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インド機乗っ取り事件、カシミール問題が背景か
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インディアン航空機の乗っ取り犯グループが、カシミール地方の独立運動に関
与したとされるパキスタン人宗教指導者、マスード・アズハル氏らの釈放を求め
たことで、事件の背景にカシミールをめぐるイスラム勢力の思惑が浮上してき
た。バジパイ政権はカシミール問題への強硬姿勢が総選挙での勝利に結びついた
だけに、釈放要求にどう対応するか、難しい選択を迫られている。
犯人グループはアズハル氏のほか、カシミール戦闘員数人の釈放を求めてい
る。アズハル氏は、カシミールのイスラム武装組織ハルカト・ウルムジャヒディ
ンの幹部と言われ、説教がうまく、多くの若者を組織に引き入れたとされる。パ
キスタンのイスラム教雑誌の編集者を務めていた1994年、インド側のジャ
ム・カシミール州を視察中、インド当局に逮捕された。
95年にも同氏の釈放を求めてイスラム武装組織が欧米人を誘拐する事件が起
きるなど、同氏はカシミールのインド支配地域の「奪回」を狙うイスラム勢力に
とって象徴的存在となっていた。今回も、5人組とみられる犯人の1人が「アズ
ハル氏の兄弟」を名乗っており、ハイジャックが同氏の釈放とともに、カシミー
ル問題に国際的な注目を集めるための犯行である可能性が強い。
バジパイ政権は、犯人の要求を検討する姿勢は示しつつ、テロへの断固とした
姿勢を強調。今年、パキスタンが支援するとみられる武装勢力がカシミールに侵
入した際、同政権は空爆などで押し返し、支持率を一気に高めた経緯もある。一
方、武力で劣るパキスタンはカシミール紛争を2国間から国際問題に格上げしよ
うとしてきたため、インド国内のマスコミには、パキスタンの事件への関与を疑
う論調さえ生まれている。首相は簡単に犯人の要求に応じにくくなる一方、ハイ
ジャック機が国交のないアフガンにあるため、特殊部隊による強硬作戦も取りに
くく、打開策が見えない状況が続く。
(20:42)