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回答先: 治安状況はさらに悪化 国連要員の脱出始まる 投稿者 一刀斎 日時 1999 年 9 月 07 日 02:43:50:
◎東ティモール緊急ルポ 空焦がす黒煙、壊滅の街
【ディリ（東ティモール）７日共同】同時に市内の１０数カ所で
上がる黒煙がディリの空を焦がし、もはや耳慣れた発砲音が続いて
いる。東ティモールの中心都市ディリの街を７日、車で約４時間回
った。戒厳令布告を反映した治安部隊の動きは一向に見られず、か
えってインドネシア併合派民兵の破壊活動は激しくなっていた。
中心部コルメラ地区の市内最大の商店街に入ると、濃い煙で数メ
ートル前までしか見えない。人工樹脂が焼けるようなにおいが漂う。
立て並ぶ店は例外なく、炎と煙を上げて燃えているか、残がいだけ
が残っているか、扉を破られ略奪されているかだ。ボンベの爆発だ
ろうか、時折爆音が響く。
幹線道路では、警察本部など今や残り少ない避難所から、人と荷
物を満載したトラックが、次々と西へ向かう。荷台には、食料や服、
自転車、生きている鶏、豚、猿までいる。キリストの肖像も目立っ
た。行き先を聞くと「アタンブア（最も近い西ティモールの町）」
と皆が答える。やっと地獄から抜け出せる、と期待を膨らませてい
るのか、表情が明るい。
これまでは「西ティモールでは国軍が住民に武器を配り、独立派
を見つけて殺す計画だ」とのうわさがあり、「絶対西には行かない」
という人も多かった。しかし、食料も尽き、生存の道は脱出しかな
いと、多くの人があきらめたようだ。
国連東ティモール派遣団（ＵＮＡＭＥＴ）本部につながる道路は、
５０人以上の民兵が、大型トラックで道路を封鎖し、銃を持ってい
て近づけない。国連用車両の修理工場がわきで煙を上げていた。
「銃を突きつけられ、車を民兵に奪われた」。路上で避難民が警
官に泣きついている。日本の援助で調達した国連用の大型四輪駆動
車を略奪し、乗り回している民兵も目立つ。白い車体に大書された
「ＵＮ（国連）」の文字は、先週まで人々に安心感を与える目印だ
ったが、注意が必要だ。
６日に民兵が襲撃して避難民を追い出したノーベル平和賞受賞者
ベロ司教の公邸。放火された執務室は無残に黒く焦げている。毎日
午前６時、司教が主宰する５０人程度の小規模なミサで、賛美歌が
響いていた祈りの部屋も、めちゃくちゃに壊されていた。
近くで警備する兵士たちは「民兵は今夜は隣の赤十字国際委員会
を燃やすそうだ」と言う。赤十字スタッフも民兵に脅かされ、既に
退去。６日まで庭を埋め尽くして自炊していた避難民たちの影もな
い。人道援助の拠点がこのありさまだ。
隣にまだ無傷で残るホテルは、客も経営者もすべて避難。数人の
兵士が警備に立っていた。部屋をのぞくと、客が残した食料や日用
品を荒らした跡がある。
ホテルに１人だけ残っていた高齢の使用人が、顔見知りの記者に
駆け寄って来た。兵士に分からないよう英語でささやく。「略奪し
たのは、東ティモール人じゃないんだよ。民兵はまだ来てない。イ
ンドネシア兵だ」。
（了）
［共同 ９月 ７日］ ( 1999-09-07-21:13 )
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