(回答先: Re: 文化財とは 投稿者 ! 日時 2002 年 2 月 16 日 00:57:11)
>人間の文化活動によって作られたものは全て文化財となり得ます。
>現に文化庁も近代産業活動にまでその保護の範囲を広げてきています。
>現実的にある程度選択して残していかざるを得ないとは思いますが、普遍的な
>基準になる考え方はあるでしょう。
より大事なものは、結果としての文化物(財)ではなく、文化すなわち「人たちの活動」だと考えています。
ロボットやコンピュータにしても、人の活動の仕方を擬似的に物で実現したものです。
人が頭と身体を使って物を造るという労働を“保存”しなければ、数世代後には、まともな物づくりができなくなり恐れがあります。
ロボットの動きを見て、「どうしてああいう動きをするんだろう。不思議だ」という状況が生まれたら、それこそ喜劇でしょう。
踊りや祭りなどの芸能や建物などを保存するのも結構ですが、営々と継承されてきた「人たちの働き方」を保存しなければ、手痛いしっぺ返しに会うでしょう。
「普遍的な基準になる考え方」はないと思います。
すべての文化や文化物を残すわけにはいかないので(進化なんかありませんが、変化はしますからね)、そのときどきの判断で残したり捨てたりし、後で「あれは残していてくれていたらよかったのに」と思うこともあるという歴史が続いていくと思います。
それほど人は賢くないのです。
>それとは別として、古代・中世ではないのですから、もういい加減に我々は異文化を
>異文化としてお互いに認めあい尊重するべきだと考えます。
世界規模で異文化を破壊してきたのは、古代でも中世でもなく、近代ですよ。
近代こそ、もっとも“壮大な”異文化破壊活動を行ってきたのです。
>他の文化は認めない、自分たちこそ正しいとの考えがどんな結果を招いてきたか人は
>よく知っているはずなのに、残念ながらまだ繰り返そうとしていますけれども。
そうすることが好きな人たちが、ここ数百年の世界史を動かしてきたのです。
そして、そうした人たちが属する国家は、自らを“文明国”と称し、日本でもそう思うような教育が行われています。
他の文化を破壊することが好きな人たちが巨大な権力を握ったままなのですから、今後も破壊を続けて行くでしょう。