキシ樹脂塗料などから高濃度で溶出する。溶出量は平均して、約1−60ppb(10億分の1)だ。食品衛生法の基準は2500ppb以下だから法的には問題ない。しかし,この基準は環境ホルモン作用を想定した実験に基づくものではない。
米国ミズーリ大学のボン・サール氏の行った実験がある。2ppbと20ppbのビスフェノールを混ぜたエサ妊娠マウスに1週間与え、生まれたきた子供を調べたところ、2ppbの群では精巣上体の萎縮,20ppbの群では精子の生産能力が落ちた。スーパーで出回っている缶詰からの溶出量(9〜60ppb)より低い。ビスフェノールAのホルモン作用として,これまで「2〜5ppbで培養の乳ガン細胞を増やす」という例が挙げられてきた。産業界は「これは試験管での話。実際の人間への影響とは全く違う」と反論してきたが,サール氏の動物実験は、この反論は通用しない。現在追試を行っていて,その結果が出るのは今年8月ごろという。まぎれもなく,現時点で「灰色の環境ホルモン」ということだ。
日本化学工業協会は,「環境ホルモン問題についてのQ&A」で,「ビスフェノールAは蓄積性は低く,今の溶出量なら許容基準よりはるかに少なく,乳幼児に悪影響はない。一部マスコミは,PCBやダイオキシンと同様の猛毒物質として扱っている」と反論する。
日本の野生動物の生殖異常の実態はどうなっているのか。たとえ微量でも。プラスチック関連溶出物を毎日摂取し続けた場合,本当に影響はないのだろうか。そうした解明すべき問題にもっと政府が予算をつぎ込み,基本的なデータを集め、国民の健康を守ってほしい。そういう気持ちに根差した報道のどこが“過剰”なのだろうか。