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◎爆破テロ関与の証拠なし ラディン氏黒幕説に疑問符
【ニューヨーク14日共同】14日付の米紙ニューヨーク・タイ
ムズは、昨年8月のケニアとタンザニアの米大使館同時爆破事件の
黒幕として本人不在のまま米国で起訴されたサウジアラビア出身の
富豪ウサマ・ビン・ラディン氏について、米捜査当局は同氏の事件
への直接の関与を示す証拠を一切持ち合わせていないと報じた。
同紙は、ラディン氏を「スーパーマン」のように描く米捜査当局
の主張は実態とかけ離れていると指摘。米捜査当局は、事件はアフ
ガニスタンから放送を通じ激しい言葉で「米軍のサウジアラビアか
らの撤退」を要求する同氏の主張に感化された勢力が引き起こした
との見方を強めていると伝えている。
米政府、スーダン、パキスタンなどの関係者らへの詳細な取材に
基づく記事によると、「富豪」と伝えられるラディン氏の資産は実
際はかなり少なく、しかも底を突きつつある。また、米捜査当局は
起訴状で、同氏がスーダンでテロリスト養成キャンプを財政支援し
たとしているが、スーダンにはこうしたキャンプは存在しなかった
という。
また、ラディン氏は1996年6月のサウジでの米空軍施設爆破
テロの首謀者ともされているが、関与を示す証拠は一切ない。サウ
ジ内相のナエフ皇子は、ラディン氏は「治安上のトラブルを起こし
たことはない」と言明、事件は「同氏の思想に共鳴した者の犯行だ
ろう」と述べている。
米情報機関筋は、米捜査当局は正確な情報ではなく、多くの仮説
に基づいてラディン氏を「テロの黒幕」に仕立て上げたと語ってい
る。 (了)
[共同 6月14日] ( 1999-06-14-19:41 )