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回答先: ケイシー1999 投稿者 スペパラ 日時 1999 年 1 月 17 日 12:27:19:
全く凄い断定だが、こういうキャッチフレーズで売り出した『ノストラダムスの大予言』は現在大変な
ベストセラーになっている。広告によると既に百三十万部を突破したという事だ。
私としては、他人の本の売れ行きを妬んで見たり、けちをつけたりするような気持ちは毛頭ない。
過去二十七年の作家生活を通じても、懸賞作品の審査員としての選評を、別としたならば、他の人の著書
なり作品に対して、積極的に攻撃の姿勢をとり、第三者に、「悪口をいっていると思われる」文章を活字
にした事は、ほんの数回しか覚えがない位なのだ。
尤も、例えば新聞や週刊誌などの取材に応じたところが、中間の記者が私の意とするところを誤解した
り曲解したりした為に、「結果として」悪口をいったように思われたという事は、かなり数が多い。ただ
それは私の本意ではなかったのだ。
その私が、今度ばかりは黙っていられないと思いたったのである。
例えば「大予言パニック」というような現象が起こり始めたからなのだ。
現在、小松左京氏の『日本沈没』は大変なベストセラーになっているが、私は友人の一人として、この
事は心から嬉しく思っている。先日この作品に推理作家協会賞が授けられた時には、パーティ嫌いの私が
まず真先に会場へかけつけ、握手してお祝いをいった位である。
何といっても、最新の地球科学に根拠をおき、執筆に九年間を費やしたというような大労作なのだし、
読んでみても面白さは抜群で、しかも生々しい絶望感を呼び起こさないという傑作なのだ。映画のほうも
大変成功したらしいが、これは例えば怪獣映画の第一弾として、当時としては記録的な興行成績をあげた
『ゴジラ』の成功とも、どこか共通した理由があるだろう。
ところが、この「大予言」のほうは、不思議な位生々しい恐怖感を呼び起こすのである。
これは当然、五島氏の筆力による事であり、また同時にノストラダムスを世界史最高の大予言者と祭りあ
げ、その予言の的中率は九九%と断定し、その上で人類最後の破滅の日が、僅か二十五年後に迫っている
と宣言した、その「使徒」的な姿勢にあったろう。(高木彬光『ノストラダムス 大予言の秘密』)