投稿者 FP親衛隊國家保安本部 日時 2000 年 10 月 22 日 12:52:06:
【カイロ21日小倉孝保】
パレスチナ・イスラエルの衝突を受け、アラブの対応策を協議する緊急アラブ首脳会議が21日、カイロで開幕した。クリントン米大統領らの仲介する17日の緊急中東首脳会談で、停戦合意したにもかかわらず、20日にはパレスチナ人10人が死亡したことなどで反イスラエル感情が噴出。アラブ有数の親米国、サウジアラビアがイスラエルとの関係凍結を提唱するなどイスラエル非難を展開し、冷静な対応を求めるエジプトなどとの対応の違いが鮮明になった。22日にイスラエル軍の武力行使を非難する共同声明を採択し、閉幕の予定で、外交関係の見直しを含む強硬措置を盛り込めるかどうかが焦点となる。
サウジのアブドラ皇太子は「アラブ世界の怒りを封じ込めようとするいかなる決定にもくみしない」と述べ、「イスラエルとのあらゆる関係構築を凍結し、和平交渉にからむすべての関係を無効とするのは当然のことだ」と具体的な対イスラエル戦略を提示した。皇太子はパレスチナ和平交渉だけでなく対シリア、レバノン交渉で実質的な進展があれば、関係修復は可能とする意向も合わせて示した。
アラブ陣営では、エジプト、ヨルダン、モーリタニア3国がイスラエルと外交関係を樹立。モロッコ、チュニジアが利益代表部を、カタール、オマーンが通商代表事務所を置いていたが、オマーンは12日、事務所を閉鎖している。提案は、これらの諸国を念頭に置いたものだが、米国とつながりが深いサウジにしては異例の強硬姿勢といえる。
一方、ムバラク・エジプト大統領は、多数のパレスチナ人の犠牲を踏まえ「抑圧は安全を保障しないし、侵略は和平を生み出さない」としながらも、イスラエルに対する冷静な対応を訴えた。
強硬派諸国は、共同声明の中に対イスラエル外交関係の凍結や、アラブ・ボイコット(イスラエルと関係する外国企業との取引禁止などの制裁措置)を明記するよう主張。和平の枠組みの崩壊を防ぐため、制裁措置の「警告」を盛り込んだ穏健な対応を主張するエジプトなどとの調整が難航しそうだ。
アラブ首脳会議は1996年以来4年ぶりの開催。イラク軍のクウェート侵攻(90年)以来、初めてイラクも招待され、アラブ連盟加盟21カ国とパレスチナ解放機構(PLO)代表が勢ぞろいし、アラファト・パレスチナ自治政府議長ら14首脳が出席した。
[毎日新聞10月22日] ( 2000-10-22-01:03 )