投稿者 佐藤雅彦 日時 2000 年 10 月 06 日 23:18:24:
回答先: Re: 恐怖!! 日焼け防止剤は皮膚細胞をボロボロにする 投稿者 山下ゆかり 日時 2000 年 10 月 06 日 19:28:50:
日焼け防止剤はホントウに安全か?
●「恐怖!! 日焼け防止剤は皮膚細胞をボロボロにする」〈Ψ空
耳の丘Ψ10 投稿NO:877( 2000/10/06 )〉で,私は『ニューサ
イエンス』誌に掲載された「日焼け止め防止剤のアブナイ側面」
という記事を紹介する前口上として、こんな文章を書きました――
「●日焼け防止剤を肌にたっぷり塗って炎天下あそび
に出かける愚か者連中のことを、とやかく言うつもり
はないけれど、「紫外線防止剤」などというクスリを塗
って素肌を直射日光に晒すほど馬鹿げたことはない
南アジアや西アジアの人々はターバンを巻いたり黒い
布(なんて呼ぶのか分からないので無粋な言い方を勘
弁してほしいのですが)をまとったりしてして、日光を衣
類の段階で物理的に遮断している。これぞ「文明」と呼
ぶに値する、と私は思うのですが。素肌に薬剤を塗って、
必要もないのに素肌を危険因子にさらすのは、それこ
そ低文明の“未開人”の行動だと思うんですが……。
●……で、今はどうか知りませんが「日焼け止めクリー
ム」が発売された当初は、微小な鉱物片をゲル剤に混ぜ
て、いわば石の破片を肌に塗りつけて光線を“反射”させ
るという原理で、サン・プロテクションを行なうものだったと
記憶しています。石の粉を肌に塗るんだから、肌にいいわ
けがない。まして汗など光化学的な反応を起こせばアレル
ゲンを作り出し、新たな炎症の原因にさえなりかねない。
化粧品メーカーは顧客がバカだと持って平気であぶねえ
モノ売りやがって――と感じてきたものでした。
●そうしたら、本日、陰謀系のニュースサイトで、日焼け
止めに使っている主剤そのものが皮膚に有毒だと判明
した、という最新の研究成果が伝えられました。
まあ、化学薬物その他の人為操作で自分の皮膚を虐
めている連中がどうなろうが、私は知ったこっちゃないで
すけどね。 それに青春時代に、やれ日焼けサロンだケ
ミカルピーリングだと皮膚に回復不能なダメージを与えて
おき、25歳くらいから急速に肌の老化が始まったとしても、
いまや美容外科へいって尻の皮を貼りゃすむことだしね。
どこかの夢カナエ姉妹みたいに、そういうアンドロイド化
で世俗的成功を収められる時代でもあるしさ……。【笑】
ついでにですが、この時に要約だけ掲載した『ニューサイエンス』
の記事の全文を、ここに紹介しておきましょう。
( http://www.newscientist.com/news/news.jsp?id=ns225940 )
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Sinister side of sunscreens
There may be a toxic ingredient lurking in ultraviolet filters
SUN-LOVERS beware: sunscreens could be toxic. A chemical
commonly used in sun lotions to protect against ultraviolet radiation
kills animal cells, Norwegian scientists have discovered. And it may
become more deadly after a few hours out in the Sun.
The widespread use of sunscreens has been increasingly questioned
by experts who say that it may not provide protection against skin
cancer because it encourages people to sunbathe for longer. Now
there is evidence that a substance called octyl methoxycinnamate
(OMC), used as a UVB filter in 90 per cent of sunscreens worldwide,
may itself be toxic.
Terje Christensen, a biophysicist from the Norwegian Radiation
Protection Authority near Oslo, found that half of the mouse cells
in an ethyl alcohol solution died when OMC was added at five parts
per million, a much lower concentration than occurs in sunscreens.
Over 90 per cent of the cells survived in the solution without OMC.
When the team shone a lamp on mouse cells in the OMC solution
for two hours, to simulate midday sunshine, even more died than in
the original OMC solution. Christensen suggests this is because the
products of reactions between OMC and light are roughly twice as
toxic as OMC itself.
Christensen believes OMC could damage human cells if it penetrates
the outer layer of dead skin. Some sunscreens do this so they should
be treated "with caution", he says. "They should only be used when
other protective measures cannot."
Rona MacKie,
a dermatologist from the University of Glasgow,
stresses the difficulties of extrapolating from animal cells to people.
But she agrees that sunscreens should only be used as a last
line of defence against UV radiation.
The Cosmetic Toiletry & Perfumery Association, which represents
sunscreen manufacturers in Britain, points out that OMC "has been
thoroughly tested for safety" and approved by regulatory authorities
in Europe and the US.
●Source: Radiation Protection Dosimetry (vol 91, p 283)
( reported by Rob Edwards )
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●さて、この投稿にさっそく山下さんから、以下のような反論が寄
せられたので、その釈明を申し上げたいと思います。山下さんは
こう書きました。
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http://www.asyura.com/sora/bd10/msg/880.html
Ψ空耳の丘Ψ10 投稿NO:880 2000/10/06 19:28:50
投稿者: 山下ゆかり
e-mail:
題 名: Re: 恐怖!! 日焼け防止剤は皮膚細胞をボロボロにする
紫外線防止剤には、現在主に二酸化チタン(TiO2)が用いられ
ています。この、二酸化チタンには、二種類ありまして、紫外線
防止剤にはルチル型という構造を有する、非常に化学的に安
定な物質が用いられており、
>まして汗など光化学的な反応を起こせばアレルゲン
>を作り出し、新たな炎症の原因にさえなりかねない。
こういったことはおきません。
また、二酸化チタンは、可視光領域の光は反射するために白く
なりますが、紫外光は吸収するという特徴が有ります。
このコメントは、上記の記事を否定するものでは、有りません。
ただ、化学系の学生として、酸化チタンの開発を行っているもの
として、上記のような、情報不足の上での誤った認識を訂正さ
せていただきたいと思います。
URL:
リンクの題名:
参考投稿番号: 877
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●たしかに私は「酸化チタン」の研究開発に携わっていませんから、
門外漢です。そして山下さんの指摘は大変勉強になりました。すく
なくとも私がボンヤリと考えていた日焼け止め剤についての危険性
への懸念を、いま一歩、押し進めてくれるきっかけを与えてくれま
した。ご丁寧なご指摘を感謝します。
●しかし私の前口上を読んでいただければ分かりますが、チタン
なんて一言もいっておりません。たとえば日焼け剤のなかには紫
外線拡散のために(二酸化チタン以外にも)珪素系の化合物を入
れている場合があります。私が何年も前になにかで読んだ「日焼
け止めの仕組み」は、たしか珪素系化合物の超微細な粉末を混
ぜてあると書いてあったと思います。文字どおり「石の粉を顔に塗
りつけている」わけです。
●「石の粉」なら――珪素系の化学的に安定した化合物なら――
顔面に塗りたくっても安全なのか? 現在の、おそらくウサギか何
かを使った動物実験なら、「安全」という結果も出るかも知れませ
んね。しかし実際の世間の人々の使い方はウサギさまのように
“お上品”ではないでしょう。日焼け止めと一緒に別の化粧品を塗
るかもしれないし、その状態でアイスクリームやジュースをかぶった
り、海水をかぶることだってある。あるいはきわめて長時間、複数
の薬剤を皮膚に塗ったまま日光に当たったり、ろくに洗わないで次
の日を迎えることだってあるでしょう。つまり化粧品というのはきわ
めてヘビーデューティーな使われ方をしている。特に日焼け止め
はね……。それに超微粉末だと、毛穴などから組織に入っていく
可能性だって高まるでしょう。超微細な粉体ならではの物理化学的
な特性が、よかれあしかれ皮膚にユニークな作用をする可能性は
ある。たとえばそうした固体にまったく化学的な活性がないと仮定
しても。組織内に侵入した超微粉体が細菌その他を停留させる“砦”
となって、炎症を助長する可能性だってあるかもしれない。こうした
ことまで、きちんと安全評価されているんでしょかね。
●山下さんは、殊更に二酸化チタンに言及していますが、日焼け
止めは二酸化チタンだけで出来ているのではないでしょ。仮に二
酸化チタン自体が化学的にきわめて安定していて、単独での毒性
が極めて低いか皆無に近いとしても、他の成分との相互作用に
加えて、皮膚環境の生化学的条件や微生物フローラの状態、そ
れに温度・湿度・照射光などの物理的環境条件など、さまざまな
要素が絡み合うなかで、それでも「副作用」が出ないかどうか、が
問題なのではないか? たとえばフロンガスだって、ついこのあい
だまでは人工化合物の優等生だったはず。冷蔵庫の熱交換シス
テム内部で使用しているかぎり「安全」だったのですから。しかし
それが予期せざる環境に置かれて、とても都合の悪いことが起こ
った。そこが実験室レベルの思考で安全性を考える習慣の致命
的限界なんじゃないでしょうか。
●ところで、二酸化チタンは光触媒への応用が現在いっしょうけ
んめい進められていますよね。プラスチックに練りこんで「抗菌剤」
として用いているのも、二酸化チタンではなかったかな? つまり
紫外線を吸収しながらきわめて強力な酸化作用を発揮するので、
殺菌やPCBなどの分解に利用できるということで、「環境改善の
クリーン技術」としてもてはやされている。 それはそれで結構な
んですが、日焼け止めに使われている二酸化チタンは、こうした
光触媒反応をまったく起こさないのでしょうか? 木炭粉のように“安定”していて、触媒としての機能がまったく起こり得ないとする
なら、とりあえず安心でしょうが、それでもまだ安心できない。
日焼け止め剤を塗って2時間ほど近所をお散歩して、帰ってきて
すぐにヴァーナルの石鹸【笑】で、かなり酸化の進んだ日焼け止
め剤をすっかり洗い落とすならば別でしょうけど、朝に日焼け止め
を塗って海水浴に言って、日光や海水やキャンプファイヤの煙や
花火の煙なんかに晒されて、翌朝までほったらかし……といった
ヘビーデューティーな使い方でも日焼け止め剤の二酸化チタンは
何事も起こさず済んでくれるのでしょうか? 少なくとも、皮膚の
蛋白質に変性を起こさなくとも、常在細菌叢(フローラ)に何らか
の影響を及ぼすのなら、それはもはやアブナイ塗布物だと考えて
おいたほうが無難ではないかと思いますが……。皮膚の弱い私
は、そんな余計な心配をするのでありました。