中国の「人工島」を非難する日本政府だが。遣ってる事は「沖の鳥”島”の人工要塞化」など大差ないように見える。更に、満潮時に沈む「高地」を探して、更に「同じ穴のムジナ」と化すことは無いのか?
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海上保安庁がひそかに励む「日本の領海を広げるぞ大作戦」とは何か
*ドローンが陸地を探して…
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半田 滋
●隠れた陸地を見つけ出せ
「海のドローン」が波に隠れていた陸地を発見。この新たな陸地が基線となり、日本の領海と排他的経済水域(EEZ)が広がる。その結果、海底資源の獲得範囲や漁業水域も拡大されるーー。
こんな「千里の道も一歩から」式の試みが、海上保安庁によって日本の沿岸部で始まっている。「海のドローン」こと「自律型海洋観測装置」(Autonomous Ocean Vehicle=AOV)を海面に浮かべ、干潮時には水面に出るが、ふだんは波の下に隠れている「低潮高地」と呼ばれる陸地を見つけようというのだ。
北方領土に目を向ければ、日ロの返還交渉が歯舞、色丹の「2島先行」へと移行し、しかも2島の主権や国後、択捉の帰属など難題が残る。そんな中、日本近海に着目し、領土・領海の拡張を図ろうというのが今回の調査。コツコツ当てて得点する地道なプレーに期待が高まる。
まず、領海とは何だろうか。国連海洋法条約によると、沿岸国の主権の及ぶ範囲で、領海の起点は、最低水面より高いところにある低潮高地と海との境目にあたる海図記載の低潮線から、12海里(約22km)までと定められている。
そしてEEZは、資源開発や漁業などの経済活動を排他的に実施できる海域にあたり、低潮線から200海里(約370km)までと決められている。つまり、領海やEEZの起点は一般に言われている海岸線ではないというのがポイントだ。
*海上保安庁による「日本の領海等概念図」
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今回の調査によって、海図に記載されていない低潮高地が見つかれば、低潮線が日本の外側に押し出され、領海とEEZが同時に広がることになる。
「そんな都合のいい話があるの? 波に隠れた陸地なんて、とっくに全部発見されているのでは…」
あなた、今そう思いましたね。でも以前、こんな報道があったことはご存じだろうか。今年10月、新聞やテレビで伝えられた「北海道最北端・宗谷岬の近くにある無人島『エサンベ鼻(はな)北小島』が消失した可能性がある」というニュースだ。
エサンベ鼻北小島は、北海道猿払村(さるふつむら)から500mの沖にあり、1987年、国によって測量された。平均海面から約1. 4mの高さのある島として海図に記載されている。領海を明確にする目的から2014年、国が22都道府県の158の無人島に名前をつけたうちの一つだ。
そのエサンベ鼻北小島が姿を消したとされる理由について、海上保安庁の担当者は「オホーツク海は冬季に流氷が押し寄せるので、流氷で削られた可能性がある」と話す。
「島が消えたとすれば、領海が狭まる」との一部報道があるが、これは誤りだ。国連海洋法条約の定義する「島」は、高潮時に水没しないことが要件だが、同条約の定義する「領海」は先に書いたとおり「低潮線から12海里」。そのため、「島」が消えたとしても最低水面より高い「低潮高地」に踏みとどまっていれば、領海の広さに変化はない。
前出の担当者は「流氷が消え、海が穏やかになる来年4月ごろに調査を本格化させる」と話し、あきらめてはいない。
エサンベ鼻北小島の一件は、ふだんは見えない低潮高地であっても、精密な調査によって存在が確認できれば、領海の起点となることをあらためて教えてくれる。
●日本も資源小国から脱却か?
今回、未発見の低潮高地を探す調査に使うAOVは、長さ3mのサーフボードに様々な計測装置や通信機を載せた、海に浮かぶ観測装置である。ソーラーパネルが張り付けられ、機器類を動かすのに必要な電気を自家発電する。
この観測装置の下の海中には水中グライダーがつり下げられ、6枚のウイングが波の上下動を推進力に変える。平均速度1・3ノット(時速約2・4km)というゆっくりした動きながら、リモコンで行き先を自由に変えることができるという。
このAOVの観測によって最低水面が決まり、さらに航空機によるレーザー探知によって最低水面の上にある低潮高地を発見するという二重の観測体制により、低潮線を高精度で確定させる。これまでは地上に置いた観測機器を使っていたが、潮の満ち引きなどによる状況の変化を精密に反映させることが困難だった。
担当する海上保安庁海洋情報部の幹部らは、今回の精密観測により、「領海やEEZが広がるかもしれない」と期待を寄せる。
そこで思い出されるのは、今年4月、日本の最東端にある南鳥島周辺の海底にあるレアアース(希土類)の資源量が、世界の消費量の数百年分に相当する1600万t超に達することが判明したという明るいニュースだ。
このレアアースが眠るのは、南鳥島のEEZの海底である。さらに日本のEEZが広がれば、資源小国から脱却できる可能性さえある。
そこで海洋情報部の幹部に「では、調査する海域は南鳥島や沖ノ鳥島がある太平洋側ですね」と尋ねたところ、「いや、調査は日本海側で…」と意外な答えが返ってきた。
そうなのだ。AOVが設置されるのは、新潟以南の本州および九州に面した日本海側、そして南西諸島西側の東シナ海というのだ。
どういうことなのか。
日本政府は南西諸島と中国大陸との真ん中に中間線を引いて「日中中間線」とし、これを境界線にすべきだとの立場をとっている。
しかし、中国、韓国はともにこの中間線を越えて、沖縄のすぐ西側にある細長い海底の窪みである沖縄トラフの近くに自国の「大陸棚がある」と主張。両国はそれぞれ2012年、国連海洋法条約に基づき設置された大陸棚限界委員会に「沖縄トラフまでが自国の大陸棚だ」と大陸棚の延長申請を提出した。
*中国・韓国の申請している「大陸棚」(海上保安庁資料より)
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同条約は、海底地形などの条件を満たせば、EEZの200海里を越えても漁業や資源開発が可能な「大陸棚」を設定できると定めている。仮に中国や韓国の主張が通れば、沖縄のすぐ西側の海域で中韓両国の経済活動が認められることになる。
日本政府は両国の申請に対し、ただちに口上書で異議を表明。大陸棚限界委員会は「審査を行わない」と決定したものの、2021年には中国と韓国の大陸棚延長申請の審査順がめぐって来る。
「その日」に備えて、中国、韓国とも日中中間線を越えて、日本側のEEZで調査を進めており、新たな科学的データを根拠に主張を強化したり、新たな申請を検討したりするなどの可能性が高まりつつある。
F35を1兆円で買うなら…
海上保安庁による今回の調査は、こうした中韓両国の動きに対抗するためのカウンターパンチの役割を果たすのだという。
日本側海域で新たな低潮線が見つかれば、日本のEEZが広がることになり、日中中間線をいっそう中国大陸側に押し出せる可能性が出てくる。海上保安庁は今回のAOVや航空機による調査のほか、海洋データを収集する大型測量船2隻の改修や別の大型測量船2隻の建造も進めている。
それにしても、広い海にAOVが20機、航空機1機というのは、何とも心もとない調査態勢ではないだろうか。
その理由について、海上保安庁幹部は「海上保安庁全体の予算がイージス護衛艦1隻分しかないからです」と予算不足を挙げる。海上保安庁の当初予算は毎年度約2000億円で、確かに1隻1800億円するイージス護衛艦とあまり変わりない。
海上保安庁は巡視船・巡視艇460隻、航空機81機を保有し、領土面積の約12倍にあたる447万平方kmもある領海・EEZを守っている。日本のEEZは世界第6位といわれている。
*中国公船(奥)と海上保安庁の巡視船(海上保安庁ホームページより))
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日本の防衛費が5兆円を越えるのに対し、海上保安庁予算の約2000億円はささやかな金額といえるだろう。AOV20機と航空機1機の購入に投じる金額は、来年度の概算要求分を含めても合計20億円弱にすぎない。
少ない機材をやり繰りするため、日本海と東シナ海での調査が終わるのは2026年度。太平洋側に振り向けて、太平洋で領海とEEZの拡張を図るのは、さらにその後になるという。なんとも残念な話ではないだろうか。
ところで、安倍晋三政権が来年度からの「防衛計画の大綱」で購入を検討しているとされる米国製のF35戦闘機は1機100億円以上。合計100機を購入する計画と伝えられ、合計1兆円にもなる。これにより対米貿易摩擦の解消も図るのだという。
一方、AOVはやはり米国製で1機4800万円。100機買っても合計48億円で、F35戦闘機1機の半分以下だ。
高額兵器の購入だけでなく、憲法に自衛隊を書き込む憲法改正を目指し、何かと自衛隊を手厚く処遇する安倍首相。しかし、日本を守るという意味では海上保安庁の役割は自衛隊と変わりない。安倍政権は海上保安庁の活動にも、もっと注目するべきではないだろうか。
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国境線争いに自衛隊を活用したい政権は、余り乗り気でないのかもしれない。
http://www.asyura2.com/18/warb22/msg/588.html