オーディオ・ノート 300B プッシュプル パワーアンプ 8,250,000円
Kanon パワーアンプ
8,250,000円 /ペア(税込)
https://www.audionote.co.jp/jp/products/power_amplifier/kanon.html
オーディオ・ノートの300Bパワーアンプが、伝統の回路に最新の知見を加え生まれ変わりました。 銘球300Bが持つ繊細かつ豊かな音調を活かしつつ、キレの良さと強靭な駆動力を伴ったバランスの良いモノーラルパワーアンプです。
現代的スピーカーとの相性にも十分に配慮しつつ、管球式アンプならではの有機的な音の魅力を存分に楽しめます。
特徴
初段はプレートフォロア+カソードフォロアの直結型、広大な周波数特性と強力なドライブ力を有しています。
位相反転/ドライブ段は古典型位相反転回路を採用、ナチュラルな音質で反転精度が比較的よく、低いインピーダンスで300Bをドライブしています。
出力段は自己バイアス回路を採用し、300Bの容易な差し替えが可能です。
ハムバランス回路では高音質抵抗器を合わせて用いることで、バランサーVRへ流れ込むシグナルを極小に抑えています。
オーバーオールNFB量を僅か2dB に抑えることで、ダイナミック感と低歪率を両立しています。
また、増幅回路全体をユニット化することにより、配線の最短化を実現しました。
モジュール化ユニット
増幅回路全体は一つのユニットに高品質部品を立体的に配置し、信号配線の最短化を実現しました。 電源配線もユニット内で各段直近にデカップリングコンデンサを配置し、高純度な信号回路を形成、また、段間の干渉も最小に抑えています。
理想的な電源回路
電圧増幅段と出力段の電源回路は整流素子から別々となっており、相互干渉を抑え純度の高い音質を実現しています。
電源供給ラインにはリップルフィルターとは別に各段でデカップリングコンデンサを搭載。 高純度なシグナルループを形成し、段間の干渉も最小に抑えています。
また、出力段の電源回路では音質上の理由から整流管を採用していますが、2本を並列動作させる事により瞬時電流供給能力を向上させています。 この整流管へのヒーター電源供給は大きな脈流を伴うため、整流管専用のヒータートランスを独立搭載しています。
高品位パーツ
段間の結合コンデンサーにはKaguraでも採用した制振対策純銀箔コンデンサを配置し、音の魅力と密度感の向上に成功しました。
巻き方から新規に設計しなおした純銀線巻出力トランスは、スピーカーのインピーダンス4/8/16Ωに対応。注文時に2系統を選択します。
純銀リード抵抗、純銀配線材SSW(シルクシルバーワイヤー)、Ls-41(シールド線)、オリジナル制振モールド電源トランス、厳選したCR パーツを効果的に配置しています。
電源ケーブル
ACz-AVOCADOを標準付属。
おもな仕様
基本構成 300B プッシュプル モノーラルパワーアンプ
型式 Kanon
定格出力 20W @1kHz, 5% THD
周波数特性 10Hz - 40kHz (+0dB, -3dB @1W)
入力 / インピーダンス 2系統 (RCA, XLR, アンバランス) / 70kΩ
スピーカー出力端子 出荷時に4Ω, 8Ω 16Ωから2系統を選択
残留ノイズ 1mV未満
真空管 300B x2, 6072 x1, 6CG7 x2, GZ34 x2
消費電力 120W
外形寸法(突起部含まず) 294mm(W) 284mm(H) 485mm(D)
重量 32kg
https://www.audionote.co.jp/jp/products/power_amplifier/kanon.html
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国産ハイエンドの雄が手がけた最新アンプ
AUDIO NOTE「Kanon」を聴く − 極上の描写力と繊細さを両立させた300Bモノパワーアンプ
鈴木 裕 2018年07月06日
https://www.phileweb.com/review/article/201807/06/3098.html
AUDIO NOTE(オーディオ・ノート)は、5月に独ミュンヘンで開催されたHIGH END 2018 MUNICHにて新パワーアンプ「Kanon」を発表。世界中のプレスや来場者から大きな注目を集めた。今回、このKanonを鈴木裕氏がオーディオ・ノートのリスニングルームで試聴。そのサウンドを紐解いていく。
モノラル・パワーアンプ
AUDIO NOTE
Kanon
¥8,100,000(ペア・税込)
Profile 日本を代表するハイエンドオーディオブランドのひとつであるオーディオ・ノート。同ブランドでは最高峰パワーアンプとして「kagura」が君臨しているが、その設計思想を継承しつつサイズダウンをはかったモノラル・パワーアンプ「Kanon」が誕生した。本機は300Bを採用したプッシュプルモノラルパワーアンプで、キレの良さと強靭なドライブ力を追求。現代派スピーカーにもマッチするモデル。今年のミュンヘン「ハイエンド」にて鮮烈なデビューを飾った同ブランドの新鋭機がいよいよ本国にて発売を開始した。
■伝統の奥義が色濃く流れる300Bモノパワーアンプ
オーディオ・ノートの新しい製品はKanonである。300Bを出力管に使ったパワーアンプだが、聴くとその再生音にはこのブランドの持っている揺るぎないフィロソフィーが反映されている。それは説明されなくても音として伝わってくる。そもそもオーディオ・ノートが生まれたのは1976年。製品としては銀線巻き昇圧トランスの販売からスタートしている。創業者は近藤公康氏で、世界で初めてオーディオに銀線を採用した。その近藤氏の元で働き、厳しく指導されたのが現在の代表である芦澤雅基氏。技術だけでなく、精神的な薫陶を受けたと言っていい。
オーディオ・ノートのモノラル・パワーアンプ「Kanon」。最高峰モデルである「Kagura」のデザインを踏襲しつつ、本機が320W×370H×558Doであるのに対し、「Kanon」は296W×284H×485Doとひとまわりコンパクトな仕上げとなっている
最高の音質にこだわり、音楽再生を大事にしているフィロソフィーについては一点の曇りもなく継承されている。そのオーディオノートの奥義が新しく開発された「Kanon」にも色濃く流れている。
オーディオ・ノートの歴史を見ると、90年代から2009年まで日本国内での販売をしていない時期があった。銀という貴金属の高額な素材を使用し、それを使ってトランスフォーマー類までをもひとつひとつ製作するため、製品が大変高額になってしまったためだ。しかしオーディオを取り巻く状況も変化し、2009年に再び日本市場での販売が復活しているが、ある意味、その日本市場をメインターゲットとするような製品が今回のKanonだ。
300Bである。この銘球と呼ばれる真空管は特に日本市場で人気があり、その繊細で豊かな音を生かすべく開発されたモノラルのパワーアンプだ。現代的なスピーカーを駆動することも視野に入れ、プッシュプルにして20Wの出力を持たせている。
■最高峰モデルが採用した高品位パーツを投入する
その概要を紹介してみよう。電源部は、電圧増幅段と出力段に整流素子から分離し、それぞれの各段にはデカップリングコンデンサーを配置。純度の高い、相互の影響を排した構成を取っている。特に出力段の電源回路では整流管を2本使ってパラレル動作させており、瞬間的な高い電流供給能力を持たせた。また、整流管へのヒーター電源用に専用のトランスを搭載しているのも安定した再生音に寄与している。
初段は6072によるプレートフォロア+カソードフォロアの直結型。ドライブ段は古典型位相反転回路を採用し、6CG7のパラレル動作により、低インピーダンスで300Bを駆動。出力段は自己バイアス回路を採用し、300Bの差し替えが容易にできるようになっている
初段は6072を使ったプレートフォロア+カソードフォロアの直結型。ドライブ段は6CG7のパラレル動作で出力段をドライブする。出力段は自己パイアス回路を採用しているので、さまざま300Bを差し替えて楽しめる。全体的な回路としては、NFB量を2dBに抑えているが、増幅回路をユニット化することによって実装状態での配線を短くしているのも大きい。
本機のリア部。入力はRCAとXLRが各1系統ずつ。スピーカー出力は注文時に4Ω、8Ω、16Ωのインピーダンスから2系統を選択できる
真空管以外については同社のオリジナルのパーツを採用しているのは言うまでもない。211を使った同ブランドのフラッグシップKaguraにも採用されているパーツ類、具体的に書くと純銀箔コンデンサ、純銀リード抵抗、純銀配線材SSW(シルク・シルバー・ワイヤー)、シールド線のLs‐41、モールドで制振処理を施された電源トランス、CRパーツなどを採用。また、新開発された出力トランスも注目だ。
本機に搭載された制振対策純銀箔コンデンサ。最高峰モデル「Kagura」にも採用されている。ほかにも新開発の出力トランスや純銀リード抵抗、純銀配線材、オリジナルの制振モールド電源トランスや厳選したCRパーツなど高品位なものを効果的に配置している
■音数の多い中高域で格別に繊細な表現力
テストはオーディオ・ノートの試聴室で行った。CDプレーヤー以外、同ブランドの製品ですべて統一され、B&Wの「ノーチラス801」を鳴らすシステム。
まずビル・エヴァンス・トリオの『ワルツ・フォー・デビイ』から聴き出したが、駆動力の高さが印象的だ。91dBの能率のスピーカーだが、15インチのウーファーのムーヴィングマスは大きく、これが見事にグリップされている。
このソフトで特徴的な演奏中にわずかに聴こえてくる客席のガヤも見事で、特に中高域の音数の多い、繊細な表現力が素晴らしい。音自体はクリアなのに、ライブをやっている空間の濃密な感じが良く出てくる。シンバルの複雑な倍音やリアルさなど、300Bならではの美音成分がオーディオを聴く愉悦を感じさせてくれる。低音はナチュラルな太さでウッドベースが適度な重量を持って立ち上がっている。
■鳥肌ものの描写力と高域の繊細さが両立
ダイナ・ワシントン『イン・ザ・ランド・オブ・ハイファイ』から「わが恋はここに」を聴く。
ブラスの黄銅の匂いのするような音色感やダイナの渋いヴォーカル、そしてピアノ。音自体はリアルなのに、再生音としてどこか高い品があり、音楽が美しく感じられる。ミルシテインがソロ・ヴァイオリンを弾いているブラームスのヴァイオリン協奏曲。演奏のニュアンスやボウイングのタッチの描写などは細かく描写してくれるのだがソロのヴァイオリンの音が特別に澄んでいて、鳥肌が立つような研ぎ澄まされたものがある。
「Kanon」の音に浸りきる筆者。奥にあるのが、同社最高峰のモノラル・パワーアンプ「Kagura」
この高域の倍音感や繊細さはたしかに300Bの音でもあるが、やはりオーディオ・ノートの世界なのだ。プリアンプをフラッグシップのG‐1000からG‐70に繋ぎ替えても聴いたが、プリの表現を的確に反映しつつ、Kanonの音はとにかく楽しい。入力はアンバランスのみでコネクターはXLRとRCAの2系統がある。20Wという数字以上にスピーカーをハンドリングできるパワーアンプだ。夢のようなひとときを過ごさせてもらった。
(鈴木裕)
開発者から
株式会社オーディオ・ノート 商品開発チーフデザイナー 廣川嘉行
本機は銘球300Bが持つ繊細かつ豊かな音調を活かしつつ、キレの良さと強靭なドライブ力を合わせ持った高品位モノラル・パワーアンプとして開発しました。
初段は6072によるプレートフォロア+カソードフォロアの直結型回路とし、続く位相反転段では6CG7のパラレル動作による古典型回路の採用により、自然な質感と強力なドライブ力を両立しています。
出力段は自己バイアス回路を採用し、300Bの容易な差し替えが可能となっています。
電源部では整流管を2本用いてパラレル動作させる等、有機的な音質を保ったまま瞬時電流供給能力を高めています。
チューニングは代表の芦澤が入念に行いました。(廣川氏)
Kanon Specifications
●方式:300Bプッシュプルモノラルパワーアンプ
●定格出力:20W @1kHz、5%THD
●周波数特性:10Hz〜40kHz(+0dB -3dB@1W)
●入力:2系統(RCA、XLRアンバランス)
●入力インピーダンス:約70kΩ
●出力インピーダンス:4Ω、8Ω、16Ωから注文時に2系統を選択
●残留ノイズ:1mV未満
●真空管:300B×2、6CG7×2、6072×1、GZ34×2
●消費電力:120W
●ヒューズ:遅断型125V 3A
●外形寸法:296W×284H×485Do(突起部含まず)
●質量:32kg
●取り扱い:(株)オーディオ・ノート
■組み合わせた機材と試聴ディスク
●アナログプレーヤー/AUDIO NOTE「GINGA」※トーンアーム(KONDO V-12)付属
●MCカートリッジ/AUDIO NOTE「IO-M」
●MCトランス/AUDIO NOTE「SFz」
●フォノイコライザー/AUDIO NOTE「GE-10」
●プリアンプ/AUDIO NOTE「G-1000」「G-70」
●スピーカーシステム/B&W「ノーチラス801」
●試聴ディスク(以下を参照)
『ワルツ・フォー・デビー/ビル・エヴァンス・トリオ』(【米国】FANTASY/OJC-210)
『ブラームス:ヴァイオリン協奏曲』オンゲン・ヨッフム指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団、ナタン・ミルシテイン(vn)(【日本】ボリドール/MG2513)
『イン・ザ・ランド・オブ・ハイファイ/ダイナ・ワシントン』(【米国】EMARCY/MG 36073)
『アンプラグド/エリック・クラプトン』(【米国】REPRISE/468412)※
※本記事は「季刊analog」60号所収記事を転載したものです。
http://www.asyura2.com/18/revival4/msg/148.html