米韓で商用化 日本の5Gは端末と通信料分離でに大ブレーキ
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2019/04/10 日刊ゲンダイ 日本は周回遅れ(C)日刊ゲンダイ 第5世代移動通信規格「5G」を巡る競争が熾烈だ。「世界初」5Gのスマホサービスは、韓国通信大手3社が3日午後11時に開始すると、1時間後には、米ベライゾンもスタートさせた。そんな中、日本は完全に蚊帳の外だ。 「世界初の5Gの発表があっても、株式市場では光ファイバーや電子部品など関連株の反応はほとんどありませんでした。まさに“異国のニュース”でした」(兜町関係者) 世界では商用化が始まっているのに、ようやく10日、総務省の審議会で通信会社に対して、5Gの周波数割り当てが決定される始末だ。 さらに5G開発にブレーキをかけそうなのが、総務省が昨年11月に打ち出した「端末購入を条件とする通信料金の割引の廃止(通信料金と端末代金の完全分離)」だ。改正法が今国会で成立する見通しで、早ければ秋にも分離が義務づけられる。 これまで、端末代金は月々の通信料に分割されることが多かった。利用者は、年単位で通信会社に縛られる半面、高額の新機種でも気軽に買えた。ところが、端末と通信料金が完全分離されれば、端末だけでの購入になる。5Gの端末は、莫大な開発費が乗っかる上に、初期は利用者も少なく、量産効果も乏しいので、価格がベラボーに高くなる可能性がある。 「端末代金が分離され高く見えると、消費者は端末代を抑えようという心理になります。格安や中古端末に人気が出る。5Gのような高価な新機種は、数量が出て価格が下がってから買おうとするでしょう。量が出ないので、価格は高止まりし、普及は遅れる。普及の見通しが暗ければ、キャリアーも5G関連の投資に慎重になり、日本での5G開発が進まないことになります。遅れている5G開発を加速させるべき時に、端末の高額さが際立つような分離を打ち出すのは、最悪のタイミングです」(経済ジャーナリスト・井上学氏) “周回遅れ”がさらに広がりそうだ。技術大国も今は昔ということか。
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