投稿者 無記名 日時 2000 年 11 月 11 日 05:01:38:
始めに
やらせにもいろいろある。例えば国会討論がその一つである。野党議員が与
党議員の不正を鋭く追及する。あるいは与党の政策の失敗を糾弾する。それに
対する与党の議員はのらりくらりと身をかわす。一見したところでは、議会制
民主主義が正常に機能しているように見える。しかし良く考えて欲しい。野党
議員の質問の内容はあらかじめ用意されたものである。その証拠に紙を見なが
ら質問している。そしてそれに対する与党議員の答えもまた同様である。野党
議員が質問し、それに対して与党議員が答弁する。その答弁に対してまた野党
議員が反論する。その反論にまた与党議員が応じる。これはすべて予め決めら
れたシナリオに沿って行われているのである。舞台裏で野党の質問内容と与党
の答弁内容は予め調整済なのである。
こう質問しますからこう答えて下さい、それに対してこう攻めます。そうし
たらこちらはこう答えましょう。このようなやり取りが予め行われているので
ある。つまりやらせである。しかも野党議員の質問の内容も、与党議員の答弁
の内容も、共に議員先生が考えたものではないことは言うまでもない。先生方
の背後には、優秀な官僚諸君が控えているのである。あるいは、質問も答えも
すべて一人の演出家が考えたものかも知れない。ではこのやらせの目的は何な
のだろうか。それは簡単なことだ。テレビを見ている視聴者に、民主主義が正
常に機能しているという幻想を与えるためである。本当に重大な問題は、国会
で討論されるようなことは決してないのである。
別のやらせを考えてみよう。テレビのクイズ番組はどうであろうか。黒柳徹
子などが出演している番組である。視聴者はクイズの答えは出演者が自分で考
えて答えているとお思いであろうか。実はそうではないのである。その証拠
に、出演者が司会者に答えのヒントを求めることがある。それに対して司会者
はすらすらと答えている。こんな事は予め準備がなければ出来ないことなので
ある。すると、どんなヒントを求めてそれに対してどう答えるかということ
も、予め決められたシナリオの内であるということになる。ということは、肝
心の質問の答えも出演者が自分で考えているとは思えない。出演者は予め自分
に与えられている答えを紙に書いて見せるだけなのである。後は迫真の演技で
視聴者の目を誤魔化す。すなわち、やらせである。番組をスム−スに進行させ
るためには、あらゆる細部まで予め決定しておかねばならない。そうしてこ
そ、一定の思考様式に視聴者を誘導することが可能となるのである。
最後にワイドショ−の芸能人のゴシップネタを取り上げてみよう。誰それち
ゃんと誰それ君が恋愛関係にあるとか、別れたとか、浮気しているとか、離婚
しそうだとか、そういった類の情報である。まあこんなこと、本気で信じてい
る人も少ないかも知れないが、これまたでっち上げであることは明らかであろ
う。芸能人は夢を売るのが商売である。勿論、彼らにも私生活があっても良い
はずである。しかしその私生活まで含めて、派手なショ−を演出しなければな
らないのである。何故であろうか。芸能人とは大衆の憧れの的である。人間は
憧れの対象と自分を同一化するように行動するものである。こんなことは心理
学を持ち出すまでもないだろう。その憧れの的である芸能人は色恋沙汰に浮か
れている。すると大衆にとっても、それが理想の生活様式になるのである。こ
うして不倫や離婚で家庭は破壊され、男女関係はセックスだけの結びつきにな
り、女性の男性化、男性の女性化が進行して自然の生態系は破壊されてしまう
のである。
さて、本書で筆者が取り上げるのは、もっと重大なやらせである。それは、
殺人事件である。筆者がここで殺人事件がやらせであると言う意味は、殺人の
真犯人は決して捕まらないということなのである。すると逮捕されて自白して
有罪を宣告された人達は、殺人事件の犯人ではなかったことになる。彼らは虚
偽の自白を行ったのだ。すなわちこれ、やらせである。しかしこのやらせが前
述のものと異なる点は、彼らが決してやらせの積極的な加担者ではなかったと
いうことにある。彼らはいやいやながらこのやらせの共犯者にならざるを得な
かったのである。何故か。それは本書をじっくりと読み進めればお分かりにな
るだろう。
ところでこの国会答弁のやらせや、クイズ番組のやらせや、芸能人ゴッシプ
ネタのやらせや、殺人事件のやらせにしろ、すべてフリーメーソンが大衆に仕
掛けた心理戦争なのである。ここに心理戦争のテクニックの一つをご紹介しよ
う。
南北戦争中にハワ−ドと、マリソンという二人の新聞記者がAPの特電を捏
造したことがある。リンカ−ン大統領が40万人の徴兵を命じるというのだ。
陰謀者たちは、そのような徴兵が発表されれば、金融界や株式市場を揺さぶ
り、金の価格を高騰させるだろうと承知していた。そのため、二人がデマを流
す数日前に、ハワ−ドは大量の金をいろいろな名前を使って思惑買いした。彼
がこの計略の成功で何千ドル儲けたのかは、推測するしかない。
二人は逮捕されたが、減刑の嘆願を受け入れたリンカ−ンは二人を釈放し
た。実は、リンカ−ンは彼らに感謝の念を抱く特別な理由があったのだ。ハワ
−ドは詐欺師であるだけでなく、政治的軍事的状況を見る目があった。新規の
徴兵の必要性は非常に大きかった。事実、偽の声明が発表されたときに、リン
カ−ンの机の上には30万人の徴兵を命ずる本物の声明が置かれていた。リン
カ−ンは、偽の声明が大衆や金融市場に与えた影響を見て、実際の召集令を事
態が落ち着くまで60日間遅らせたのだ。
以上のエピソ−ドを聞いて思うのは、実はリンカ−ンもこの記事のでっち上
げに関与していたのではないのか、ということだ。徴兵の声明を発表すれば、
大騒動が持ち上がることは目に見えている。そこで偽の声明を流して事態が沈
静化するまで待ち、新たに本物の声明を発表するという訳だ。2度目の方が当
然、大衆に与える衝撃は少ないだろう。さらに、徴兵数が40万から30万に
減っているのもみそである。何か得をした気分になるからだ。
この心理戦争のテクニックは何も奇抜なものではない。商品広告のチラシの
値段のところに線が引かれて、その横に新たに値引きされた値段が書かれてい
るのを見たことがない人はいないだろう。うぶな人は本当に値引いて商品を売
っていると錯覚するかもしれないが、これが販売戦略の一つであることは良く
知られている事実である。最初から値引き価格で商品を売るために、わざと高い値段を商品に付けて置くのである。消費者は何か得をした気分になるからで
ある。
このテクニックは日本政治の誘導にも使われた。関東大震災後の「帝都復興
案」は、当初40億円にものぼる大計画だった。これが最終的には、「特別都
市計画法」と修正され、3億4200万円があてられることになったのだ。
時代が下って、つい先頃世間を賑わしたものに、オウム真理教に対する破壊
活動防止法の適用問題があった。結局破防法は適用されなかったが、1999
年の暮れに破防法をマイルドにした内容のオウム新法が成立した。
恐らく少年法改悪も、これと同じ手順を踏んで行われるだろう。最初に過激
な改悪内容が発表されて、その後その内容を和らげたものが施行されるという
具合に。あるいは政府は、もうこんな手順を踏む必要も感じていないかも知れ
ない。政治的なアパシ−(無関心)が大衆に蔓延してしまっているからだ。
それにしてもつくづくと感じるのは、大衆は何と騙され易い人種なのかとい
うことである。しかし振り返って我が身を考えると、つい先頃まで筆者もその
騙され易い大衆の一人だったのである。では筆者が何故このペテンに気づき、
催眠術から目を覚ますことが出来たかと言うと、それはマスコミ報道に疑いを
持ち始めたからである。一度疑ってかかれば、マスコミが垂れ流す情報の齟齬
は簡単に見つけることができる。後は、マスコミが大衆を欺くその理由を突き
止めれば良い。これは確かに大変な作業ではあった。不断の学習と鋭い知性が
要求される作業である。しかしその果実(楽しみ)もまた大きいのである。本
書が多くの読者の陰謀研究の一助となることを願って止まない。そして世の中
の矛盾に気づき陰謀の存在を疑い始めた人には、筆者から最上の格言をお贈り
したい。
すべてを疑え!
陰謀研究はこの一言に尽きるのである。