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回答先: チップ埋め込みで、歩行可能に 下肢不随の人が 投稿者 倉田佳典 日時 2000 年 3 月 25 日 10:00:33:
英国で開発された画期的な技術のおかげで半身不随の女性が再び歩けるようになり、同じ苦しみを味わっている数多くの人々に希望を与えている。
ランバー・アーテリアル・ルート・スティミュレイティング・インプラント(LARSI)と呼ばれるこの装置は電気的な衝撃を使って筋肉を動かすもので、自動車の衝突事故で1990年に腰から下が不随となってしまったジュリー・ヒルさん(37歳)によってテスト使用されている。
6. 5cmのディスクが彼女の右胸郭に挿入されており、脊髄神経の末端につながれているが、こ れによって彼女は立ち上がって20歩ほど歩いたり、特殊な三輪車をこぐ事ができる。ディスクは小型のコントロール・ボックスで作動し、起立・歩行・三輪車こぎという3つの動きができるようになっている。
写真はユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)の中庭でジュリーさんが生物工学者であるニック・ドナルドソン博士に彼女のサイクリング技術を披露しているところである。この技術の設計を担当したドナルドソン博士は「彼女が三輪車を乗り回し、我々が手を携えて見事な進歩を遂げているのを見るのは素晴らしい事である。数多くの対麻痺患者にとって有益なものになる可能性が高いので、我々のプロジェクトの重要性はますます広がっている。我々としてはこのプロジェクトの対象を男性を含む5人の患者に増やしたいと思っている」と語っている。
コントロール・ボックスをプログラムしたのはUCLの電子技師であるティム・パーキンス氏であり、ドナルドソン博士とパーキンス氏は脳卒中や硬化症の患者にもこの装置を使ってもらいたいと考えている。 イングランド南部チチェスター近郊のローランズ・キャッスルに住んでいるジュリーさんは、LARSIの開発のために5年間にわたり週一回の割合でUCLの研究チームに協力している。「この技術がなかったら、私は現在のような良好な健康状態を保てなかった。開発作業は大変だが、この三輪車は私に楽しさを与えてくれている。他の母親と同じように、自分の息子と一緒に外を乗り回すのは最高である」と彼女は述べている。
フリーメイソンのグランド・チャリティから今後5年間の資金として15万ポンドが寄付された事で、研究は新たな勢いを得た。UCLではこのお金でエンジニアを雇い、LARSIの設計・製造を専門に手がけるという欧州では他に例を見ない仕事を任せようとしている。グランド・チャリティのチーフ・エグゼクティブを務めているダッドリー・ウェンズレー氏は「新たに加わるスタッフはこの装置を改良し、商品化の段階に持っていく事ができるであろう」と話している。
ジュリーさんには夫のケヴィンさん(42歳)との間に、ネーサン君(16歳)とダニエル君(14歳)という2人の子供がいる。彼女がLARSIを取付ける手術を受けたのは1994年の事である。
収縮が必要な筋肉の上の皮膚に電極を置く事によってLARSIは作動する。スイッチを入れると電流が最初の電極から流れ、皮膚やその下の筋肉を経由して第二の電極に戻って、筋肉の収縮を引き起こす。この動きは麻痺していない筋肉と同じように起こり、収縮させるために体のエネルギー供給を利用する。 ケヴィンさんは「昨年の5月に妻が三輪車に乗っているのを初めて見た時は最高の気分だった。エンジニアの方々に心から感謝している」と語っている。
チチェスターで販売員の仕事をしていたジュリーさんが車で帰宅する途中に事故が起こり、脊椎を切断した。事故の後、彼女は8ヶ月間をかけて体をつくり直した。現在はLARSIの助けを借りながら自宅で働いている。
Dr Nick Donaldson,
Medical Physics University College London
Shropshire House, 11 Capper Street, London WC1E 6JA,
United Kingdom
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