投稿者 FP親衛隊國家保安本部 日時 2000 年 9 月 30 日 17:30:50:
【シドニー30日堀内宏明】
シドニー五輪の柔道男子百キロ超級の決勝で敗れた篠原信一選手(27)に「疑惑の判定」を下したニュージーランドの審判が、日本から届く「殺してやりたい」といった脅迫や抗議にノイローゼ気味となり、ニュージーランド国外に“脱出”したことが30日、分かった。
ニュージーランド通信などによると、海外に逃れたのは決勝で主審を務めたオークランド在住の教師、クレイグ・モナガン氏。22日の決勝終了後に帰国した同氏のもとには同国柔道連盟を通じて日本からの電子メールや手紙が殺到した。「篠原選手に謝罪しろ」「柔道界から引退しろ」「ニュージーランドは憎まれる国になった」といった内容で、「お前を殺してやりたい」というものもあった。これらの抗議に打ちひしがれたモナガン氏は長期休暇を取り、妻と旅行に出たという。
男子百キロ超級の決勝では、優勝したドイエ選手(フランス)が放った内またを篠原選手が透かし、ドイエ選手が背中から落ちた。近くで見ていた副審は篠原選手の「一本」を宣告したが、モナガン主審ともう一人の副審はドイエ選手に「有効」を与え、これが勝敗を分けた。
国際柔道連盟では審判が判定内容をメディアに話すことを禁じているが、ニュージーランド柔道連盟は「決勝の判定は公明正大だった」と声明を出している。同連盟のオラーク会長は「日本人の怒りの激しさには驚いた。日本人は、特に柔道家は自制心を名誉とするのではないか。今回抗議してきた人は柔道のことをよく知らないのだと思う」と話している。
個人責めるべきでない
東京五輪重量級金メダリストの猪熊功・全日本柔道連盟評議員の話 審判個人を相手に抗議や脅迫をするのは問題だ。五輪の審判はすべて、国際柔道連盟の試験に合格して審判を務めている。審判の質の向上や、誤審への対処は国際柔道連盟の責任で、個人を責めるべきではない。
潔い篠原を汚す行為
全日本柔道連盟の大矢喜久雄副会長(78)の話 今回のことは審判の技術的な未熟さが招いたことで、篠原選手をわざと負けさせようとしたわけではない。全柔連も柔道の将来のために、審判の教育についての働き掛けはする。脅迫の手紙などはかえって篠原選手の試合後の潔い態度を汚し、日本の柔道が軽くみられることになるので、やめてほしい。
[毎日新聞9月30日] ( 2000-09-30-15:01 )