核戦争は回避できるのだろうか?
http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2019/09/post-ac01f2.html
2019年9月20日 マスコミに載らない海外記事
2019年9月17日
Paul Craig Roberts
これはサウジアラビアの石油施設に対する攻撃に対し、イランに責任があるというワシントンの固執で思い出した2018年3月19日記事の再掲載だ。たとえそれが本当だったとしても、ワシントンとって、どういう関係があるのだろう? イランはアメリカを攻撃してはいない。イランがサウジアラビアを攻撃したら、なぜアメリカにとって戦争の問題になるのだろう。一体どうしてこの発表になるのだろう。「イランの石油施設や革命防衛隊の資産に対するサイバー攻撃や物理的な攻撃を含め、イランに対する報復的行動の広範囲の選択肢をトランプ政権は検討していると、審議中のことに説明を受けたアメリカ当局者や他の人々がNBCニュースに語った。」
二つの要因が、世界を核戦争に追いやっている。一つは侮辱や濡れ衣や、毎年の欧米によるロシアとの合意破棄の絶え間ない流れだ。もう一つは、ロシアの対応、あるいは、おそらく、より正確には、対応の欠如だ。
ワシントンによるロシアに対する裏切り行為や挑発を立証する記事はオンラインでも、私のウェブサイトでも入手可能だ。ここでそれらを繰り返す意味はない。
私はロシア政府の事実に基づく、外交的、法律的な対応が、実際、更に多くの挑発と侮辱を作り出していることを指摘した。たとえばこれを参照。https://www.paulcraigroberts.org/2018/03/17/war-is-on-the-horizon/ スティーヴン・レンドマンも同意しており (http://stephenlendman.org/2018/03/russia-expelling-23-uk-diplomats-way-inadequate/ ) ピーター・ケーニッヒも同意している。( https://thesaker.is/russias-reaction-to-the-insults-of-the-west-is-political-suicide/ )
ロシアには、政府が選択した自滅的対応に対する二つの選択肢がある。一つはピーター・ケーニッヒと私自身が推奨しているもので、欧米に背を向け、全ての欧米大使館、企業、メディアとNGOをロシアから追いだし、欧米通信システムと手形交換決済機構に頼るのをやめることだ。欧米には、ロシアが必要とするものは何もない。欧米は疲弊し、腐敗している。未来は、ロシアがその一部である東にある。ロシアは東での中国との協力と関係に焦点を合わせ、あからさまな濡れ衣や挑発的侮辱に対応するのをやめるべきなのだ。
ワシントンの覇権に屈した場合にのみ、ロシアは欧米の一部になり得るのだ。ワシントンは、ロシアを疎外し、孤立化し、ロシア政府の信用を失墜させ、プーチンを排除し、メイやマクロンやメルケルのような傀儡を据えつけると固く決めていて、こうした取り組みが失敗したら、ロシアの唯一の選択肢が、降伏するか戦争をすることになるまでロシアを追い詰めるつもりだと今頃ロシア政府は気がついているはずだろうにと思いたくなる。
イギリス政府が作ったでっちあげを元に、イギリス外務大臣にロシア大統領が殺人犯と呼ばれるとは、ラブロフ外務大臣や控えめなプーチンが、これまで想像しただろうか?
欧米が事実と法律のいずれにも敬意を持っておらず、事実と法律に依拠するのを弱さと恐怖の兆候と見なしている時に、事実と法律に訴えるのは自滅的だということを、ラブロフとプーチンはとうとう理解したのだろうか?
ラブロフやプーチンが何らかの外交的、あるいは国務で外国を訪問し、一方あるいは二人とも逮捕され、戦争犯罪か何か他のでっちあげ犯罪で告訴されたらロシアは一体何をすべきだろう? そんなことは起き得ないと、おっしゃるだろうか? それは起こり得るのだ。このような出来事の準備が、ワシントンがロシア大統領を「新しいヒトラー」として入念に描き出している理由の一つだ。先制逮捕と処刑はアメリカの方針だ。
長年、ワシントンは、アメリカ法の管轄外の他の国々(イスラエルはその非合法の布告の治外法権を押し付ける罰せられないで済む唯一の国だ)で、ロシア人を拉致している。ロシア議員の息子ロマン・セレズニョフは、インド洋のモルディブ諸島でアメリカに拉致され、クレジットカード・ハッキングのかどでアメリカで裁判にかけられた。ロシア人パイロットのコンスタンチン・ヤロシェンコは、リベリアで、ワシントンによって拉致され、CIAの主要活動たるコカイン密輸の罪で告訴された。エコノミストや外交官の日常業務である経済情報を収集したかどで、エフゲニー・ブリャコフは有罪判決を下された。ヴィクトル・ボウトはタイでワシントンに拉致され、アメリカが世界全体で犯し、現在中東で大規模に犯している「罪」の、武器を反政府派に販売したことに対し、有罪判決を下された。アメリカ「司法省」によるでっちあげの高い割合を考えると、これらの裁判が、ロシア国民はどこにいても安全ではないという教訓をロシアに教えるための見せしめ裁判以上の何ものもでもないのかどうか知る方法が、我々にはない。
政府が選択する自滅的なものに代わる、ロシアにとっての他の選択肢は、激しく反撃することだ。アメリカやイスラエルのシリア攻撃が、ロシア人を殺したら、ロシアは攻撃を始めた基地を破壊して、必要な報復がアメリカ人やイスラエル人を殺すかどうか心配するのはやめるべきだとレンドマンは提案している。なぜアメリカ人やイスラエル人は、ロシア人やシリア人より大切なのだろう? ロシア政府は、アメリカが「例外的で不可欠だ」というプロパガンダを信じ、イスラエル人は「神の選民」だと思っているのだろうか?
おそらくロシアにとって、力を誇示する良い方法は、ロシアがこれらの方針に沿ってプレゼンテーションができる国連安全保障理事会の会議を招集することだ。
アメリカとその属国に、アメリカに、今イギリスに、破られ、無視された条約や合意の長いリストを突きつけて対決するのだ。
アメリカとその属国に、ロシアに対する根拠のない敵対的な非難の長いリストと事実と証拠を基礎に問題解決するのを欧米が拒絶しているのを突きつけて対決するのだ。
アメリカとその属国に、ロシアもアメリカとその同盟国も、ロシアを疎外し、孤立化させて、ワシントンの覇権に役立つよう意図された非難の言葉の一語たりとも信じていないという事実を突きつけて対決するのだ。
アメリカとその属国に、サダム・フセイン、カダフィやアサドの似たような悪魔化が、こうした国々への軍事侵略に至った事実突きつけて対決するのだ。アメリカとその属国が彼らの国民をロシアに対する軍事攻撃に準備させているのかどうか問うのだ。
アメリカとその属国に、核保有超大国間の緊張は20世紀の冷戦時より遥かに高く、アメリカ政府のウソと虚偽がワシントンに対するロシアの信頼を完全に破壊した事実を突きつけて対決するのだ。
アメリカとその属国に、冷戦中には、飛来する敵ICBMについての多くの誤警報があったが、両国政府は緊張を減らそうと努力していたので、いずれの側も警報を信じなかったのに対し、現在状況は全くは異なっているという事実を突きつけて対決するのだ。アメリカとその属国が、ロシアに対して示す異常な敵意から判断して、ロシアは警報が誤りかどうか賭けてみることができないのだ。アメリカとその属国が、ロシアの核戦力に目標とされているのだから、欧米が世界を破滅の道に進めているのだ。これがワシントンとその属国が欲するものなのだろうか? 選択は、ワシントン覇権か死なのだろうか? ワシントンの属国に、彼らはなぜこの正気でない選択を支持しているのか問うのだ。
「終末は近い」というプラカードを持ったひげを生やした男の漫画に、誰が警告しようと、アメリカ人はおそらく聰明には警告に対処できないと、実に長い間、アメリカ人は笑いとばしてきた。
同様に欧米為政者は非常に頭がおかしく、売女マスコミは非常に腐敗しているので、国連に対する上記説明のようなロシアのやり方は、欧米の反ロシア宣伝の証拠として使われるだろう。見出しは「ロシアは世界を核戦争で脅す」となるだろう。
それゆえ、ロシアにとって唯一の選択肢は、欧米に対し、目ではなく背中を向け、自国の未来を東に見いだすことのように思われる。
あらゆる点から見て、ロシアはそうするのを嫌がっている。ロシア政府にとっては、欧米の一部になることが、生命そのものより重要だと思っているのだ。
Paul Craig Robertsは元経済政策担当財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリップス・ハワード・ニューズ・サービスとクリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、The Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。
記事原文のurl:https://www.paulcraigroberts.org/2019/09/17/can-nuclear-war-be-avoided/
----------