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◎地球の「震え」に季節変動 大気が原因、7月に最大
巨大地震の後に、地球が、寺の釣り鐘をたたいた時のように震え
続ける「自由振動」は、地震以外の時も常に発生しており、年間で
は7月ごろ振幅が最大となる季節変動のあることが東大地震研究所
の大学院生、西田究さん(25)らの研究で分かった。大気と地球
の相互作用を示す結果として注目される。東京で開かれている地球
惑星科学関連学会合同大会で8日、発表した。
西田さんらは、世界25カ所に設置された長周期地震計が観測し
た1989−97年のデータからまず、地震の影響による振動を除
去。これに陸と海の分布や日射量などの気象データも加えて解析し
た。
その結果、地球の自由振動は、大気擾乱(じょうらん)が最も激
しい7月に最大の約10ナノメートル(1ナノメートルは100万
分の1ミリ)となり、冬はそれよりも約10−20%減少し、最小
となっていた。
また振動の変化を細かく見ると、約220秒に1回と、260秒
に1回という2種類の長周期で極大が起きており、従来もこれらの
周期で起きると理論的に予測されていた地球と大気の“共鳴”が実
際に起きていることが分かったという。
西田さんらは、そのメカニズムについて、可視光線で暖められた
地面が赤外線を放出し、この赤外線によって暖められた大気が対流
を起こして激しく乱れ、地球をたたいているとみている。
西田さんは「振幅に季節変動があるのは、大気が原因と考えるの
が自然で、大気と固体地球を総合的に考える必要がある。火星や金
星でも同様の自由振動が予想される」と話している。 (了)
[共同 6月 8日] ( 1999-06-08-14:17 )