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(回答先: 2001年9月11日に「航空機自爆テロ」はなかった! 投稿者 あっしら 日時 2002 年 1 月 23 日 20:36:04)
もうひとつの失態 航空宇宙防衛司令部は何もできないのか(スコット・シューガー,Slate)
2002 年 1月 25日
同時多発テロおよびアフガンでの戦争によって、米国政府のいくつもの怠慢や隙(すき)が明らかにされた。なかでもあまり指摘されていないのが、空軍の北米航空宇宙防衛司令本部の犯した失態だ。本当に彼らはテロの際、何もできなかったのか。体制を整えた、といいながら、フロリダ州の航空機ビル突入を止められなかったのは、どういうことなのだろう。
アメリカの対テロ戦争はおおむね成功を収めていると言えそうだが、この戦争はそもそも米政府の怠慢に端を発しているということは、昨年9月11日の同時多発テロ以降、メディアでもよく指摘されている。米外交当局は、大量の武器を残したままソ連撤退後のアフガニスタンを放置するという失態を犯した。CIA(米中央情報局)は、海外のアルカイダの行動について情報を入手しても強い対応を取らなかった。FBI(米連邦捜査局)とINS(米入国管理局)は、米国内に入国した不審人物への対応が甘かった。FAA(米連邦航空局)と航空会社、空港当局、警備会社は、空港の安全管理に隙(すき)があった。
しかし、もうひとつの連邦機関の落ち度については、あまり指摘されていない。それは、空軍の北米航空宇宙防衛司令部(NORAD)の犯した失態である。
NORADのホームページを見ると、この機関の任務として「航空機、ミサイル、宇宙船による北米大陸に対する攻撃を察知し、警戒すること」があげられている。わかりきったことをくどくどと指摘するのは気が進まないが、他に誰も言わないようなので言わせてもらおう。航空機による攻撃に対応するという任務に関しては、NORADはその役目を果たしていない。
●できたはずのこと
昨年9月11日にハイジャックされた航空機を一機も迎撃できなかったことを、NORADはどう説明するのか? NORADのエド・エバーハート司令長官は議会で証言して、米領空内でのハイジャックについて第一義的に責任を負うのはFAAであって、NORADはFAAから通告を受けてはじめて対応に協力できるだけであり、9月11日の場合はFAAの通告が遅れたのだと釈明した。この際、エバーハート司令長官は、テロリストが民間機をハイジャックして米国内の標的に体当たりするという事態に対応する訓練は同時多発テロ以前にもおこなっていたが、国際線のハイジャックを念頭に置いていたため、戦闘機で迎撃するまでに費やせる時間にもっと余裕をみていたとも述べている。
それ以上に注目すべきなのは、国内線のハイジャックを想定していたとしても、9月11日のテロは阻止できなかっただろうと、エバーハート司令長官が述べていることだ。「時間と距離を考えれば、最初の2件のテロは迎撃機が間に合わなかったことは確実であり、第3のテロもおそらく間に合わなかった」というのである。
FAAがNORADに遅滞なく報告しなかったことは、確かだ。ニューズデー紙によれば、FAAは3機目の不審な旅客機(その後、ワシントンの国防総省に突っ込む)の存在を軍に通告するまでに29分もかかっているのだ。それに、同時多発テロ以前は、国内線旅客機のハイジャック・テロが起きる可能性は大きくなかった。しかしだからと言って、NORADにできることはなかったというのは間違いだ。
NORADの説明によれば、アメリカン航空機11便に異常が発生しているとFAAから通告があったのは、米東部時間の午前8時40分。しかし、NORADが戦闘機にスクランブル発進を命じたのは、8時46分にアメリカン航空機11便がニューヨークの世界貿易センタービルに激突してからだった。ニューヨーク市から約246キロ離れた基地からF15戦闘機2機が発進したのは、そのさらに6分後の8時52分。F15は、2機目のユナイテッド航空175便が9時8分に世界貿易センタービルに激突したとき、まだ現場に到着していなかった。F15が到着したのは、その8分後の9時10分だった。
NORADのラリー・アーノルド少将はNBCテレビに対して、発進したF15戦闘機はまっすぐニューヨーク市に向かったと述べている。F15が約246キロの距離を移動するのにかかる時間は、18分。これは、時速約820キロ程度で飛行した計算になる。空軍当局によれば、F15の最高時速は約3017キロに達するという。9月11日、F15はその3分の1にも満たない速度でしか飛ばなかったのである。
NORADによれば、3機目のアメリカン航空77便の異常についてFAAから報告を受けたのは9時24分。すぐにF16戦闘機2機に出動命令が下り、9時30分には離陸した。ニューヨーク・タイムズ紙によると、F16は「最高時速」でまずニューヨークに向かい、「2分後」にワシントンに進路を変えた。国防総省周辺に到着したのは、アメリカン航空77便が国防総省に激突した12分後の9時49分だった(その後、進路を外れている4機目の旅客機ユナイテッド航空93便の突入に備えて、ワシントン上空に待機した。やむを得ない場合は撃墜してもよいという指示を受けていたが、この旅客機はペンシルベニア州に墜落した。乗客の抵抗により、飛行不能になったものと思われる)。
F16は、国防総省上空までの約209キロの距離を19分かけて飛んでいる。単純計算すれば、平均時速約660キロで飛んだことになる。実際には、最初にいったんニューヨークに向かっているので、平均時速はもっと速かったはずだ。しかし、それを考慮しても、空軍の発表しているF16の最高時速約2414キロには遠く及ばない。
どうしてNORADは、戦闘機を最高時速で現場に急行させなかったのか? FAAが米領空内での超音速飛行を禁止しているというのは、理由にならない。NORADの広報担当者は「正当な理由があれば」戦闘機は速度制限を無視することができると、私に述べている。
つまり、NORADにできることはなかったというのは、間違いなのだ。少なくとも、戦闘機をもっと速く飛ばすことはできたはずだ。
●体制は整えた…はずだったが
もっとも、NORADの釈明は、時間的に間に合わなかったというものだけではない。アーノルド少将はNBCテレビに、もし間に合っていたとしても「その時点ではハイジャック犯の行動は予測できず、撃墜を命じることはできなかっただろう」と語っている。
その通りかもしれない。しかし、この説明は誤解を招く。戦闘機の取りうる行動は、ハイジャック機を撃墜することだけではない。ボストン・グローブ紙によれば、NORADは段階的な対応をおこなう訓練をしている。それによれば、迎撃機は標的をいきなり撃ち落とすわけではない。まず翼端を動かして注意を喚起したり、問題の飛行機の正面を横切ったり、曳光弾を発射するなどする。
9月11日、戦闘機のパイロットが最初の3機について迎撃の権限を与えられていなかったとしても、こうした対応は取ることができたはずだ。これでハイジャック犯が動揺したり、進路を変えれば、ハイジャック機を海上に追い払うことができたかもしれない。それでもなお、ハイジャック犯が進路を変えようとしなければ、撃墜もやむを得なかったはずだ。
NORADは、国内テロに対応する体制を整えたと述べている。エバーハート司令長官は昨年10月、議会で証言し、FAAが異常を察知してからNORADが通告を受けるまでに要する時間は「約1分に縮まった」と語った。NORADの広報担当者はAP通信に、「米国内であればどこにでも数分以内に」戦闘機をスクランブル発進させることができると語った。
ところがどうだろう。先日、チャールズ・ビショップという15歳の少年がセスナ機を操縦して、フロリダ州の高層ビルに激突した際、NORADはFAAの無線通信を傍受してようやくこの事態を知ったのだった。戦闘機が発進したのは、セスナ機がビルに突撃した15分。戦闘機が現場に到着したとき、ビショップが離陸してからすでに45分が経過していた。