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◎冥王星は惑星か否か 天文学者間で熱い論争
冥王(めいおう)星は本当に惑星か、それとも小惑星にすぎない
のか。太陽系惑星は8個に減るのか−−。太陽系の9番目の惑星と
信じられてきた冥王星の“地位”が大きく揺らぎ、世界中の天文学
者間で、教科書を書き換えるような論争が巻き起こっている。
国際天文学連合(IAU、本部パリ)の惑星系命名作業部会は昨
秋、会員に電子メールでアンケートを開始した。投票した国立天文
台の福島登志夫教授(天体力学)は「再燃した論争だが、IAUが
行動を起こしたのは今回が初めて」と話している。
投票アンケートは冥王星を(1)小惑星の一つとして番号をつけ
るか(2)別のエッジワース・カイパーベルト(EKB)天体の一
番目とするか−−など4問の見解を聞いている。
冥王星が惑星ではない、との見解は1992年、太陽系の外側に
広がるEKBで初めて天体が見つかったころから実は指摘されてい
た。
水星、金星、地球、火星、木星、土星、天王星、海王星と連なる
諸惑星と異なり、軌道が黄道面から17度傾斜しているほか、これ
までEKBで発見された約80の天体と、だ円軌道や組成などで共
通点が多いからだ。
IAU小惑星センターのブライアン・マルスデン博士は「冥王星
を今年2月にも到達する1万番目の名誉ある小惑星にしてはどうか」
と提案して、議論を呼び掛けた。
EKB天体の1番(または0番)では、との意見もあるが、肝心
の惑星の定義が明確でないのも手伝って、学者の意見はさまざまで、
簡単に決着しそうにない。
国立天文台の渡部潤一助教授(太陽系天文学)は「どうであろう
と、冥王星が太陽系の興味深い天体であることに変わりはない。何
を今さら」と冷ややかに見ている。
(了)
[共同 1月21日] ( 1999-01-21-08:54 )