7 月28 日・日曜討論:どうなる日韓関係 ? イラン情勢の行方は ?
大東亜戦争・慰安婦問題の深層・真相は ?
(tvtopic.goo.ne.jp:2019年7月28日より抜粋・転載)
放送日 2019年7月28日(日) 9:00〜10:00
放送局 NHK総合・番組概要
○どうなる 日韓関係 ?
日本政府は今月4日から韓国に対して、日本のシェアが極めて高い半導体などの原材料「フッ化ポリイミド」など3品目を輸出管理を厳格化。さらに来月中にも韓国をホワイト国から除外し、一部の工作機械などへも管理強化の対象が広がる可能性が。
そんな中WTO一般理事会が開かれ、韓国政府は「日本の措置の背景には徴用をめぐる政治的思惑がある」などと指摘したが、日本政府は「安全保障上の観点から見直した」と反論。韓国のキム・スンホ氏はWTOへの提訴の準備をしているとしているが、菅官房長官は[WTOは輸出管理に関する議論はなじまない」としている。
日本政府の狙いについて、キヤノングローバル戦略研究所の宮家邦彦は「朝鮮半島、東アジアをめぐって大きな環境の変化が起きている。日本の措置も大きな多国間の環境変化に対応したもの。韓国がいう二国間の日本による報復とみるのは、形式的にも実質的な意味でも間違っている」とコメント。
韓国側の見方について早稲田大学教授のリー・ジョンウォンは「歴史問題をめぐる経緯からみると報復という見方。歴史問題が経済にスピルオーバーするというのは、重要な転換点という認識をもっている」とコメントするなど、出演者が意見を述べた。
今回の措置について日本政府は韓国との信頼関係に基づく輸出管理が難しくなっているなどと理由を述べているが、中部大学の細川昌彦は「日本企業と韓国企業の間でずさん管理をしていた。
日本が韓国をホワイト国にしたのは、緊密な意見交換をすることが前提で、その前提が崩れており、日本が対応をしっかりしないと世界的な批判を受ける」とコメントするなど、出演者が意見を述べた。
輸出管理が厳格化された原材料は半導体などの材料に使用されていて、韓国企業が世界的シェアを占めている製品も少なくない。
今回の措置で日韓の経済に与える影響について、日本総合研究所の向山英彦は「韓国側が過剰に反応している面は否定できないが、政経分離に影響を及ぼすような形で、今後を憂慮しているのが現状」と語るなど、出演者が意見を述べた。
措置を受けてアメリカの動きについて、笹川平和財団の渡部恒雄は「米中貿易戦争になっており、アメリカ自身も全体の自由経済を維持する気があまり見受けられないのが、混乱要因。相当気を付けないといけない。
日本はCPTTPなどアメリカ抜きで自由貿易体制を守っているが、できれば韓国側ともシェアしてほしい」と語るなど、出演者が意見を述べた。
日韓の貿易問題について、中部大学の細川昌彦は「輸出管理の論理の世界でルールにそってやっていくのが日本の基軸。協議をして落とし所を探すのは馴染まない。各国とも輸出管理の論理は輸出国の責任でやることになっている。他の外交問題とは馴染まない」とコメント。
太平洋戦争中の徴用をめぐる韓国の裁判では、日本企業に賠償を命じる判決が相次いでいる。一方、日本政府は「日韓の請求権問題は解決済み」との立場で、仲裁委員会の開催を要請している。
こうした中、裁判の原告側は被告の三菱重工業らの資産を売却し、現金化するための裁判所への手続きを開始した。日本政府は国際司法裁判所への提訴など、対抗措置の検討を本格化している。
徴用をめぐる問題が深刻化した背景について、早稲田大学のリー・ジョンウォン氏は「基本的には問題の難しさ、間接的にはムン・ジェイン政権の対応の遅れ」、キャノングローバル戦略研究所の宮家邦彦は「現金化されればレッドライン。
経済と政治の問題を絡めるようなやり方は決していい方向には進まない」などと語った。
日韓首脳会談は去年9月以来開かれていない。トランプ大統領は仲介に意欲をみせるも、どちらかに肩入れしない姿勢を魅せている。
トランプ政権が日韓関係の改善に向けて何らかの役割を担うのか。笹川平和財団の渡部恒雄は「トランプ大統領は米朝の劇的な進歩を選挙戦でアピールしたいのであって、あまり関心がないのが実情。
ボルトン大統領補佐官は環境改善に積極的だが、一枚岩ではない。アメリカの役割は期待しないほうがいい」と語るなど、出演者が意見を述べた。
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○イラン情勢の行方は ?
先月ホルムズ海峡で日本の海運会社が運航するタンカーが攻撃されるなど、緊張が高まっている。そんな中、ボルトン大統領補佐官が来日し、岩屋防衛相と有志連合について意見を交わした。
イラン情勢をめぐるこれまでの経緯を説明。イランをめぐっては核開発を大幅に制限する見返りに経済制裁を解除するというイラン核合意が7か国との間で結ばれた。しかしアメリカが離脱し、イランに経済制裁を発動。
イランは義務の履行を段階的に停止することを表明。ヨーロッパの5カ国は核合意を維持しようとしているが、実効性のある手立ては打てていない。こうした中、ホルムズ海峡周辺では外国船が拿捕されるなど緊張が高まっている。
日本エネルギー経済研究所の坂梨祥はイランをめぐる情勢について「これまでの動きをみるとアメリカがイランをあえて反撃せざるを得ない状態に追い込んでいる」、笹川平和財団の渡部恒雄は「ボルトン大統領補佐官はイランは今の体制じゃだめだというのが持論。アメリカの政権内に戦略的一致が見受けられない」と語るなど、出演者が意見を述べた。
イラン情勢が日本経済に与える影響について、中部大学の細川昌彦は「原油の輸入の86%がホルムズ海峡を通っている。
日本はエネルギーの安定供給が最大の課題。石油の備蓄、代替はかなり進んでいる。過剰に大変だという必要はないが、日本の現状を見極めるのが大事。アメリカは原油価格が上げれば、シェールオイルがある。日本にとっては要注意」と語るなど、出演者が意見を述べた。
トランプ大統領はツイッターに、ホルムズ海峡の安全確保のため有志連合への参加を呼びかけた。これに対しイラン政府の関係者はアメリカ主導の有志連合を認めないとした。
アメリカのポンペイオ国務長官は、日本に有志連合への参加を求めたことを明らかにしたが、菅官房長官は今後の対応は予断をもって発言することは控えたい、としている。
トランプ大統領はツイッターに、ホルムズ海峡の安全確保のため有志連合への参加を呼びかけた。これに対しイラン政府の関係者はアメリカ主導の有志連合を認めないとした。
アメリカのポンペイオ国務長官は、日本に有志連合への参加を求めたことを明らかにしたが、菅官房長官は今後の対応は予断をもって発言することは控えたい、としている。
日本政府はイランと伝統的な友好関係があることから、外交努力で緊張緩和を目指す考え。一方でエネルギー確保のため、ホルムズ海峡の安全は極めて重要だとして、他の同盟国などの動向を見極めて対応を検討する考え。
トランプ大統領による有志連合構想について。笹川平和財団の渡部恒雄は「イランへの圧力は国際社会で一致して行っているという正当性を作り出そうとしている。それをやってしまって世界が納得するかはそうでもない。
トランプ大統領はボルトン大統領補佐官とは違う立場。アメリカ内が一致していないので、みんな煮えきらないのはアメリカのせいと言われている」と語るなど、出演者が意見を述べた。
中東地域の緊張緩和に向けて何をすべきか。日本エネルギー経済研究所の坂梨祥は「アメリカがイランを追い込みすぎた事で、緊張が高まった。
日本はイランとの対話のルートがあるので、緊張緩和に対する働きかけを外交的に行うことができる」と語るなど、出演者が意見を述べた。
「NHKオンデマンドで配信します」のテロップ。
☆キャスト:渡部恒雄・宮家邦彦(立命館大学)・細川昌彦・リー・ジョンウォン
・向山英彦・ 坂梨祥。
☆司会者:太田真嗣・小郷知子
(参考資料)
T 大東亜戦争・侵略戦争の犠牲者数は ?
(www.jcp.or.jp:2004年11月4日(木)「しんぶん赤旗」より抜粋・転載)
〈問い〉 青年との対話で「数千万人が太平洋戦争で死んだというのはウソ」といわれました。
ネット上でもそんな書き込みがあります。犠牲者はどれくらい? それは何にもとづいているか? を教えてください。(長野・一読者)
〈答え〉 1945年8月15日、天皇制政府は、ポツダム宣言を受諾して連合国に降伏しました。
◆日本人の軍人・国民の死者は、合計310 万人以上 !
15年にわたる戦争は、日本人の軍人軍属などの戦死230万人、民間人の国外での死亡30万人、国内での空襲等による死者50万人以上、合計310 万人以上(1963年の厚生省発表)の犠牲をもたらしました。
戦後、日本政府は、一貫して、侵略戦争と認めることを拒否し、犠牲者数をなるべく過小に計算する見地で資料を作成し、戦争の惨害の本格的な資料を作成してきませんでした。
前記の厚生省資料も、太平洋戦全国戦災都市空爆犠牲者慰霊協会の調査によって推計したものです。
◆大東亜戦争では、アジア・太平洋各国に、2000万人以上の死者 !
日本の侵略戦争・大東亜戦争は、アジア・太平洋各国に、2000万人以上の死者をふくむ史上最大の惨害をもたらしました。この数は、各国の政府公表あるいは、公的発表にもとづくものです。
中国1000万人以上(「中国の人権状況」中国国務院=ただし37年7月〜45年8月まで。他に
2000万人との報告もある)、べトナム200万人(独立宣言)、インドネシア400万人(サンフランシスコ講和会議での同国代表発言)、フィリピン111万1938人(対日賠償要求)、インド150万人(べンガル飢餓死者のみの推計、政府任命飢餓調査委員会)、ニュージーランド1万1625人(政府公表)、
オーストラリア2万3365(同)、そのほか泰緬(たいめん)鉄道建設に投入された労働者の各国死者7万4025人(英国調査)など。ミャンマーやシンガポール、朝鮮などをのぞいても、これら諸国の公的発表の死者数だけでも1872万から2872万人を数えます。
さらに日本の植民地支配のもとにおかれた朝鮮では、36万4186人が軍人・軍属として戦場にかりたてられ、死亡・行方不明者15万人(推定)、強制連行などによる死者・行方不明者をふくめ、20万をこえる人びとが犠牲となりました。
韓国政府が認定した元徴用工は約22万6千人います(故人を含む)。(喜)〔2004・11・4(木)〕
U 慰安婦問題とは ?
(www.asahi.com:2014年8月5日05時00分より抜粋・転載)
慰安所と慰安婦:
Q 慰安婦とは何か。
A 戦時中、日本軍の関与の下で作られた慰安所で、将兵の性の相手を強いられた女性。政府は1993年8月に河野洋平官房長官が発表した談話(河野談話)で「当時の軍の関与の下に多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題」と指摘した。
Q どんな人々が慰安婦にされたのか。
A 日本本土(内地)の日本人のほか、日本の植民地だった朝鮮半島や台湾出身者も慰安婦にされた。日本軍の侵攻に伴い中国、フィリピン、ビルマ(現ミャンマー)、マレーシアなど各地で慰安所が作られ、現地女性も送り込まれた。オランダの植民地だったインドネシアでは現地女性のほか、現地在住のオランダ人も慰安婦とされた。
政府は38年、日本女性が慰安婦として中国へ渡る場合は「売春婦である21歳以上の者」を対象とするよう通達した。
21歳未満の女性や児童の人身売買や売春を禁じた「婦人及び児童の売買禁止条約」のためとみられる。ただ政府は25年に条約を批准した際、植民地を適用除外とした。このため植民地や占領地では売春婦でない未成年女子も対象となった。朝鮮からは17歳、台湾からは14歳の少女が慰安婦とされたとの記録がある。
Q 何人くらいいたのか。 A 総数を示す公式記録はなく、研究者の推計しかない。
現代史家の秦郁彦氏は、1993年に6万〜9万人と推計し、1999年に、2万人前後と修正。
吉見義明・中央大教授(日本近現代史)は1995年に5万〜20万人と推計し、最近は5万人以上と改めた。
韓国や中国ではさらに多い数字をあげる人もいる。