ロシアは停戦協議中でも攻撃激化! ウクライナ首都キエフで進む「要塞化」
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2022/03/18 日刊ゲンダイ
【緊急現地リポート 第6弾】 |
元ボクシング世界王者でもあるキエフのクリチコ市長は「ギブアップなんて毛頭ない」と一喝(田中龍作ジャーナルから)
「歩み寄りへの望みがある」「建設的になった」──。14日から断続的に開催されているウクライナとロシアの停戦協議では、両国高官から協議進展への期待感が示されている。ところが、ロシア軍の攻撃は止まらない。ウクライナ南部の港湾都市オデッサ周辺が爆撃を受け、南東部のマリウポリは住民の避難場所になっている劇場までもが空爆された。いよいよ、首都キエフも時間の問題か。現地では本格的な侵攻に備え「要塞化」が進んでいる。
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「ここ数日で、キエフ市内のそこかしこで巨大なバリケードが続々と設置されています」
こう話すのは、現地で取材を続けるジャーナリストの田中龍作氏だ。強烈なインパクトを放っているのが、幅約10メートルもの幹線道路を完全に塞ぐ鉄骨製のバリケード。高さは4〜5メートルあり、「見た目はまるで『鉄橋』のよう」(田中氏)という。他にも、分厚い刃が「剣山」状に連なる“対戦車用マキビシ”も道路上に設置されている。
ロシア側は攻撃激化で交渉を有利に進める狙い
幹線道路を完全に塞ぐ鉄骨製のバリケード(田中龍作ジャーナルから)
さらに、道を塞ぐように無人の路面電車やバス、大型トラックが並べられている。「交通インフラ」までが、首都を守るバリケードに使用されているのだ。先月24日の開戦直後は、キエフ中心部にある政府機関周辺にバリケードが設置されているだけだったが、ここへきて、市内の広範囲で巨大なバリケードが張られつつある。キエフ全体の「要塞化」が急ピッチで進んでいる状況だ。
「私は11、13日に、キエフ中心部から北西20キロ程度に位置する町・イルピンを取材しました。当時も戦車による『ドン』という砲撃音が鳴り響く凄惨な状況でしたが、15日にも行こうとしたら、イルピンは立ち入り禁止になった。ロシア軍にほぼ制圧されてしまったからでしょう。キエフ市内に向けて徐々にロシア軍が進んできているようです。進軍をわずかでも遅らせるため、キエフの要塞化を急いでいるのだと思います」(田中氏)
停戦協議中にもかかわらず、ここまでロシア側が攻撃を激化させるのは、交渉を有利に進める狙いがありそうだ。ロシア情勢に詳しい筑波大教授の中村逸郎氏は16日の情報番組で、「ロシア側は無差別攻撃をやって、停戦交渉のハードルをどんどん高くして、自分たちの要求をウクライナ側が丸のみするような状況にしたいのでしょう」と言っていた。今後、さらに攻勢を強める可能性がある。
元ボクシング世界王者のキエフ市長は首都防衛に“闘志” |
道路上に設置されている刃が連なる“対戦車用マキビシ”(田中龍作ジャーナルから)
そんなロシア側の思惑を知っているのか、キエフのビタリ・クリチコ市長は、首都防衛に“闘志”を燃やしている。市長はボクシング元WBC世界ヘビー級王者でもある。
「キエフ郊外のアパートが砲撃を受けたと聞き、15日午前、現場に行くと、クリチコ市長が視察に訪れていました。『ロシアは政府と市民にプレッシャーをかけ、パニックに陥れようとしている』と憤る市長に、私は『ギブアップはしないのですね』と質問。すると市長は、鋭い眼光で私を睨みつけ、数秒間黙った後『ギブアップなんて考えは毛頭ない』と一言。身長2メートルでガッシリとした体格の市長の言葉は、恐怖を感じるほどの迫力でした。『街を守る』という強い覚悟が伝わってきました」(田中氏)
プーチン・ロシアは首都陥落に相当、てこずるかもしれない。
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