Tweet |
◎より危険な現在の緊張 中台に挟まれ妙手ない米
【ワシントン20日共同】米紙ニューヨーク・タイムズのパトリ
ック・タイラー前北京特派員が著書で指摘した1996年3月の台
湾海峡危機は、李登輝総統の「2国論」で緊張が高まる現在の事態
も、中台の間に立つ米国が一歩対応を間違えば、本格戦争に発展す
る危うさをはらむことを如実に物語っている。
米国は79年に中国との国交正常化を決めた際、台湾の安全保障
への対応を定めた台湾関係法を制定した。同法は「台湾へのいかな
る武力行使」に対しても米国が対抗する権利を定めており、米議会
で多数派を握る共和党の反中国感情の強さから、いかなる形であれ
中国の台湾に対する「武力行使」を無視することは極めて難しい。
現在、米国は横須賀を母港とするキティホークとペルシャ湾岸に
向かう途中のコンステレーションの2隻の空母が西太平洋地域に展
開しており、96年3月と同じ「空母2隻によるけん制」はとれる
態勢だ。だが、憶測通りに中国が台湾側の島を進攻・占有する措置
に出た場合、前回のミサイル演習とは格段に厳しい対応が求められ、
米中軍事衝突の危機も一気に高まる。
こうした最悪のシナリオの回避のために、クリントン政権は9月
に予定される米中首脳会談や世界貿易機関(WTO)加盟交渉をテ
コに中国に自制を求める狙いだが、肝心の李総統が中国を怒らせ米
中関係を軍事的に緊張させている。来年3月の台湾総統選に向けて
一層の高まりが予想される中台の緊張回避の妙策を米国は簡単に見
つけられそうにない。 (了)
[共同 8月20日] ( 1999-08-20-16:29 )