投稿者 SP' 日時 2000 年 10 月 23 日 17:02:04:
日本テレビ・ディレクター/矢追純一
「英国議会の上院内に、UFOを調査研究する専門の委員会ができた」という耳よりな情報を聞きこんだ私は、別の取材で、英国を訪れるのを良い機会に早速探訪してみることにした。
これまで、どこの国でもUFOの研究といえば、民間ベースの研究会か、せいぜい、軍のお声がかりの調査委員会とやらで一時的にお茶をニゴされるのがオチという状況だった。それだけに、国会内に常設の研究委員会ができたというのだから、これはビッグ・ニュースだ。しかも、保守的なことでは有名な英国議会。なおさら興味がそそられる。
1980年10月22日、私は、英国ロンドン市のイートンスクエアにあるクランカーティ伯爵の自宅を訪れた。
クランカーティ伯爵は、英国上院議員UFO研究会の委員長。その日は、会の重要メンバーの1人、キンバリー伯爵と共に我々のインタビューに応じてくれることになっていた。
クランカーティ伯爵の住居は、見るからに由緒正しそうな、古めかしい洋館。驚いたことに、我々が到着するのを待って、自ら玄関口に出迎えてくれた。
貴族でなくては入れないという格式高い英国上院の伯爵議員さまとは思えない、さばけた人柄だ。
クランカーティ伯爵は、身長180センチはあろうかという長身をキチッとした黒のスーツに包み、年の頃は70歳くらい。いかにも英国貴族らしい端正な細面の顔を上品な白髪がふちどっている。
どっしりとした、黒光のする家具に囲まれた立派な応接間には、既にキンバリー伯爵が待っていた。
キンバリー伯爵は、年齢60歳なかば頃。クランカーティ伯爵とは対照的に、でっぷりと太って貫禄のある体つきで、やはり高価な黒のスーツを窮屈そうに着こなしていた。大きく鋭い目が、厳とした貴族の風格を感じさせる。
●会の目的は英政府UFO情報の公開
インタビューにとりかかった私はまず、「国会の中にUFO研究会があるというのは、他に例がないと思いますが」ときりだした。
「いえ、実は、我々のUFO研究会は、公的機関としての性格を持つものではないのです」
と、クランカーティ伯爵。
会の名称は「英国上院議員UFO研究会」だが、これは、上院内に常設された委員会という公的なものではなく、上院議員の中の有志が集まって定期的に会合を開き、UFO問題を討議する、いわばプライベートな会なのだという。
クランカーティ伯爵の後を受けて、キンバリー伯爵が話し始めた。
「そもそも事の起こりは、1979年の1月に、このクランカーティ卿が発議して、英国上院で史上初めてのUFO問題の討議が行われたことに始まるんです。その時には賛否両論で、UFOなど、ありもしない現象に論議をついやすのは、時間のムダという議員と、UFO現象は現実に存在する、もし、これが地球外文明からのものだとすれば、国家的大問題……いや、全世界の人類にとっても重大な事態だから早急に委員会を作って研究討議すべきだという議員とに分かれました。そして、結局は政府側のいい分、つまり、UFOは科学的根拠のない、確たる証拠すらない現象だから、国会で論議するには当たらないという意見で締めくくられてしまったのです」
それにしても、国会で堂々とUFO問題が討議され、しかも、UFO委員会を設置すべきだという進歩的意見が少なからず発表されたということ自体、大変なものだ。
わが国の現状と比べると、保守的なはずの英国の方がはるかに進歩しているといえるだろう。
この、英国議会始まって以来というUFO討論のあと、真にUFO問題を憂慮する議員ばかりが集まって研究会を作ったというのだ。
「会のメンバーは何人くらいですか」
「現在は25人ですが、まだまだ増やさないといけないと思っています」
「するとメンバーは、全部、貴族ばかりですか」
「ええ、伯爵や子爵ばかりです」
「会の一番の目的は?」と聞くと、クランカーティ伯爵がぐいと身を乗りだした。
「英国政府は、米政府と組んでUFOに関する情報を隠そうとしています。米国では、ご存知のように“情報自由化法”に基づいてCIAが訴えられ、その結果、900ページ以上ものUFO極秘情報が公表されました。しかし、わが英国には、残念ながら情報自由化法がありません。そこで、我々上院議員グループが率先して、何とか情報自由化法にかわる法律を制定するよう働きかけ、その結果として、政府の隠しているUFO情報を公開させようというのが、我々の最大の目的なんです」
●UFO問題に真剣に取り組む仏政府
「英国政府がUFO情報を隠しているという、具体的な証拠はあがっているんですか」
「我々のメンバーの誰かが、秘密金庫の中の極秘書類を読んだ、というような確たる証拠はありません。しかし、政府が故意にUFO問題を国民の目からそらそうとしている証拠はたくさんあります。例えば…」
と、クランカーティ伯爵は熱っぽく続けた。
「1974年2月21日、午後8時半。フランスのラジオ放送局“フランス・アンテル”が、UFO特集の中で、ロベール・ギャレイ仏国防大臣にかなり突っこんだインタビューをしたことがあります。この時、ギャレイ国防相は率直に、フランス当局がUFOに取り組んでいる現状を話し国民に一大センセーションを巻き起こしました」
その時のインタビューの内容を列記すると、次の通りだったという。
(1) 仏では1954年、既に国防省内にUFO調査課が設置され、すべてのUFO情報は、ここで分析研究されている。
(2) それらの情報の大部分は、国防大臣自ら目を通しているが、ほとんどが仏憲兵隊や空軍の上級将校、熟練したパイロットなどの信頼のおける人々からの報告で、UFO現象が実在することは間違いないと信じている。
(3) 1970年以降、UFO情報は新設されたGEPAN(空中現象調査会議)へ送られ分析されると同時に、CNES(国立宇宙研究センター)へも送付され、科学者による純粋に科学的な見地からの分析研究も行われている。このことから見ても、仏当局がいかにUFO問題を重要視しているかが国民にわかってもらえると思う。
(4) UFOは地球外文明からのものか、地球上の某国の秘密兵器かについては、いまだ結論を出すに至っていない。しかし、国防当局としては、何者たりといえ、わが領空を侵犯するものには、重大な関心を払わずにはいられない。
(5) 私(ギャレイ国防大臣)の個人的意見を述べれば、UFO問題については、広い心を持って率直に取り組むべきだと信じている。これまでの人間の歴史を振り返ってみても、説明のつかないことを説明しようと努力する時、人類は進歩したといえるだろう。我々の科学も、科学者がある時点で、ある現象について説明できない、あるいは理解できないと率直に認めた時、初めて進歩することができたのだ。
クランカーティ伯爵は話を続けた。
「この驚くほど率直な国防大臣のインタビューは、フランスはおろか全ヨーロッパ
にセンセーションを巻き起こしました。各新聞は一斉にこのことを大見出しで取り上げましたし、後には、このラジオ番組“UFO特集”は、本にまでなったくらいです。にもかかわらず、わが英国の新聞やマスコミは、なぜか、このことについて一行たりとも触れなかったのです。そこには、当局とマスコミの間に暗黙の了解、いいかえれば言論統制があったとしか考えられないのです。
私はその数日後、この不思議なマスコミの沈黙と政府の関係について、わが英国の国防大臣と首相に公式な質問状を提出しました。
その返事たるや、我々上院議員一同が唖然とするものでした。
何とそこには、私どもは残念ながら、そのようなラジオ番組の存在を知らない。また、仏国防大臣のインタビューがあったことすら知らないので、お答えの仕様がありません……と書かれていたんです。
ご承知のように、英国とフランスはNATO(北大西洋条約機構)で結ばれ、国防の面で共同戦線を張っているばかりでなく、経済的にも、いや地理的に見ても、ドーバー海峡を挟んで目と鼻の先にあるんです。それが、このように話題になった仏国防大臣の発言を全く知らなかったなどということが考えられますか。
この一事を見ても、わが英政府当局がUFO問題隠蔽作戦に加担していることは明らかです」
クランカーティ伯爵は、興奮さめやらぬ面もちでハンカチを出すと額の汗をぬぐった。
●極秘に地球製円盤が開発されていた
「では、お二方に伺いますが、UFOの正体は、一体何だとお考えですか」と聞いてみた。
今度は、キンバリー伯爵が身を乗りだす番だった。
「私は、UFOには2種類あると思います。別の惑星から来ているものと、この地球上で製造して飛ばしているものです」
キンバリー伯爵はここで言葉を切り、こちらの反応をうかがうようにじっと私の顔を見ていたが、やがて話を続けた。
「あれは、今から25年ほど前のことでした。私は当時、この英国に駐屯していたアメリカの空軍大佐と知り合い、かなり親密になったんです。この大佐の名は、ちょっと申し上げられませんが、仮にスミス大佐ということにしましょうか。スミス大佐は、当時の最新鋭のジェット戦闘機のテスト・パイロットをしていて、人望も厚く、誠実な人柄で嘘をつくような人ではありませんでした。
私とスミス大佐がある日、一緒にゴルフを楽しんだ後、ゴルフ場のレストランで昼食をとりました。その時のことです。話がUFOのことに触れたとたん、それまでニコニコと話に興じていたスミス大佐が突然、真剣な表情になり、あたりを見回しながら声をひそめて、意外なことを話しだしたのです」
スミス大佐は、ある時、北米戦略空軍基地内にある古びて壊れかかった、格納庫へ偶然入りこんでしまった。するとそこには驚いたことに、見たこともない形の新品の航空機が密かに格納されていたというのだ。
「それは、明らかに円盤の形をした飛行物体で、表面は銀白色にピカピカと光り、まだ製造したばかりという感じだったそうです」
古びた格納庫というのは外見だけで、中は、完全に整備され、超近代的な工場のように作られていた。円盤は、底面がお皿を伏せたような形で、その上にドームのようなものがあり、てっぺんには、サーチライトに似た光球がついていた。
「機体は、これまで大佐が見たこともないような強じんそうな金属でおおわれていて、ジェットの噴射口のようなものは見当たらず、推進機関が何であるのか、見当がつかなかったというんです。大佐は、この出来事のあと、ごく親しい友人たちにこっそり聞いてまわったところ、軍が極秘裡に円盤型航空機を開発しているが、まだ実用化には至っていないらしいという噂が流れていたそうです」
「今から25年も前に、そのような新兵器開発が行われていたとすると、今ではとっくに完成して、飛んでいるということが考えられますね」
「大いにあり得ますね。その時、大佐は、レストランの紙ナプキンに、自分が見たという新型機の図面を描いてくれたんですが、それは、アダムスキー型のUFOにそっくりでした。しかも、スミス大佐は、その後、カナダでも、同じ型の円盤を製造していることを知り、実際に、カナダの空軍基地内の秘密格納庫で見たといったんです。大佐は、自分の身の危険を案じてか、いくら聞いてもそれ以上のことは話そうとしませんでしたが、私の推測では、大佐は、この円盤型機の試験飛行にテスト・パイロットとして参加させられたのではないか……いえ、少なくとも、そのような場合に備えて、試作機を見る機会を与えられたのではないかと思うんです。さもなければ、最重要機密であるはずの新型円盤をカナダでまで見ることができるということは考えられませんからね」
「すると、地球製UFOは、アメリカとカナダが飛ばしていると……」
「いえ、まだ他にもあります」
と、クランカーティ伯爵が割り込んできた。
●UFOで世界制覇を狙うナチス残党
「ご承知の通り、第2次世界大戦が終わる直前、既にドイツのナチスは、円盤型航空機の開発を終え、実用化一歩手前までいっていました。もし、この新兵器の開発があと6ヵ月早かったら、戦況は完全に変わっていただろう、といわれているくらいです。そして、第2次世界大戦終結と同時に、ナチスの科学者は2分され、米国とソ連にそれぞれひきとられました。このことからみても、ソ連で同じような研究が進んでいると考えるのが、自然でしょう」
とすると、一体どのくらいの数の地球製円盤が飛回っているのだろうか。(中略)
話が脇道にそれてしまった。再び、英上院議員とのインタビューに戻ろう。
●地球外から飛来するUFOが圧倒的
UFOの基地が南米にあるらしいという噂は、以前から欧米のUFO研究家に会う度に聞かされてきたことだが、その証拠となりそうな事実をクランカーティ伯爵が話しだした。
「1962年は、南米アルゼンチンを中心に、UFOが盛んに出現した年ですが、この年のうちに、何と2回も、UFOが飛行場の滑走路に着陸しようとした事件が起こっているんです」
伯爵の話を要約すると次の通りである。
1962年7月、アルゼンチン北東部にあるカンバ・プンタ飛行場の空港管制官ルイス・ハーヴィー氏は、何の通告もなしに着陸態勢に入った飛行機を見て大いに慌てた。
不思議なことに、ハーヴィー氏が懸命に無線で呼びかけても、全く応答がない。光による信号も試みたが、無視するかのようにぐんぐんと近づいてくる。
仕方なく、着陸準備を始めたハーヴィー氏は、次第に接近してきた飛行機を見て肝をつぶした。
何とそれは、飛行機とは似ても似つかない円盤型の物体で、アッという間に滑走路の地上1メートルくらいまで降りてきたと思うと、ぐるぐると旋回を始め、そのてっぺんからは、青、緑、オレンジの色を交互に発射しだした。そして、驚きのあまり呆然としているハーヴィー氏たちを尻目にUFOは、5分後には、急上昇して消えてしまったのだった。
「そしてその年の1
2月20日の午前2時15分には、ブエノスアイレス近くのエセイサ国際空港に、UFOは堂々と着陸したんです。当夜の空港管制官オレショ・アロラ氏とホセ・ベスティ氏は、ちょうど着陸する予定だったパンアメリカン航空のDC−8型機の誘導に忙しかったんですが、ふと気づくと、フットボール型のUFOが、滑走路の真ん中にデンと着陸しているのにびっくりしました。このままでは、DC−8と衝突事故が起こる。急速に接近してきたDC−8に緊急上昇命令を出そうとハーヴィー氏が無線の送話器を手にとった瞬間、UFOは、スーッと一気に5、600メートルの高度にまで上昇し、アッという間に飛び去ってしまったというんです。
このような事件は、南米で度々起こっていて、なかには、海中から飛び上がるUFOを目のあたりに見た軍関係者もいるくらいなんです。ただ、こういうUFO事件のうち、どのくらいが地球製のものなのかはわかりませんがね」
キンバリー伯爵が話を継いだ。
「もちろん、地球製UFOと呼ばれるものは、まだ完全ではなく、それも大気圏モードのもの、つまり地球の大気圏内だけしか飛行できず、空気のない宇宙飛行には使えないものだけに限られているようです。
一方、UFO現象そのものは、聖書や世界各地の古文書に記されている通り、文字として残っているだけでも、今から4、5000年も前から報告されています。
わが英国でUFOフラップが起こったのは、1907年ですし、その当時は、まだ航空機といえるほどのものはなかった頃ですから、これらが、ナチスのものや地球製のものとは考えられません。つまりUFOは、地球外の惑星から来ているものの方が、はるかに長い期間、しかも数多く現れていることは明らかです。
現に米国で製造されているといわれるUFOは、米国内に墜落した地球外起源のUFOの残骸を回収し、それを分析したものから研究し、作られているといわれています。オハイオ州デイトンのライトパターソン空軍基地には、少なくとも8機の墜落UFOと、その乗員の宇宙人の死体が20体ほど隠されているはずですが、これまた、軍と政府の協力による厳重な秘密の扉の向こうに隠されてしまっているんです」
「しかし、それらのUFOや乗組員が、確かに地球外文明のものであるかどうかという証拠は、握っておられるんですか」
「残念ながら、真に確実といえる証拠は私たちの手許にはありません。しかし、そこに収納されている死体は、いずれも、身長100〜120センチくらい。髪の毛と耳はなく、頭部は身体に比べて異様に大きく、両腕がヒザに届くほど長いといわれています。
これらの詳細については、恐らくわが国の国防省の秘密金庫にも収まっているはずなんですが……」
その時、突然、クランカーティ伯爵が意外なことを話しだした。
「実は、米国のアイゼンハワー元大統領は、密かに宇宙人と会見していたらしいんです」 (つづく)■
“英国上院UFO研究グループ”の会長クランカーティ伯爵は、「米国のアイゼンハワー元大統領が、宇宙人と会見した事実がある……」と驚くべきことをいいだした。
「その話をする前に、アメリカの上院議員バリー・ゴールドウォーター氏が、ライトパターソン空軍基地の秘密エリアを探訪しようとした事件から、お話しした方がよいでしょう」
クランカーティ伯爵は話を続けた。
「ゴールドウォーター上院議員は、かねてから“この広大な宇宙には、我々地球人類よりもすぐれた文明を持つ宇宙生物がたくさん存在している。我々が、この宇宙での唯一の高等生物だなどと考えるのはナンセンスだ”と主張してきた、識見の広い進歩的な議員でした。彼が、1960年の初めにライトパターソン空軍基地を訪れ、古くからの友人、カーティス・ルメイ将軍に会って、基地内の秘密エリアにある“ブルー・ルーム”を見せて欲しいと頼んだのです。
当時からライトパターソン空軍基地は、米国内に墜落したUFOの残骸と宇宙人の死体を回収し極秘裡に保管、研究分析している所として有名で、“ブルー・ルーム”は、その保管庫といわれていた秘密の部屋です。
それまでニコニコと歓談していたルメイ将軍は、突然、表情をひきしめると、“冗談じゃない。あそこにだけは特別な人間以外は誰1人入れない。アメリカの大統領といえども、いや、この私さえ、一度も足を踏み入れることを許されたことがないんだ”と異常なまでに厳しい態度で断わったというんです。
米軍が、極秘中の極秘扱いにしているといわれる“回収UFOと宇宙人の死体”のことだけに、当然といえば当然な反応といえるでしょうが、実は、その裏にもっと恐るべき事情が隠されているんじゃないかと推測されるんです。
というのは、ゴールドウォーター上院議員が、この時“ブルー・ルーム”を訪れたのには、それなりの情報を既に得ていたからだと思われるんです。つまり、彼は、UFOの機体と宇宙人の死体が、そこに隠されていることを知っていたばかりでなく、実は、生きたままの宇宙人が、この“ブルー・ルーム”に幽閉されているのではないかと考えていた……そして、その宇宙人と会って話をしてみたいとまで思っていたらしい節があるんです。ゴールドウォーター氏が、こう考えたのには、実は、ある種の確かな情報が手に入っていたからだと思われるんです」
●宇宙人は大統領に超能力を披露した
「その確かな情報というのは、一体何なのですか」
私は、たたみこんで聞いた。
「それが、最後にお話ししようとしたアイゼンハワー大統領の件なのです。
ミスター・ヤオイもご存知の通り、1947年から1978年に至るまでに、20件近くものUFO墜落事故が起こり、それらのうち、ほとんどの回収物とその乗組員は、最終的には、オハイオ州デイトンのライトパターソン基地へ運ばれました。しかし、そこに至るまでには、一時的に、事件の起こった現場近くの空軍基地へ保管されることが度々あったのです。そして、1954年の12月20日、ついに、こうしたUFO墜落事件の噂をアイゼンハワー大統領が知るに至り、大統領自ら、お忍びで、ロサンゼルス郊外のエドワーズ空軍基地へ赴くことになったというのです。
当時、エドワーズ基地の第27格納庫には、基地近くの砂漠に墜落したUFOの機体とその乗組員の死体(?)が保管されている、という噂が密かにささやかれていました。アイゼンハワー大統領は、あらかじめ慎重に練られた作戦通り、友人の牧場を訪ねてゴルフ休暇を楽しむという名目で、カリフォルニア州パームスプリングスへ出向きました。そして、その滞在期間中の1日だけ、つまり2月20日ですが、突然新聞記者たちの目から、姿をくらましました。その実、密かに用意された軍用ヘリコプターで、パームスプリングスからほど近い、エドワーズ空軍基地を訪れ、第27格納庫内で、宇宙人と会見した、といわれています。
一説によると、この時、アイゼンハワー大統領が見たのは、墜落したUFOの残骸と宇宙人の死体だったというのですが、私の情報ではどうやら、
生きたままの宇宙人と会見したらしいのです。その時、宇宙人側は、大統領に様々な超常現象を目の当たりに起こして見せたといいます。彼らは、何ら機械らしいものを使わずに自分の身体を空中に浮かせる、空中浮揚をしてみせたり、大きな物体やUFOなどを念力で動かす、物体瞬間移動を見せ、さらに、テレパシーによって会話をかわしたそうです。
これらの、想像を絶する現象をまざまざと見せつけられた大統領は、この時、“これは、現在の地球上の常識をはるかに超えている。もし、このような事実を大衆に知らせたら、大衆は、回復不可能なパニックに陥る危険性がある。宇宙人とUFOの存在は、当分、超極秘扱いにすべきだ”と結論したといわれます。
そして、それ以来、米軍当局とCIAなどの諜報機関によるUFOの事件隠蔽作戦が展開されることになった訳ですが、この時のUFOと宇宙人は、その後、エドワーズ空軍基地から密かに運び出され、ライトパターソン基地へ移されたといわれているんです」
とすると、ライトパターソン基地には、今なお、生きたままの宇宙人が、とらえられているのだろうか。
それまで黙っていたキンバリー伯爵が話し始めた。
「その時に立ち合ったのは、大統領ばかりではないそうです。ジャーナリストや牧師、科学者、といった、各界から慎重に選び抜かれたごく少数の人々が参加したといわれています。どうやら、この会見をアレンジした当事者……それが軍の情報部なのか、諜報機関員なのかはわかりませんが……その計画立案者は、この事実を大衆に知らせるべきかどうかを判断する参考にしようと、大統領を始め、いろいろな人々の反応を見ようとしたらしいのです」
「なぜ、そうまでして、この会見を仕組んだ当事者たちは、宇宙人の存在を隠そうとしたんでしょうか」
「いろいろな事情が考えられます」
と、クランカーティ伯爵が口を挟んだ。
「まず第一に考えられるのは、このUFO自体の推進力の秘密や宇宙人の持っている高度なテクノロジーを誰よりも早く手に入れた国家が、地球を征覇することができる、ということです。つまり、米軍、あるいは諜報部門の最高首脳陣は、手に入れたUFOを解体するなり、宇宙人に口を割らせるなりして、この超文明の持つテクノロジーを独占したいと考えている。そして、それが既にある程度、進められているらしい。だからこそ、この事実を他国の情報機関に知られたくない。いや、そればかりか、自国の国民にさえも、宇宙人が存在することを気づかせたくない、と考えていると思うんです。
例えば、こういう例があります。今から数年前のことですが、私が、ある航空雑誌に頼まれて、フランスのパリに行った時、偶然にも、米空軍のUFO調査機関“プロジェクト・ブルーブック”に所属していたという人物に会って食事をしたことがあるんです」
●重力推進の基礎的研究は着々と進行
クランカーティ伯爵の話す、そのX氏(実名が出せないので伯爵はこう呼んでいた)との一問一答は次の通りだった。
ク「あなたの当時の仕事は何だったのですか」
X「UFO目撃者にインタビューをして詳細を聞いたり、UFOの実写フィルムや写真などを回収し、分析、整理するのが任務でした」
ク「その中には、UFOだとはっきり証明されるようなものは?」
X「ありました」
ク「それらが、地球外からのものという証拠は?」
X「いくつかあったように思います」
ク「それらは、どうしたんですか」
X「特別なファイルに入れてしまいこみました」
ク「ファイルはどこへ行くんですか」
X「わかりません。その後はそのことを忘れるように、といわれていました」
ク「それは、どうしてでしょう」
X「わかりません。とにかく、我々の仕事は、UFOが、ありふれた現象の見間違いや錯覚にすぎないということが証明できるような事例、つまり合理的に説明できるものだけを探し出すことにあった訳ですから……」
ク「すると、UFOが地球外からのものであるということ……いいかえると、UFOが存在するということ自体も、大衆の目から隠しておきたいという意図のもとに“プロジェクト・ブルーブック”は活動していたということになりますね」
X「今考えると、確かにそういうことがいえます。そういえば、当時、情報局からの書類をちらっと見たことがありますが、そこには、“UFO問題は当面、極秘裡に扱うべきである。もし、事実が、仮想敵国に知れるようなことがあれば、それは、わが国の安全上、重大な脅威になる恐れがある。この種の情報は、事態が解決する目処がつくまでの期間、大衆の目から隠しておく必要があるものと考える”と書かれていたんです」
クランカーティ伯爵は話を続けた。
「この、事態が解決する目処がつくまで、とあるのは、彼らが自分たちの作るUFOが完成し、武器として使用可能になるまでという意味であることは明らかです。そして、その計画が着々と進行していることも確かなのです。例えば、1955年には、既にアメリカ国内の35以上のエレクトロニクス研究専門の会社、航空機製造会社、それに大学などが、最高の科学者陣の指導のもとに、重力の研究に取り組んでいたことが資料によってはっきりしているのです。それらの機関のひとつ、マーチン航空会社は、ヨーロッパからはるばる2人の重要な科学者を呼び寄せています。それは、ゲッティンゲン大学の理論物理学者バークハート・ハイム教授とハンブルク大学のパスカル・ヨルダン博士ですが、2人は、重力と電子磁気学の権威なのです。
「今から25年も前に、既に重力場の研究に着手していたとすると、もう重力推進による飛行方式は完成しているんでしょうね」
「それはわかりません。何しろ重力というシロモノは、いまだに科学者にとって最も大きな謎のひとつとされているぐらいですからね。ただし、基礎的研究は、着々と進行していると考えていいでしょう。そのよい例は、アメリカのUFO研究家レイ・パーマーの書いた『フライング・ソーサー』という小論文です。それには、“1967〜1972年の5年間に、アメリカ特許局に申請された新しいエネルギーに関する発明のほとんどは、UFO製作に必要と思われる新しい電導体や磁力線関係、重力関係のものばかりだった”とあるのです」
そういえば、1979年、私がCIA極秘文書公開事件をもとに全米を取材してまわった際、行動を共にした元NSA(米国安全保障局)の情報部員トッド・ゼッケル氏も、
「米軍製のUFOが盛んに墜落しているようだ。私が聞いた情報には、地球外文明からのUFO墜落事件の外に、地球製UFOのものもかなりまじっている。連中の科学力は、宇宙人のそれに追っつかないらしいな」
と、いっていたのを思い出
した。
この話がどこまで真実かはわからないが、大いにありそうなことだ。
CIAは、情報自由化法に基づく裁判に敗れUFO極秘情報を公開した際、
「この外にもまだ57件の極秘文書があるが、それは公表すると米国の安全にとって重大な脅威となる恐れがあるので公表を差し控えたい」
と述べているが、私がニューヨークで会った、この対CIA裁判の当事者、ピーター・ガーステン弁護士は、
「私の調査では、57件どころか少なくとも200件以上の文書が、国家最高機密文書として隠されていることがわかっています」
と話していた。もし、これら200件もの文書が公開されれば、地球外文明からUFOと宇宙人、さらに地球製UFOの秘密についてもはっきりするに違いない。
●隠蔽作戦はもはや意味をなさない
今度は、キンバリー伯爵が話し始めた。
「この外にも、政府当局者がUFO事件を公表したがらない理由はいくつか考えられます。例えばUFOが頻繁に姿を現す地域というのは、重要戦略基地や、核兵器貯蔵庫付近、新型核兵器の秘密実験場、それに核ミサイルの地下秘密基地に圧倒的に多いのです。ということは、UFO事件を公表することによって逆に、これらの重要軍事施設や実験内容を敵方に悟られてしまう危険をはらんでいることになるのです。
また、イラン空軍UFO遭遇事件(本誌44号既報)の例でもわかる通り、地球上の最高のテクノロジーを使って作りあげた武器も、宇宙人のUFOの前には何の役にも立たないことは明らかです。もし、このようなUFO事件の詳細を次々に公表していくと、国民が高い税金を支払って作り上げた軍備が全く無力なものであることを自らさらけだすことになり、軍当局にとっては非常に都合の悪いことになるでしょう。
そしてもうひとつ考えられるのは、我々の社会体制にかかわる問題です。仮に、宇宙人から、彼らの超文明の持つ、未知のエネルギーをひき出す方法を教わったとします。それは、ただに近いほど安価で、ごく簡単に得られるエネルギーだとしましょう。すると石油エネルギーに依存している、現在の地球上のすべての企業は廃業または転業をしなければならなくなり、莫大な資本を投下した設備は、無用のものになってしまいます。これら、いろいろな理由が複合して、UFO問題は隠蔽すべきである、という方針が決定されたのだと思うのです」
クランカーティ伯爵が身を乗りだした。
「わが英国政府当局も、その隠蔽作戦に加担していることは明らかです。例えば、数週間前、私はロンドンのスコットランドヤード(警視庁)に頼まれて、大勢の警官たちの前でUFOについての講演をしたことがあります。講演が終わると、警官たちは次々に、UFOの形状や、飛行する時のようす、どこから来ているかなどについて質問しました。よく聞いてみると、警官たちの大部分が、自分でUFOを目撃したり、毎日のように市民からのUFO目撃の報告に接して困っているというんです。私はびっくりしました。そのような事件は、新聞でもテレビでも、ただの一度も報道されたことがなかったからです。彼らに、そのような事件が起きた場合、どうするのかと聞くと、上司に報告書を提出するが、それっきりどこかへやられてしまって、うやむやに終わってしまうというんです」
キンバリー伯爵も体を乗り出した。
「実は、私の息子の1人は、ロンドンで警官をしているのですが、上司は、スコットランドヤードの上層部へ書類をまわし、それから国防省へまわされるはずだというんです。国防省には、それをチェックする機関があるらしいというのです。にもかかわらず、我々上院議員でさえ、そのような機関があることを知らされていないのです。私自身“そのような機関があるのかどうか。もしあるなら、どの部局のどういう人物がどのような目的でチェックするのか。わが国にもフランスのような科学者による研究機関があるのか”などを公式な質問状にして国防長官に提出しました。そして、その返事は、ノーでした。そのような夢物語に労力を費やすような機関を設置することは我々に許されていない、といったような内容なのです。彼らは、いまだに、1953年にアメリカのロバートソン査問会が示唆した“大衆がUFO問題をバカにする作戦”というのを律義に守り続けているに違いありません。
例えば、つい先頃、グラスゴーという市の近くで、5人の信頼すべき警察官がUFOを目撃するという事件が起こりました。その時の新聞の記事はというと、恐らく、警官のウイスキーの飲みすぎによる錯覚だろうというものだったのです。しかし、5人もの警官が、制服を着た勤務中に全員ウイスキーを飲んで泥酔しているなどということが考えられますか。にもかかわらず、こういう記事が出るということは、そこに政府上層部からのコントロールがあったとしか考えられないのです」
クランカーティ伯爵が話をひきとった。
「私は、大衆がパニックを起こす恐れがあるから云々といういい訳はもう意味をなさないと思うんです。現在の状況では、大衆は既にUFOや宇宙人について、ある程度の知識を持つに至っていますし、宇宙人側が、これまでに我々に対して何ら被害を及ぼすような行動に出ていないことも知っています。事態がどうあろうと私は、UFOと宇宙人についての事実を、国民大衆に知らせるべきだと信じています。これは、体制や国家的利益云々の問題ではなく、地球人類全体の運命を左右する大問題だと思うからです。そして、大衆には、どのような情報であろうと、それを知る権利があると思うのです」
とクランカーティ伯爵は熱っぽく話を結んだ。
私は、最後に「日本の読者に」と2人にメッセージを頼んだ。
キンバリー伯爵は、ニッコリして、
「これまでSFの世界にすぎなかった宇宙間戦争は、今や現実のものとなろうとしています。日本の皆さん、我々と力を合わせて、UFO極秘情報の公開を勝ちとりましょう」
といい、クランカーティ伯爵は、
「日本の皆さん。近いうちに宇宙を飛行するUFOの中でお会いできるのを楽しみにしています」
といたずらっぽくウィンクした。■