「わが国の安全保障政策の確立と日米同盟」

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投稿者 自由民主党政務調査会国防部会 日時 2001 年 3 月 23 日 16:35:52:

回答先: 集団的自衛権行使で政府解釈変更求める 自民党部会 投稿者 asahi.com/0323 日時 2001 年 3 月 23 日 16:28:03:

「わが国の安全保障政策の確立と日米同盟」
―アジア・太平洋地域の平和と繁栄に向けてー
平成13年3月23日
                            自由民主党政務調査会
                             国 防 部 会


1、 はじめに
21世紀という新たな時代を迎え、わが国の平和と独立を守り、国家存立の基盤となる国防を全うし、もって国民の生命・財産を守るためには、引き続き、わが国の安保・国防政策の着実な推進が求められている。国防は、国の重要な任務であり、国際社会における責務である。また、国民に対する究極的な福祉とも言える。
 戦後一貫してわが国が平和と繁栄を享受できたのは、自衛隊の存在と日米安保条約を基盤とした日米同盟関係が大きく貢献してきたからである。冷戦後の多極型国際社会においては、なお一層「日米関係はわが国にとっても世界にとっても最も重要な二国間関係」であるとの認識を持たねばならない。
 新世紀に、さらなる発展が期待されるアジア・太平洋地域の繁栄に向けて、地域の平和と安定が不可欠である。そのためにも、日米同盟関係を一層強化し、日米安保協力の拡大・深化を図っていく必要がある。
 冷戦後、日米安保共同宣言、新ガイドラインの策定、ガイドライン関連法の制定などによって日米の安全保障面での協力関係は増進された。しかし冷戦後、次々と生じている新たな事態に的確に対応していくためには、わが国として主体性を持って努力していく必要がある。
 わが党は、安保問題について、昨年9月から浜田靖一国防部会長のもとで行なわれた18回にわたる個別的検討を踏まえ、本年2月から依田智治国防部会長のもとで8回に及ぶ総括的検討・議論を重ね、以下「わが国の安全保障政策の確立と日米同盟―アジア・太平洋地域の平和と繁栄に向けてー」の提言を取りまとめた。
本提言は、日米同盟に関する提言である「アーミテージ・レポート」の発表、ブッシュ新政権の発足に鑑み、日米同盟関係の強化のあり方と、わが国及びアジア・太平洋地域の平和と安定を図るための安全保障政策全般についても言及した。特に、将来において、わが国が幅広い国際的な安全保障協力を推進するとともに、日米の安全保障面での協力関係をさらに進める上での問題点は、日本国憲法に由来する集団的自衛権の行使など国内の法制面であることを明らかにし、具体的な解決策についても言及している。
 また、2月9日に起こった「えひめ丸」の悲劇的事故については、船体の引き揚げなど関係者の心情に十分に配慮し、事故原因の徹底究明と再発防止策の確立を急ぎ、日米関係の信頼が損なわれることのないようにしなければならない。


2、 最近の国際軍事情勢
(1)国際軍事情勢
 冷戦後の世界においては、世界規模の戦争の可能性は大幅に低下し、近年は予防外交の推進や国連などを中心とした国際関係の安定化にむけての各般の努力も行なわれている。
他方、民族、宗教上の対立が顕在化するなど、ヨーロッパ、アフリカ、中東、アジア等において地域紛争・無差別テロ等が発生している。
 また、大量破壊兵器(NBC(核、生物、化学)兵器)の拡散が進み、最近ではサイバー攻撃への懸念も増大している。

(2)わが国周辺情勢
 わが国周辺地域においては、冷戦後、ヨーロッパと違って多くの国が軍事力の強化を推進し、朝鮮半島や台湾海峡等を巡る問題やわが国の北方領土など未解決な諸問題が存在するなど不透明かつ不確実な情勢にある。
 朝鮮半島では、極めて閉鎖的だった北朝鮮は、諸外国との正常化を目指す積極的な外交を展開し、20世紀最後の年に、南北の首脳が初めて会談を行なうに至った。しかし、慢性的な食糧不足や深刻な経済の現状にもかかわらず、依然として150万人を超える大軍が、軍事境界線をはさんで対峙している状況等に変化はない。また、北朝鮮による弾道ミサイルの開発・配備や大量の生物・化学兵器の保有、国内における思想の引き締めや大規模な軍事演習の実施など、朝鮮半島の先行きはまだまだ不透明な面が残されている。
 中国では、軍事力の近代化・強化を継続し、依然として海洋進出の傾向を強めているが、台湾問題でどのような対応をするかが米中間の重要な対立要因になりかねず、わが国の安全保障にも重大な影響を与えることが懸念される。また、中国の共産党の一党支配体制と国内における経済格差問題などにより、中国が今後この地域において、協調的で責任ある国として発展していくことができるか明らかになっていないことも問題である。
 極東地域におけるロシア軍の規模は、ピーク時に比べて大幅に削減された状態にあり、活動も全般的には低調である。しかし、依然として核戦力を含む大規模な戦力が蓄積された状況にあり、その一部において更新・近代化の動きがある。こうした動向については、引き続き注目しておく必要がある。
 このほか、ASEAN諸国等においても、特に大きな影響力を有するインドネシアの国内動向など様々な問題を抱えており、留意する必要がある。


3、日米同盟の強化と日米安保体制
(1) 日米同盟関係の重要性
 新たな世紀においても、わが国周辺の国際軍事情勢は先にも述べたように不透明・不確実な要素をはらんでおり、日本の平和と独立を守り、アジア・太平洋地域の平和と安全を確保するため、適切な防衛力の整備と日米安保体制の強化が必要不可欠である。
 自由と民主主義と市場経済という価値観を共有する世界のスーパーパワーたる米国と第2位の経済大国のわが国が同盟関係にあることは、特別な意義を有するものであり、わが国はもとよりアジア・太平洋地域の平和と繁栄を確保する上で極めて大きな役割を果たしている。
 冷戦後の不安定なアジア・太平洋地域においては、依然として国連による集団安全保障体制やアジア地域の集団安保体制が確立しておらず、日米同盟関係の意義は益々重要になってきている。米国のブッシュ新政権も日米を含む同盟関係を重視する姿勢を明確にしている。

(2) ガイドライン関連法と日米同盟
 日米安保共同宣言においてガイドライン見直しが決まり、その後、新ガイドラインが策定され、それに基づいて周辺事態安全確保法や船舶検査法が成立するなど、日米防衛協力関係は一歩前進した。
 しかし、これらはあくまでも協力強化に向けての一歩に過ぎない。今後は、これを土台に米新政権との政策面での協議、共同作戦計画についての検討及び相互協力計画についての検討などのガイドラインの実効性確保のための施策、日米共同訓練の実施、弾道ミサイル防衛(BMD)の日米共同技術研究、その他の装備技術面などの具体的な協力関係をさらに強化していく必要がある。

(3) 新たな脅威に対する米軍と自衛隊の協力関係の強化
 冷戦後の脅威は多様化し、国際的なテロや国境を越える犯罪活動やサイ バー攻撃など、新たな事態と挑戦への対応が必要となっている。米軍と自衛隊など日米間でいかに協力するかについて協議し、早急に緊密な協力関係を構築すべきである。

(4) 日米の防衛技術協力の促進
 日米同盟の中でも防衛技術協力は、同盟関係全般における重要な要素である。 
 日々進歩する先端技術の防衛・軍事面への対応や最近のサイバー攻撃対策などの実施には、日米間で戦略的提携関係を築き双方向での協力関係を拡大していくなど、装備技術面における協力を積極的に推進する。
 なお、双方向の装備技術協力が同盟関係を維持する重要な基盤であるとの観点からも、武器輸出三原則のあり方についても検討する必要がある。

(5) 日米ミサイル防衛協力
 弾道ミサイルなどの脅威に対処するためとともに、その拡散を防止するため、日米間で現在、行われている弾道ミサイル防衛(BMD)の日米共同技術研究を推進する。

(6) 情報交換と秘密保全
 安全保障へのニーズに対処するには情報を適切に収集・分析することが重要であり、日米双方が情報面での一層充実した協力関係を構築することが必要である。それには、まず日本自らが独自の情報収集力を強化するとともに、重要な軍事情報が他に漏えいすることのないよう秘密保全に万全を期さなければならない。そのためには、新たに法律の改正等も行なうべきである。

(7)沖縄米軍基地問題への対応
 沖縄における米軍施設・区域の整理・統合・縮小への取り組みについては、沖縄県及び地元自治体の理解と協力を得ながら、SACO(沖縄特別行動委員会)最終報告を着実に実施し、沖縄県民の負担軽減に努める。
 また、米軍兵士による事件に対しては、地位協定の運用改善により個々の問題に対応し、それが十分でない場合には、協定の改訂も提起するなど適切に対処すべきである。
 なお、日米間の防衛協力が大きく前進し、より信頼性の高い協力関係が構築することにより、アジアの安全保障体制はより強固なものとなり、沖縄における米軍施設・区域の整理・統合・縮小及び訓練負担の軽減への取り組みが、さらに前進させることになる。


4、国民の生命・財産を守るための自衛隊の態勢整備
(1)大規模災害等への対処・危機管理体制の充実強化
 大規模災害等から、国民の生命・財産を守るために、地方公共団体との連携の下、自衛隊の活動拠点の確保を積極的に進めるなど、自衛隊による災害対処体制の充実、運用態勢の整備を推進することが、わが国の危機管理態勢の充実強化を図る上で必要不可欠である。

(2)いわゆる有事法制を含む緊急事態法制の整備
 緊急事態法制は、国家・国民の安全を確保するために是非とも必要なものであり、政府の進めてきた有事法制研究を踏まえ、新しい事態を含めた緊急事態法制として法制化を目指した検討作業を開始し、早急に立法化することが必要である。
 また、不審船対処や武装工作員等に対処するため、いわゆる領域警備に係る法制の整備を行なう。この場合、自衛隊が出動する以上、武器の使用については、単なる警察官職務執行法の規定の準用ではなく、国際法規・慣例に基づき、行動ができるよう所要の法改正を行なうべきであろう。

(3)新たな技術革新等への対応
 二十一世紀においては、情報通信技術(IT)革命や「軍事における革命」(RMA)などの新たな動きに対応した運用面を含む態勢の整備が求められている。このため、サイバー攻撃対策を含めた諸施策を積極的に推進する。
 また、ゲリラや特殊部隊による攻撃、NBC(核・生物・化学)兵器などへの対処能力の向上を図る。

(4)中期防衛力整備計画の着実な達成
 昨年末に閣議決定された中期防衛力整備計画は、まさに、こうした新たな世紀の防衛に備えようとするものであり、その着実な達成を図ることが重要である。

(5)防衛産業・技術基盤の維持
 健全な防衛産業の存立は、適切な防衛力の整備、維持を図る上で重要な前提であることから、わが国の防衛産業・技術基盤を適切に維持するための諸施策を実施する。


5、自衛隊による国際貢献の充実
(1)国連平和維持活動への協力
 わが国は国際社会の一員として一層積極的に国際社会に貢献するため、PKF本体業務の凍結解除と必要な法整備を早期に行うなど国際的な基準に合った体制を整備する。また、こうした体制の下、国連の平和活動に積極的に参加する。

(2)地域の安全保障、信頼醸成
 議員交流を始め各レベルにおける安全保障対話、防衛交流を推進し、多国間の信頼醸成に努め、地域の安全保障体制の確立に努力する。併せて、軍事面・非軍事面を問わず技能の向上にも資するため、多国間の共同訓練等についても積極的に推進する。


6、集団的自衛権の行使などについて
(1)集団的自衛権の行使などの問題点
 新ガイドラインとガイドライン関連法に基づく日米の共同作戦計画についての検討及び相互協力計画についての検討や日米共同訓練の重要性は既に述べた通りであるが、そこには限界もある。それは、わが国が集団的自衛権の行使を禁じていることで、米軍の軍事作戦が極めて複雑なものとなってしまい、有事の際に、日米が共同で紛争の抑止にあたる場合に支障がきたすことが懸念されることである。政府の従来の集団的自衛権行使に対する解釈は、同盟の信頼性確保の上での制約となっていて、かつ日米同盟の"抑止力"を減退させる危険性をはらんでいる。
 「集団的自衛権の行使」「国連の集団安全保障への参加」などに関わる憲法解釈が、平常時の多国間共同訓練、PKO活動、周辺事態における各種支援・協力活動、在外邦人等の輸送(NEO)やわが国に対する武力攻撃への対処行動についてさえ大きな制約となっている。
 わが党には、従来から「集団的自衛権は行使可能」という根強い意見が多数あり、今こそ本問題を真正面から取り上げていくべき課題であると考える。
 
(2) 集団的自衛権の行使とわが国の姿勢
 集団的自衛権の行使が可能となれば、日米間の防衛協力が一層進み"抑止力"がより強化されるとともに、それが、アジア・太平洋地域全体の平和と安定に寄与することになる。
 政府は、わが国が国際法上、集団的自衛権を有していることは、主権国家である以上、当然であるが、憲法第9条の下において許容されている自衛権の行使は、わが国を防衛するため必要最小限度の範囲にとどまるべきものであり、集団的自衛権の行使は、これを超えるものであって、憲法上許されないとの立場を取っている。
 しかし、われわれは国際法上有している以上は憲法上も有しており、その行使は許されるものと解する。ただし、その行使の可否については個別的自衛権の場合と同様、必要最小限度の範囲にとどめるべきものと考えている。なお、われわれとしては、集団的自衛権の行使すなわち必要最小限度を越えるとの論理には 飛躍があるものと考える。
 また、スピード性が格段に増した現代の戦闘形態においては、わが国のみならず、わが国と密接に関係ある他国に対する急迫不正の侵害が、そのままわが国に対する侵害に直結する可能性も増大している点も考慮しなければならい。
 このように解釈すれば、わが国の主体的判断によって、同盟関係において幅広く協力をすることができ、日米安保体制の信頼性向上に一層資することになる。
 なお、われわれは、国連の集団安全保障やPKOへの参加の際には、国連の基準に基づいて、武器の使用は、集団的自衛権の行使とは別の次元の問題として考えるべきで、わが国が何らの留保なく国連に参加している以上、憲法上許される行為であると考える。
 集団的自衛権の行使については、ケース・バイ・ケースでわが国自らが国益を考慮して主体的に判断することであり、自動的に米国の戦争に参加することとなるといった批判は当たらない。

(3)集団的自衛権の行使などを可能とする方法
 集団的自衛権の行使を可能とする方法は、@政府の解釈の変更、A憲法改正、B新たな法律の制定、C国会の決議、などが考えられる。
 われわれとしては、早急に実現可能とする方策を検討した結果、従来の政府解釈の変更を求め、それとともに、例えば国家安全保障基本法というような新たな法律を制定し、その中で「集団的自衛権の行使」「国連の集団安全保障への参加」などの範囲を明確に規定する方向での検討を進める。
 また、この場合、自衛隊の武力組織としての位置付けも、併せて明確に規定することが重要である。


7、防衛庁の「省」移行の実現・自衛官の処遇の改善
(1)防衛庁の「省」移行の実現
 国防は、国家として国民に対して果たすべき責務の最たるものであり、国防を所管する国の行政機関を、わが国のように、他の行政機関より一段低い「庁」(エージェンシー)に位置づけている国は、世界で皆無である。
 冷戦終結後、自衛隊の任務が増大し、国の内外からの期待が益々高まるなど、国政の中における防衛の重要性が増大している中で、各種の施策を強力に推進していくため、防衛庁の「省」への移行の早期実現を図る。

(2)自衛官の処遇の改善
 自衛官は、国防の第一線にあって、任務遂行に当たり、事に臨んでは危険を顧みず、身をもって責務の完遂に務めることとなる。われわれは、自衛隊を国防に任ずる武力組織として正当に位置付けるとともに、自衛官をその武力組織の構成員として明確に位置付け、その社会的な地位や、栄典を含む隊員の処遇の向上を推進する。

(3) 国防意識の高揚
 国防には、国民の広範な理解と支持が不可欠である。わが党は、以上の諸施策を着実に実施するためにも、国民の国防意識の一層の高揚に努める。




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