この記事は「市民虐殺の濡れ衣をかけられるロシア」の続きです。
https://tanakanews.com/220408bucha.htm
ウクライナに侵攻したロシアを(根拠薄弱でかまわないから)非難・敵視したい
と考える米国側(米欧)は、「ロシア軍の(今のところの)2大戦争犯罪」とし
て、4月4日に大問題になった「ブチャ虐殺」と、4月8日に起きた「クラマトルス
ク駅攻撃」を挙げている。ドネツク州クラマトルスクの駅に、クラスター弾
(9N123K)をつけた弾道ミサイル「トーチカU」が着弾し、50人以上が死んだと
ウクライナ側が発表している。ブチャとクラマトルスクという2つの事件に共通
しているのは、事件が世界に報じられてすぐにウクライナ政府が「ロシア軍の仕
業だ」と主張し、米欧諸国の政府がすぐにそれを鵜呑みにして「ロシアが戦争犯
罪を犯した」と過激に非難し始め、誰の仕業なのかを判定する第三者機関の現地
調査も行われないまま(ロシアが国連で現地調査の必要性を訴えたのに米欧は
無視)、一方的で根拠薄弱なロシア犯人説が独り歩きしていることだ。現場はす
ぐに片付けられ、十分な現地調査は不可能になっている。
https://www.aljazeera.com/news/2022/4/8/an-abomination-world-reacts-to-deadly-kramatorsk-attack
'An abomination': World reacts to deadly Kramatorsk attack
https://tass.com/world/1435665
China warns against groundless allegations over Kramatorsk attack until probe finishes
スイスの軍人でNATO軍事顧問やスイス諜報部員を歴任し、欧州軍の諜報要員とし
て各地の戦地にも赴任した米国側のロシアなどの専門家であるジャック・ボー
(Jacques Baud)は、最近のインタビューで「断定はできないが、わかっている
ことを総合すると、これらの事件は2つとも、ロシアでなくウクライナに責任があ
るように見える」と言っている。元NATO軍事専門家が、ロシアへの濡れ衣を指摘
し始めたことは、とても重要だ。加えてボーは「何が起きたのか公正な調査もし
ないまま、米欧諸国の指導者たちがロシアを制裁する政策を決めてしまっている
のは、とても当惑する。欧米の戦略決定のやり方は異常な状態になっている」と
指摘している。全くそのとおりだと思う。(ボーは興味深いことをいろいろ言っ
ている。それらは改めて書く。英語が読める人は以下を読むと良い)
https://thegrayzone.com/2022/04/15/us-eu-sacrificing-ukraine-to-weaken-russia-fmr-nato-adviser/
US, EU Sacrificing Ukraine To "Weaken Russia": Former NATO Adviser
https://scheerpost.com/2022/04/09/former-nato-military-analyst-blows-the-whistle-on-wests-ukraine-invasion-narrative/
Former NATO Military Analyst Blows the Whistle on West's Ukraine Invasion Narrative - Jacques Baud
https://www.pressenza.com/2022/04/the-policy-of-the-usa-has-always-been-to-prevent-germany-and-russia-from-cooperating-more-closely/
"The policy of the USA has always been to prevent Germany and Russia from cooperating more closely"
ボーは、2つの事件の責任がウクライナ側にあるように見える理由について具体
的に語っていない(彼の立場上、詳述できないのかも)。しかし、オルテメディ
アの分析者たちが指摘・考察したものがネット上にいろいろ出ている(グーグル
は戦争プロバガンダ機関になっているので、検索してもほとんどロシア敵視文し
か出てこない。オルトメディアのサイト群を毎日丹念に見ていくしかない)。そ
うやって調べて、ブチャ虐殺については以前に少し書いた。今回はクラマトルス
ク駅攻撃について書く。
クラマトルスク駅攻撃がロシア軍でなくウクライナ軍の仕業と思える最大の理由
は、駅に着弾したトーチカUミサイルの胴体部分(ブースター)が、駅から西南
西の方向に少し離れたクラマトルスク市街地の公園に落下していたことだ。この
胴体部分は、ロシア語で「(このミサイルは)子供たちのため(の贈り物です)」
と書かれていたので「ロシアの戦争犯罪」を示すものとして有名になり、マスコ
ミが写真を喧伝している。米国の軍事専門家スコット・リッター(戦争前のイラ
クの大量破壊兵器を査察した一人)によると、トーチカUは着弾する直前に弾頭と
胴体部分が分離し、胴体部分が必ず弾頭の着弾地より少し手前に落下する構造に
なっている。弾頭の着弾地と、胴体部分の落下地点をつないだ線をずっと延長し
ていった先のどこかにミサイルが発射された地点がある。延長線上に軍事基地
などがあれば、そこから発射したと、かなりの確度で推測できる。
https://www.rt.com/russia/554138-kramatorsk-train-station-attack/
Kramatorsk train station attack: The key to finding the perpetrator lies in this overlooked detail - Scott Ritter
https://threadreaderapp.com/thread/1512534616388911107.html
bombing of civilians at Kramatorsk rail station by Tochka missile was criminal
そして今回のミサイルの着弾地であるクラマトルスク駅と、胴体の落下地点であ
る市内の小公園をつないだ線を延長していくと、45キロ先のドブロビリア
(Dobropillia、Dobropolye)の近くに、ウクライナ軍で唯一のトーチカUの保有
部隊である第19ミサイル旅団の基地がある。スコット・リッターは、ウクライナ
軍の第19ミサイル旅団がトーチカUを発射してクラマトルスク駅で子供たちを殺し
たことはほぼ間違いないと結論づけている。地上軍以外がとても貧弱なウクライナ
軍にとってトーチカUは貴重な兵器であり、第19ミサイル旅団は軍や政府の上層
部と直結する指揮系統にある。クラマトルスク駅攻撃を命じたのはウクライナ政
府の上層部だろうとリッターは言っている。
https://thealtworld.com/scott_ritter/kramatorsk-train-station-attack-the-key-to-finding-the-perpetrator-lies-in-this-overlooked-detail
Kramatorsk train station attack: The key to finding the perpetrator lies in this overlooked detail
スコット・リッターは4月4日から騒がれ出したブチャ事件についても分析したが、
道理の通った分析を発表したので危険分子とみなされて4月6日にツイッターの
アカウントを削除されてしまった。言論の自由を剥奪する極悪非道なツイッター。
イーロン・マスクに買収してもらって「矯正」されるしかない。マスクとツイッ
ターの戦いについても改めて書かねばならない。マスクがツイッターを買収しよ
うとした途端、ツイッターなどネット大企業とぐるになって歪曲的な言論統制を
やってきたマスコミが、テスラの欠陥に対する攻撃を一気に強めている。マスク
は潰されるかもしれない。
https://consortiumnews.com/2022/04/13/scott-ritter-twitter-wars-my-personal-experience-in-twitters-ongoing-assault-on-free-speech/
SCOTT RITTER: Twitter Wars―My Personal Experience in Twitter's Ongoing Assault on Free Speech
https://www.zerohedge.com/markets/teslas-autopilot-under-intense-regulatory-scrutiny
Tesla's Autopilot Is Suddenly Under Intense Regulatory Scrutiny, Media Attack
ブチャ虐殺事件にはウクライナ内務省傘下の諜報機関である国家警察が関与して
いるふしがあるが、国家警察はウクライナ政府の中で今回の戦争の情報戦(プロ
バガンダ)を担当しており、その背後には英国の諜報機関(MI6など)がいる。
英国軍の特殊部隊SASが開戦後もウクライナにいてウクライナ側を支援している
ことがわかっている。そしてベラルーシのルカシェンコ大統領によると、虐殺事
件が起きる直前のブチャに、英国人が使っている自動車が入ったことが、露ベラ
ルーシ側の諜報で判明している(この件はプーチンも知っているが黙っている)。
https://www.youtube.com/watch?v=CKShu_yUjrM
Bucha was "BRITISH JOB" Lukashenko claims.
https://tass.com/politics/1436653
Talks with Kiev and provocation in Bucha: what Putin, Lukashenko discussed
ブチャ虐殺事件は、情報戦でロシアを攻撃する濡れ衣を作るため、今回の戦争で
米国側の情報戦担当をしている英国の軍事諜報界が、以前からの傀儡であるウク
ライナ内務省や、その傘下の極右民兵のアゾフ大隊などを動かしてやらせた可能
性がある。そして、クラマトルスク駅への攻撃を第19ミサイル旅団にやらせたの
も、ロシア軍に濡れ衣を着せるための策略として、同じ英国とウクライナ内務省
の筋だったとも考えられる。英米は、ロシアを潰すために、露側を挑発するとこ
ろからこの戦争をウクライナにやらせている。英米は、ロシアを潰すためにウク
ライナ人が殺されてもかまわない。ウクライナ当局が独自にやったと考えると、
極右だとしても同じ国民を簡単に殺せるのかという疑問が残るが、英米がウクラ
イナ極右を洗脳した上で同じ国民を殺す策をやらせているのなら、この疑問も消
える。
https://www.dailymail.co.uk/news/article-10723345/SAS-troops-training-Ukrainians-use-British-supplied-anti-tank-missiles.html
SAS troops are now training Ukrainians in how to use British-supplied anti-tank missiles
https://www.rt.com/news/553656-sas-delta-deployed-ukraine/
US and UK conducting 'secret war' in Ukraine - Le Figaro
ブチャ虐殺事件に関して、欧米諸国の政府は足並みそろえてロシアが犯人だと言
っているように報じられているが実は違う。ゼレンスキー大統領がドイツの新聞
に語ったところによると、EUのとある大国(おそらくドイツ)の指導者がゼレン
スキーに対して「ウクライナ政府がブチャ事件でやらせを仕組んでいないことを
立証せよ」と言ってきた。EUの大国の上層部にも、ウクライナ政府がロシアに濡
れ衣を着せるためのやらせの演出としてブチャ事件を仕組んだと疑っている(し
かし覇権を握る米国が怖いので公言できない)指導者がいる。これが世界の実情だ。
https://www.rt.com/russia/553599-zelensky-eu-leader-wants-proof-bucha-killings/
EU leader wanted proof Bucha wasn't staged - Zelensky
落下したミサイルの胴体には、白い手書き文字のロシア語で「子供たちのために」
と書かれていた。ウクライナ当局によると、着弾時のクラマトルスク駅には子供
や女性を中心に5000人の避難民がいたそうで、その子供たちを殺す目的で皮肉な
白文字を描いたミサイルが発射されたことになる。意図的に市民を狙ったことに
なる。しかし、ロシア語で書かれているとロシアが犯人なのだろうか??。ロシ
アが犯人なら、むしろウクライナ語で書くのでないか??。ロシア語で書かれて
いるのは、実はウクライナが犯人で、「ロシアの戦争犯罪」に見せかけるために
書いたと考えることもできる。着弾から数時間後に米欧マスコミの記者が現場に
行った時には、避難民が誰もいなかった。本当に5000人の避難民がいたのかどう
か怪しい感じもする(以前の記事に書いたとおり、今回の戦争の難民数は誇張さ
れている)。
https://tanakanews.com/220315ukraine.htm
ウクライナ難民危機の誇張
クラマトルスクはロシア系が多いドネツク州にある。2014年以降ウクライナの極
右政府・民兵団に殺され続けたドネツク・ルガンスクのロシア系住民を守るため
に、今回ロシア軍が助っ人としてウクライナに侵攻した。ウクライナ系もロシア
系の親戚みたいなものなので、露軍は極右民兵団だけを退治して民間人を殺さな
いように進軍し、2か月間で2千人の市民しか死なせていない(米軍はイラク侵攻
後の1か月で数万人を殺した)。そんなロシア軍が、自分たちが守っているロシ
ア系など民間人の子供たちを意図的に殺すことはない。英諜報界に洗脳されたウ
クライナ側が、ロシアに濡れ衣を着せるためにやらされている可能性の方がはる
かに高い。
https://inshorts.com/m/en/news/1982-civilians-killed-2600-injured-in-ukraine-war-un-1650107853485
1,982 civilians killed, 2,600 injured in Ukraine war: UN
クラマトルスク駅を攻撃したトーチカUのミサイルについての話はもう一つある。
それは、ロシア軍が2019年末にトーチカUを使うのをやめていることだ。露軍は
トーチカUでなく、より高性能なイスカンデルを短距離弾道ミサイルとして配備
している。今回のウクライナ戦争でトーチカUを使っているのはウクライナ軍
だけだ。クラマトルスク駅を攻撃したのは露軍でなくウクライナ軍だということ
になる。ウクライナ政府とHRWなど米国系機関は、ロシアがウクライナ開戦直後
にドネツク州で病院をトーチカUで攻撃したと言っているが、米ウクライナ側は、
ウクライナ軍の仕業を露軍の仕業と言いくるめることが多いので、この手の主
張は信頼性が低い。
https://thesaker.is/a-disturbing-trend-in-the-ukraine/
A disturbing trend in the Ukraine
また、ウクライナから分離独立したロシア系が多い東部のドンバスの親露民兵団
は、兵器の多くがウクライナ政府軍から寝返った部隊が持ち込んだものだ。親露
民兵団がトーチカUを持っていた可能性もある。開戦直後にトーチカUを使ったの
は親露民兵団かもしれない。ウクライナ政府軍は、2014年の米国による政権転覆
・極右政権成立以降、内部の士気が以前にまして低下し、極右の支配を嫌って逃
亡する兵士が相次ぎ、部隊ごと兵器を持ってドンバス民兵団に寝返る部隊が頻出
した。ドンバス民兵団の兵器のほとんどは寝返りによって得られたもので、その
ためロシアはドンバス民兵団に兵器を密輸出する必要がなかった(私服の軍事顧
問団だけ派遣していた)。この話も、前出の元NATOのジャック・ボーが言っていた。
https://www.marxist.com/nato-lies-exposed-former-agent-speaks-out.htm
NATO lies exposed! Former agent speaks out!
露軍は、軍内のトーチカUからイスカンデルへの切り替えが終わったのが今年な
ので、米うっかり傀儡者が「露軍はまだトーチカUを使ってるじゃないか」と言った
りしている。ベラルーシ軍はトーチカUを持っているらしいし、動画の捏造も多
発しており、露軍がトーチカUを使っているかどうかというプロバガンダ戦争が
ネット上で展開している。こういう話は軍事オタクを引きつけるらしい。露軍は
今回の侵攻で目的外の誤爆・民間人殺害をしないよう、最新の精密誘導兵器を使
っている。露軍が使うなら、ソ連末期に開発されたトーチカUでなく、新しいイ
スカンデルを使うはずだ。着弾したのがトーチカUだった時点で、ウクライナ軍
がやった可能性が高い。
ネット上にたくさん作られた英語などのファクトチェック機関のほとんど(すべ
て?)も、マスコミとぐるになったロシア敵視のプロバガンダ機関である。彼ら
は、スコット・リッターやジャック・ボーやその他のオルトメディアの分析者の
指摘に対して、詭弁的ないろんな言いがかりをつけて「間違い」「フェイクニュ
ース」のレッテルを貼ることを仕事にしている。マスコミやファクトチェック機
関は、道理の通った分析をする者たちを恫喝して人類の思考を止めようとする卑
劣なやくざである。
https://tanakanews.com/180708posttruth.php
ポスト真実の覇権暗闘
https://www.bellingcat.com/news/2022/04/14/russias-kramatorsk-facts-versus-the-evidence/
Russia's Kramatorsk 'Facts' Versus the Evidence
クラマトルスク駅に着弾したトーチカUには「Ш91579」という製造番号(通し番
号)がついている。スコット・リッターらによると、ソ連末期の1991年の製造で
あることが示されている。ソ連はミサイル類を製造番号で管理しており、当時の
記録を見れば、どこに配備されたミサイルであるかがわかる。ソ連軍の記録はロ
シア軍が保管している。クラマトルスク駅を攻撃したトーチカUがウクライナ軍
のものだったなら、露政府はそれを知っている。旧ソ連の記録を公開するだけで
ウクライナ軍の仕業だと世界に示せる。リッターもそう書いている。しかし、露
政府は何も発表していない。
https://www.voltairenet.org/article216436.html
Evidence that the missile of the Kramatorsk station massacre is not Russian, but Ukrainian
ということは、やはり米国側が決めつけているとおり、ロシア軍の仕業なのか??。
私の見立ては違う。プーチンらロシアの最上層部は、この戦争が引き起こしてい
る米国側と非米側の劇的な対立を長引かせようとしている。今のような劇的な対
立が長引くほど、米国側の経済が資源不足やインフレ、金融バブル崩壊によって
自滅し、米国覇権が衰退してロシアなど非米側が台頭する。プーチンは、米国側
がロシアに極悪の濡れ衣を着せて劇的な対立を長期化することを、意図的に容認
しているふしがある。プーチンはロシア軍に新型の弾道ミサイルを実験させて米
露核戦争の懸念を扇動する演技もやって、米国側と非米側の対立を長引かせよう
としている。このシナリオに基づくなら、ロシア政府はクラマトルスク駅に着弾
したトーチカUの製造番号から配備先を特定する発表をしない方が良い。
https://tanakanews.com/220415econwar.php
米露の国際経済システム間の長い対決になる
https://www.rt.com/russia/554231-ballistic-missile-test/
Russia successfully test fires ‘unique' missile Putin
ウクライナ戦争は第2段階に入り、ロシアの傘下に入った東部のドンバス2州に駐
留するロシア軍と、2州とウクライナ側の新たな国境線に沿って展開するウクラ
イナ軍との戦いになっていく。ウクライナ軍はすでに各地で露軍に包囲されてお
り、戦いは長く限定的なものになる。米国側のマスコミは戦争を誇張し続ける。
この戦争が続く限り、米国側と非米側の劇的な対立も続き、米国側の経済が崩壊
していく。ロシアは自らにかけられた濡れ衣を放置し、すべてプーチンのせいに
された状態で、米国側の衰退と非米側の台頭が進む。
https://www.zerohedge.com/military/battle-donbas-full-swing-russia-launches-hellish-all-out-assault
"Battle Of Donbas" In Full Swing As Russia Launches 'Hellish' All-Out Assault
この記事はウェブサイトにも載せました。
https://tanakanews.com/220421kramatorsk.htm
http://www.asyura2.com/19/warb23/msg/663.html