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回答先: 生理用品にダイオキシン(紙おむつも) 投稿者 ★阿修羅♪ 日時 1999 年 3 月 23 日 16:45:30:
ダイオキシンと女性の健康
http://ha5.seikyou.ne.jp/home/akahori/kankyou/filiano.html
より全文転載
ベス・アン・フィリアーノ
(環境科学専攻、コロンビア大学公衆健康学部)96年12月3日
原文は http://www.biobiz.com/terrafemme/dioxin.filiano.htm
原文掲載サイトの許可をとった抄訳です。ダイオキシンに関する長
い説明などは省いてあります。 訳者 別処珠樹
【はじめに】
ダイオキシンは人類が作りだした最強の毒物と言われてきたもので、芳香族
ハロゲン化炭化水素に属する一連の化合物です。 中でも活性がもっとも強
く、よく研究されているのは2,3,7,8-四塩化ジベンゾ・パラ・ジオキシン(T
CDD、 または単にダイオキシンと呼ばれることが多い)。ベトナム戦争で
枯葉剤として広く使われたエージェント ・オレンジの不純物の一つで、従軍
兵士が被ったいろいろの健康被害は、これが原因と考えられています。(中
略)
最近、生理用タンポンがダイオキシンを含むという事実に注目が集まってい
ます。 タンポンを塩素漂白するときにダイオキシンが副生成物として発生す
るのです。 1992年のこと、ダイオキシンが人々に与える健康リスクについて
連邦議会の委員会が調べていたとき、 それまで公開されていなかったFDA
(食品医薬品局)の報告に行き当たりました。その中に、 商業生産されてい
るタンポンに微量のダイオキシンが検出されたとありました。 少なくとも198
9年にさかのぼるメモも見つかり、タンポンに含まれるダイオキシンのリスク
は高く、 そのレベルを調べる研究が必要であるとFDAの研究者たちが考え
ていたことが分かったのです。 FDAはこの問題を追求しませんでした。代
わりにアメリカ国内のタンポン・メーカーが出したデータに頼ってしまいまし
た。 そのためタンポンにはダイオキシンの健康リスクが存在しないという結
論になっていたのです。
1996年7月、下院議員キャロライン・マロニーさんが「女性の健康とダイオ
キシンに関する法律」を議会に出しました。 この法案は、生理用品にダイオ
キシンが含まれているかどうか、使っている女性の健康にはっきりした影響が
あるかどうか、 調査するよう求めています。いまのところタンポンの生産
は、あるともいえないような規制をFDAから受けている (生理用品は医療
用具の扱いなので、FDAの規制を受けます)だけです。
これまでタンポン業界とFDAは、女性の健康被害を守れずに来たのです。
1980年、 38人の女性がタンポンの関係する中毒ショック症で亡くなりまし
た。 プレイテックスとタンパックスという二つのタンポン製造会社を相手取
って、集団代表訴訟が起こされました。 その十年以上前から、たいていのタ
ンポンには吸収効率の非常に高いレーヨン繊維が使われていて、 これに中毒
ショック症を引き起こす危険性があるのをメーカーが知っていた。それが告訴
の理由でした。
女性健康問題の多くが取るに足りない事柄として扱われてきたのと同じよう
に、 生理用品が女性に与えるリスクを見落とし軽視してきた経過を見ると、
この種の製品に含まれるダイオキシンの健康影響を客観的に分析する必要があ
ると考えるのが妥当でしょう。 また、女性の健康をもっとしっかり守るよ
う、タンポン工業を規制する方法やガイドラインを見直すことも必要でしょ
う。
【毒性】(中略)
ダイオキシンの影響は色々な実験動物で研究されてきましたが、結果は動物
の種類によって大きく違います。高濃度のTCDDを取り込むと、どの動物も
死ぬ可能性があります。またどの動物でも生殖に悪い影響を受けるようです。
ラットがTCDDを子宮に取り込み続けると、妊娠回数が非常に少なくなり
ました。発育初期にダイオキシンを取り込んだ場合には、 ドーパミン(ドー
パミンは神経伝達機能の指標とされる)の調節機能が影響を受けました。マウ
スの場合には(毒性が現れない量とされている)低濃度でも奇形を生じます。
観察された一番わかりやすい例は、 口蓋破裂です。ダイオキシンがこの障害
を起こすメカニズムとして、 上皮細胞の分化と増殖に変化が生じるのではな
いかと考えられています。いくつかの動物では胸腺や脾臓 ・腎臓に影響が見
られました。タンポン使用時にダイオキシンを取り込んで生じる健康リスクに
ついて考えるとき、 興味深いのは、ダイオキシンの取り込みと子宮内膜症の
間にアカゲザルで相関が認められることです。 投与量と出てきた結果との間
に明確な関係も示されています。(中略)
子宮内膜症は、子宮以外の卵巣や膀胱・腸・腹膜で子宮の内膜細胞が成長・
増殖する病気です。 この細胞は卵巣ホルモンに反応し、生理周期に合わせて
変化し、周期的に出血します。 この病気に関する研究は始まったばかりで
す。細胞が転移する原因は分かっていません。 ある仮説は経血が逆流するか
らではないかとしています。この病気には軽症と重症の場合があって、 症状
として急性の痛みや不妊症が見られます。多くの女性が生理痛を経験します
し、 子宮内膜症は腹腔鏡でしか正確に診断できません。それで一般の人々に
どれだけ実例があるのか分かっていませんが、 生殖年齢にある女性の一割程
度であろうと考えられています。 ダイオキシンは内分泌系に影響があるよう
なので、女性に与える影響を研究することがますます重要だと思われます。
【EPAによるダイオキシンの毒性再評価】略
【結論】
ダイオキシンが人体にあたえる毒性の影響とメカニズムは、どういうもの
か。これは決して簡単に答えられる問題ではありません。 ダイオキシンを地
上最強の毒物と考えるのは極端だが、環境と健康とに重大な影響がある――こ
れが現在までの研究から出てくる結論です。(中略)
子宮内膜症の原因は分かりませんが、発病率は上昇しています。 ダイオキ
シンとヒトの子宮内膜症の関係には間接的な証拠があるだけですが、 アカゲ
ザルではダイオキシンのレベルと症状の重さの間に強い相関があることを考え
てみると、 ヒトでも両者の間に結びつきがあると結論するのが妥当でしょ
う。 タンポンを使ってダイオキシンを取り込むのは不必要なことであるばか
りでなく、回避できるリスクです。 ダイオキシンを生殖系に直接取り込むの
は、たいへん愚かしい行為だと思い
ます。 とくに女性の健康にダイオキシン
がどれだけ影響しているか研究されていない現状では、そうとしか言いようが
ありません。
女性が自分自身を教育し、健康を守っていくよう積極的な役割を果たすこと
が必要ですね。 女性の健康問題は、立法機関・監督機関で軽視されることが
多いので、 行政・産業などの色々なレベルで変化が起こってくることが望ま
れます。マロニー下院議員が出した法案は、 塩素漂白によってタンポン中に
どれだけのダイオキシンが含まれるのか、また女性の健康にどんな影響をあた
えるのか、 これについて独立機関の研究を要求しています。法案はさい先の
よいスタートを切りましたが、この法案だけでなく、 生理用品を規制する今
の基準を変え、きちっと安全性を評価せずに新製品を出せる今のやり方を変え
ていくことが必要です。 消費者として安全な製品を要求していくことも必要
です。
私がこの問題に気付いたのは、健康に関する<ミズ>誌の小さな記事でし
た。カナダの小さな会社が、 オール・コットンで塩素漂白していない生理用
品を作っていて、その社長さんを紹介していたのです。 こういう製品を買う
ようにすること、漂白タンポンを売っているメーカーをボイコットすることが
大切ですね。 毒物ショック症の過去の経験から、タンポン業界の自己規制に
まかせておいたら危険だからです。 それから、他の人にも危険性を知らせる
こと、公開の場所で生殖と女性の健康問題について話し合うことが特に必要で
す。
【文献】略
このページは、別処珠樹さんから、赤堀由佳が引き継ぎました。
ご意見ご感想等に関しましては、私のほうにお願いいたします。