投稿者 asahi.com/0308 日時 2001 年 3 月 08 日 10:20:40:
目前だった米朝ミサイル凍結合意 破格の条件もうたかた
朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の金正日総書記
が、米国のクリントン前政権とのミサイル交渉で、日本
を射程に含むノドン・ミサイルも含めて、開発、実験、
配備、輸出をすべて凍結する提案をしていたことが分か
った。元米高官らが語ったほか、6日付ニューヨーク・
タイムズ紙も報じた。北朝鮮側はこれまで、輸出停止の
見返りには現金補償が必要だとしていたが、その要求も
取り下げたという。しかし、その「破格の好条件」(米
高官)も、大統領選挙の混乱で時間切れに終わった。
元高官らの話や同紙の報道によると、金総書記が非公
式に伝えた提案は、射程約500キロ以上のミサイル開
発・輸出の停止だった。長距離ミサイル・テポドンだけ
でなく、射程1300キロといわれるノドン・ミサイル
も含むことになる。輸出停止の見返りは、金銭補償の代
わりに、食糧など人道支援の大幅上積みでもよいと表明
し、米側は「予想を超える前進」と受け止めたという。
こうした交渉はオルブライト前国務長官が10月に訪
朝を終えた際には固まっていた。しかし、米側はさら
に、射程約300キロ以上のミサイル放棄、検証手段の
確立、すでに配備済みのノドン・ミサイルの廃棄なども
求めて、そうした内容を明記した合意文書草案を北朝鮮
側に送付。クリントン前大統領の訪朝時に署名すること
を提案した。
北朝鮮がそれをのむかどうかを見極めるために、米政
府内はシャーマン前政策調整官の訪朝による詰めが必要
だとの判断に傾いた。だが、11月の大統領選は異例の
長期戦になり、バーガー前大統領補佐官は「国家が憲法
の危機にある時に、大統領が国を空けるのは賢明でな
い」と進言。選挙が決着した12月、パウエル国務長官
ら新政権幹部は、クリントン氏の訪朝に賛成しなかった
という。
オルブライト前長官は同紙に対し、「世界の中で力関
係を変えるチャンスがあったとすれば、今回がそれだっ
た。もっと早く進めていたらと、個人的には後悔してい
る」と語った。当時のホワイトハウスで北朝鮮問題にた
ずさわった元高官は「北朝鮮の提案は、にわかに信じら
れないほどの好条件。それで余計に警戒心が募り、慎重
になった面もある」と話した。(03:12)