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2000-03-24
■チップ埋め込みで、歩行可能に 下肢不随の人が
交通事故に起因する麻痺で歩けなかったフランス人が、チップの埋め込み手術の結果立てるようになり、コントローラーを組み込んだ杖(つえ)の助けを借りて歩けるようになった。欧州委員会が資金の半分を援助し、150万ユーロをかけた医療技術開発プロジェクトの初の成功例だ。
このフランス人は1990年に交通事故に遭い、両足が使えなくなった。2月に行われた手術が成功。患者は現在、専用のコントローラー内蔵の杖の助けを借りて歩けるようになったが、まだ車椅子も併用している。この手術に使われたチップは、立ち上がる動作と歩く動作をコントロールするもので「SUAW(stand up and walk)」チップと呼ばれている。
チップを提供した米IBMによると、皮下に埋め込まれた3.9x4.5ミリのチップから電極が筋繊維に接続され、電気信号で足の筋肉を刺激して動かす。チップを開発したのはフランスにあるIBMの研究所で、ロジックコアと2つのアナログデジタル変換回路、1つのデジタルアナログ変換回路が組み合わされている。
筋肉は正常だが、神経系に問題がある下肢の麻痺の場合に、神経に代わって刺激を送ることで歩行機能を取り戻そうとする技術で、今後も5例の手術が予定されている。実用化されれば、下肢麻痺の人に希望を与えることができそうだ。
[米IBMの発表]
http://www.ibm.com/news/2000/03/231.phtml
(合原 亮一)