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夕刊フジ 8月8日号
「買っちゃダメ」本の反響
間違い指摘してみて! アンケートに企業回答は3割弱
味の素相談センターに問い合わせ殺到
買ってはいけないが、バカ売れで、企業は戦々恐々?!何のこっちゃと思いきや、
「買ってはいけない」なる本が百万部突破確実の売れ行きとか。「週刊金曜日」の別
冊で化学調味料、カップ麺、シャンプーなどおなじみの六十七社、九十商品の安全性
を徹底的に批判したもの。買ってはいけないと指摘された商品を売る企業の反応は
−。
こちらはバカ売れ
本の内容を控えめに要約すると、たとえば某化学調味料には急性神経毒性があり、脳
損傷破壊を起こしかねない…といった過激な記述が随所に。事実なら、とても買う気
にはならなくなると思われる内容だ。
ケースによっては営業妨害や名誉棄損にもなりかねず、同誌に企業の抗議が殺到して
もおかしくない。だが、松尾信之編集長によると、「全掲載企業に、間違いや解釈の
違いなどを指摘してもらうアンケートを送りましたが、回答があったのは三割弱。抗
議や訂正要求も数社でした」。
そこで、自社の三商品を掲載された味の素の広報に電話取材。同社のお客様相談セン
ターには、問い合わせが殺到しており、担当者はピリピリムードだ。
同社の主張と見解は、インターネットの同社ホームページ(HP)に掲載していると
か。消費者にもHPと同様の説明をし、「心配なく、安心してお使いください」
の一言葉に納得してもらっているという。
だが一方で、例のアンケートには無回答で、同誌には「説明しても平行線になるだ
け」などと答えたという。その辺のことをさらに食い下がった。
──本の内容は間違っているんですね。
「原材料など、間違ったことを書かれています」
──正しくないと、いえばいいのでは。
「いや、そうでなく…」
──間違っていたら言うべきはずですが。
「そういう誘導尋間のような話をされてもねえ…」
何が何だかわからない答えだった。
一方、同じく批判された
日本マクドナルドの広報では、アンケートに「掲載内容はすべて間違いで、それぞれ
指摘し、訂正を求めました。正直、もう少しよくお調べになってから書籍にしていた
だきたかった」とキッパリ。
花王も「記事は、基本的に科学的で正確な検証に基づくものとは言い難く、イタズラ
に消費者の不安を煽りたてるもの」と語り、販売の現場に対して営業マンなどが安全
性などの詳細な説明をしているという。
各社とも、安全性を主張しながら同誌に対しては、どことなく及び腰にもみえる。そ
うした中で、日本ハムの広報担当者が本音をのぞかせた。「アンケートに答えたり対
応をすればするほど、むこうの利になる。それをもとに二弾、二弾とやるでしょうか
らね」。
ラブレターです
確かに同誌は、八月二十号にアンケートの集計結果を掲載予定だ。だが、今回の企画
に松尾信之編集長は「消費者に、せめて成分表くらいはよく見て商品を選んだらいか
がですか、と提言しているつもり。企業は消費者の動向を敏感にチェックし、その結
果、いい商品を作ってほしいというラブレターなんです」。
ちなみに、本紙が聞いた限り、本の影響で商品の売り上げが落ちた、という企業はな
かったが…。