投稿者 mainichi 日時 2001 年 12 月 05 日 09:47:43:
(回答先: ミサイル防衛の迎撃実験 投稿者 ごろた石 日時 2001 年 12 月 04 日 23:08:20)
米ミサイル実験:開発強行は政治的賭け
【ワシントン布施広】米国防総省は3日、迎撃実験に成功したミサイル防衛システムに「ミサイル飛行
過程の地上配備型防衛」(GMD)という新たな言葉を使い、「海上配備」やミサイル発射直後の迎撃も
含めて多層的な防衛システムを作る意向を示唆した。しかし現行の実験では、有効な迎撃システムの完成
は無理との意見も多く、ブッシュ政権が弾道弾迎撃ミサイル(ABM)制限条約からの脱退を表明して開
発・配備に突き進む場合は、大きな政治的賭けになりそうだ。
ミサイル防衛に詳しい米マサチューセッツ工科大(MIT)のポストル教授は、今回の実験について
「命中しやすくセットした弾頭を破壊しても、実戦に耐える軍事能力を示したことにはならない」と毎日
新聞に語り、1回1億ドルの実験は「米国民の税金の無駄遣い」と批判した。
実験に使用した模造弾頭は1発で、おとりの風船も1個だけ。標的としたミサイルの飛行コースも前回
とほぼ同じだ。思わぬ方向から敵のミサイルが飛来し、複数の核弾頭をばらまく場合を想定した実験では
なく、現行システムの配備は、米国の安全強化につながらないとの意見も多い。
だが、ブッシュ政権下で2回目の迎撃成功により、開発・配備の動きに弾みが付くのは間違いない。国
防総省は今後、各種の実験を積極的に行う構えで、ロシアが改廃に難色を示すABM制限条約から、米国
が脱退を表明するシナリオが現実味を帯びてきた。
ブッシュ政権が目指すのは「敵ミサイルの全行程での迎撃」だ。朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の
攻撃を想定すれば、発射段階のミサイルを日本海地域で迎撃、さらに複数の航空機を使って、飛行中のミ
サイル破壊を試みる。また今回実験したGMDの迎撃網を米本土に建設するほか、宇宙空間での迎撃態勢
も検討している。