投稿者 FP親衛隊國家保安本部 日時 2000 年 10 月 08 日 22:32:00:
エルサレム――混乱の続くガザ暫定自治区で8日、イスラエル軍がパレスチナ勢力が拠点としていたマンション2つを爆破した。ガザ地域では先月28日に、ユダヤ・イスラム両教にとっての聖地で暴動が起きて以来、イスラエル治安維持部隊による武力行使でパレスチナ人が80人以上死亡。イスラエルのバラク首相が7日夜、パレスチナ自治政府に混乱終息の「最後通告」をつきつけた直後には、国連安保理がイスラエル非難決議を採択するなど、和平交渉の期限切れを目前に、中東は混乱を極めている。
イスラエル軍の技術部隊は8日、パレスチナ系住民がイスラエル兵を狙撃するのにアジトとして使っていた高層マンション2棟を、爆薬で爆破した。マンション2棟は、先月28日から続いている暴動の中心地ネツァリム・ジャンクションを見下ろすため、狙撃にはかっこうの場所に立っていた。ネツァリム・ジャンクションには、イスラエル軍の駐屯地がある。
イスラエル軍はさらに示威行動として、ヨルダン川西岸地区のヘブロンに攻撃用ヘリコプターを派遣し、パレスチナ勢力の狙撃地点を爆撃した。パレスチナ勢はここ数日、イスラエル系集落プサゴットに向かって、狙撃を繰り返してきた。軍はこの日、集落の住民に対して避難勧告を出した。軍関係者によると、住民を避難させた後、パレスチナ勢に向かって戦車砲撃を開始する可能性もあるという。
イスラエルのバラク首相は爆撃の後に会見し、「暴動終息に向けてアラファト議長が48時間以内に明確な行動をとらなければ、和平交渉を放棄したものとみなす」と、7日夜の「最後通告」を繰り返した。
「その場合、何をするべきかわれわれは熟知している」と話したバラク首相は、48時間の通告期限が切れる9日はユダヤ教徒にとって重要な「あがないの日(ヨム・キッパー)」だから戦闘は停止するのかと記者団に聞かれると、1973年10月のあがないの日に攻撃が始まった第四次中東戦争に言及し、「あの時もわれわれは勝利した」とコメント。強硬な姿勢を見せた。
軍が複数目標を爆破
イスラエル軍は8日、「イスラエル軍やイスラエル住民に向かって発砲すれば、発砲したその地点は我が軍にとっての軍事目標となり、攻撃・破壊の対象となる」と、パレスチナ側に警告した。
イスラエル軍はさらに、ネツァリム・ジャンクション近くの「工場」と呼ばれる建物も爆破し、駐屯地を狙う位置にある建物を排除した。
イスラエルのバラク首相は7日夜、アラファト・パレスチナ自治政府議長が48時間以内に暴力行為を止めさせなければ、和平交渉を中断させる考えだと見なし、軍はあらゆる鎮圧手段をとると、「最後通告」を言い渡している。
一方、国連の安全保障理事会は7日、賛成14棄権1(米国)で、イスラエル避難決議を採択した。
聖地訪問が引き金
中東和平合意の期限切れを目前に、9月28日から続いている一連の流血事件は、過去4年間で最悪の規模となった。パレスチナ・イスラエル双方の住民衝突は、イスラエルの右派野党リクード党のアリエル・シャロン党首が、エルサレム旧市街地にあるイスラム教とユダヤ教双方にとっての聖地を訪れたのが引き金となった。ユダヤ教徒は「神殿の丘」と呼び、イスラム教徒は「ハラム・シャリーフ(高貴なる聖域)」と呼ぶその場所は、和平交渉でイスラエル・パレスチナ双方が主権を主張して対立している問題の場所だけに、「挑発行為」と怒ったパレスチナ人が、警官隊と衝突した。