投稿者 mainichi 日時 2001 年 5 月 10 日 11:21:57:
回答先: <宇宙防衛>米・新方針、中国を意識 「宇宙軍拡」の危険性内包 投稿者 5/10 毎日 日時 2001 年 5 月 10 日 11:17:12:
ロシア再生の行方:現実路線の外交術 米中対立のはざまで
ブッシュ米大統領は1日、米国の新国防戦略について演説、弾道弾迎撃ミサイル(AB
M)制限条約の見直しを訴えた。
この演説に対し、中国は猛反発し、欧州は懸念を表明した。しかし、ロシアはひとり沈黙
を守った。
プーチン大統領は4日後、やっと口を開き、「世界は早いスピードで変っており、新しい
脅威が現われたとの米国の考えを理解する」と述べた。
実は、ブッシュ大統領は1日の演説の中で、「ロシアは敵国ではない」と、何度も呼びか
けた。そして、中国についてはひとことも言及しなかった。暗に、今後の世界の不安定材料
は、ロシアではなく、中国だと説明したかのようだった。
この米国の立場に、プーチン大統領は聞く耳を見せたともいえる。
旧ソ連時代から、外交の最優先国は米国である。米国と中国とを天秤にかければ、常に米
国の方が重い。
だから大統領の発言は当然ともいえた。しかし、大統領が本当に米国の立場に共感してい
るかというと疑問は多い。
大統領は、この1年で24カ国を訪問した。記録的な外国訪問の数だが、その中には米国
公式訪問は入っていない。
大統領が当選後、最初に選んだ国は英国で、就任後初の西側訪問はイタリア、スペイン、
ドイツの3国だった。
次いで、プーチン大統領は中国とインドを訪問し、「戦略的パートナーシップ」を結ん
だ。
つまり、ロシア外交の要は、英独露と中印露の二つの欧亜三角形だ。
エリツィン前政権が米国との関係を最重視し、張り合ったのと比べると、プーチン政権は
米国との関係に距離を保ち、クールに眺めている。
ソ連崩壊後の経済瓦解で、ロシアはもはや大国ではない。「できないことはしない」とい
うのが、プーチン流現実主義だ。
その一方で、北朝鮮、イラン、イラクなど、米国から名指しされた「ならず者国家」やキ
ューバ、シリアなど「反米国家」とも関係修復を急ピッチで進めている。「米国の指図は受
けない」との強い自己主張が見え隠れする。
米中対立のあおりを受けて、国際関係は微妙に揺れる。その米中対立の狭間で、ロシアは
どの道を行くのか。来月中旬に予定される米露首脳会談で、何らかの回答が出るはずであ
る。
【モスクワ石郷岡建】
[毎日新聞5月10日] ( 2001-05-10-01:05 )