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回答先: 1996年より危険な現在の緊張 中台に挟まれ妙手ない米 投稿者 倉田佳典 日時 1999 年 8 月 20 日 19:29:17:
◎情報戦使い総統選に影響 中台緊張で中国のシナリオ
中台関係を「特殊な国と国」と定義した李登輝・台湾総統の「二
国論」が、台湾海峡の緊張を再び激化させ1カ月余り。中国は「祖
国分裂の危険な陰謀」と激しく非難、武力行使の可能性をほのめか
す「情報・心理戦」を展開しているが、中台交流窓口トップの訪台
中止の有無を含め、具体的行動は一切取っていない。香港や米国の
マスコミで流れる軍事行動の可能性を含め、中国の今後の行動シナ
リオを台湾側から描いた。
▽対米修復が最優先
中国の行動を決定する第一の要素は内的要因だ。21世紀に向け
た中国の戦略目標は、中国共産党の指導下で市場経済を発展させ、
台湾を統一し中華再興を図ることだ。李総統の「二国論」は主権を
揺るがし、李洪志氏の「法輪功」は、共産党の指導を危うくさせた。
しかし戦略目標は、経済中心のグローバル化と、中華再興という
ナショナリズムの相反する論理で成り立つ。「二人の李」はこの矛
盾を見事に突いた。
矛盾を覆い隠し戦略目標を達成する上で、対米関係の修復は当面
の最優先課題。9月のニュージーランドの米中首脳会談で、米国に
「台湾独立を支持しない」など「3つのノー」を再確認させ、国際
社会で「二国論」の孤立化を狙う。今回の中台緊張は、関係修復の
逆バネとして利用できる。
▽穏健路線
台湾政策の責任者の銭其シン副首相は、李発言と台湾当局とを別
々に対応する分断策を示唆した。この発言からみると、汪道涵・海
峡両岸関係協会会長の台湾訪問と交流窓口間の交流は、総統選の結
果が出るまで中止。台湾への情報・心理戦を継続し影響を与え、来
年の総統選に向け、中国に好ましい状況を狙う。
独立志向が強い民主進歩党の陳水扁候補の当選は阻止しなければ
ならない。緊張状態は有権者の安定・現状維持志向を誘発するため、
総統選直前の軍事演習は排除しない。このシナリオが最も可能性が
高いが、その前提になるのは米中関係の修復だ。
▽軍事行動の選択
軍事行動は、米中関係修復とWTO年内加盟が不調に終わった場
合、中台間の偶発的な軍事衝突が引き金となって起きる最悪のシナ
リオだ。しかし、台湾側は、軍事行動の可能性は少ないとみる。
その理由は(1)前回演習で2400億円の予算を費やした(2)
武力威嚇は日米軍事同盟を強化するだけ(3)中国自身の経済的打
撃が大きい−−などだ。
江沢民体制には、余りにもリスクが大きい選択だが、軍事選択に
出る可能性もある。政策決定をめぐり党中央が分裂した場合(天安
門事件型)や、偶発的な軍事衝突が歯止めを失って拡大した場合だ。
今のところ中台双方とも衝突回避で自制しており、その公算は小さ
い。(台北、共同) (了)
[共同 8月20日] ( 1999-08-20-16:05 )