2021年5月23日 21時23分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/106122?rct=world
【パリ=谷悠己】フランスが今月、日本の陸上で行われた軍事訓練に初めて参加し、九州地方に陸軍を派遣した。海洋進出で台頭する中国をけん制してインド太平洋地域を重視し始めた欧州連合(EU)の中でも、フランスの積極姿勢は突出している。その背景には、同地域内に海外領土を持つ仏特有の事情がある。
◆ 仏軍高官「日本は欠かせぬパートナー」
「日本はインド太平洋地域で欠かすことができないパートナーだ」「価値観を共有し合う国同士、今後も共同訓練を続けていく」
今月15日に宮崎、鹿児島両県にまたがる霧島演習場で陸上自衛隊と米海兵隊との共同訓練を終えた仏軍高官らは、ツイッター上で次々と満足感を示した。
◆インド太平洋地域に住民180万人
フランスは植民地時代の名残で太平洋にニューカレドニアや仏領ポリネシア、インド洋にレユニオンやマヨットなどの海外領土を多く持ち、海洋国家を自任する。インド太平洋地域には他国に住む駐在員も合わせ180万人の住民を抱え、8000人超の軍隊が展開。米国に次いで世界で2番目に広い約1000万平方キロメートルの経済的排他水域(EEZ)の9割以上をこの地域の海が占める。
そのため、同地域を脅かしつつある中国への警戒感は、日本やオーストラリアなど地域内に本土がある国と同様に高く、2018年にインド太平洋地域戦略を策定。EUは経済協調路線だった対中姿勢をバイデン米政権の誕生以降に転換し、同地域の戦略を策定する方針を先月決めたばかり。フランスはEUより3年早く動きだしていたことになる。
◆豪印などとも連携強化
パルリ国防相は今年2月、仏紙フィガロのインタビューでインド太平洋地域を重視する理由について「中国が南シナ海で人工島の軍事拠点化を進めることで、紛争の危険が現実味を帯びている」と名指しして指摘。「航行の自由と国際法を重視する仏軍が存在感を示すことが、地域内の安定に寄与する」と述べ、今後も日本やオーストラリア、インドなどパートナー国との連携を強める方針を示している。
【関連記事】日米仏が本格的な上陸訓練へ 欧州巻き込み中国けん制
https://www.tokyo-np.co.jp/article/103472
http://www.asyura2.com/19/warb23/msg/300.html