2019.02.08
「見計らい本」で書店にヘイト本が並ぶ現象が問題に
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こうしてベストセラーは創られる
まともな良心がある書店であれば、憎悪感情を垂れ流したヘイト本を置きたいとは思わないでしょうし、お客さんもそれを手に取って買いたいとは思わないでしょう。
しかし現実を顧みると、書店には中国や韓国の罵詈雑言を垂れ流したヘイト本が山と積み上げられていていやでも目につきます。書店に置かれていること自体がその本の「広告」になるので、置かれている本は自然と売れます。書店で山積みになっていれば「売れているのかな? 読んでみようかな?」と思うのが人の性というものでしょう。逆に、どんな良書であっても書店にないことには、それに興味が沸くことも、手に取って買おうと思うこともありません。
よって出版社は、本屋の「棚」や「台」を奪い合う熾烈な営業合戦をしています。当ブロブでは、百田尚樹『日本国紀』(幻冬舎, 2018)の問題を取り上げてきましたが、本著が発売当初から書店店頭で山積みになっているのは、いわば幻冬舎による「圧倒的努力」の賜物であり、必ずしも売れているから店頭に山積みされているわけではない点を指摘しました。
特に幻冬舎は、取次会社の「パターン配本」という仕組みを利用して、増刷するたびに、注文していない店舗にも『日本国紀』を配本しているようです。
関連記事【日本国紀】組織買いリーク、全体売上の64%【こうやってベストセラーは創られる】
2019年1月25日
見計らい本
これとよく似た現象が他の保守系書籍でも見られることが『週刊金曜日』(2019.2.8号)の記事「出版取次店「見計らい本」制度の見直しを」(文:二村知子)に載っていましたので、紹介したいと思います。
大阪にある隆祥館書店の店主をされている二村さんによれば、「見計らい本」という慣例に基づいて、注文もしていないヘイト本が取次店から送られて来るというのです。この「見計らい本」は次のように説明されています。
「見計らい本」とは出版流通業界の慣行なのですが、書籍の問屋にあたる取次店が書店の注文していない本を勝手に見計らって送ってくるシステムです。
もしかしたら「注文もしていない本が何で押し付けられるの?」と思うかもしれませんが、書店員が全分野のトレンドを熟知して、かつ数ある出版社すべてと連絡をとりあって書籍を入荷することなど不可能ですから、配本については取次店にある程度お任せするというのが普通です。
望んでいないヘイト本まで
ただこの「見計らい本」の中には、その書店が全く望んでいない、ヘイト本まで送り付けられることがあるそうです。逆に売れることが確実な本は「ランク配本」という制度によって、大型書店が優先されてしまうとのこと。
次のようにこの事態が説明されています。
一方的に送られてくる本の中には、私たち書店側としては売りたくない差別を煽動するヘイト本や、お客様から見てニーズのない5年も前に出た本などが含まれています。そういう本も送られてきたと同時に取次より請求され、入金をしないといけないのです。一方で売りたい本、ほしい本は発注してもランク配本という制度によって希望通りに送ってもらえません。
これは店の規模の大きさによって自動的にランクが決められて、大型書店が優先されて小さな書店は、その売りたい作家の本の販売実績がどれだけあっても後回しにされてしまうのです。
このような「見計らい本」「ランク配本」という制度自体は営業上の都合もあるでしょうから、一概に悪いとは言えないと思います。しかし、二村さんの書店では、かなり極端な現象が起きているようです。それについて次のように説明が。
ただ今回、渇望している本は配本してもらえないのに注文もしていない月刊「Hanada」セレクションが、それも2年前のものがいきなり送られて来たことに大きなショックを受けました。過去、さすがに2年前のムックが送られてくるということはなかったように思います。実績をみてもうちはこの月刊『Hanada』はほとんど売っていないのです。それなのになぜ?という思いはぬぐえませんでした。
どうやら、二村さんの書店で全く売れていないにもかかわらず、Hanadaセレクションが10冊も一方的に送られてきてぶったまげたそうです。
確かに保守論壇の本って、タイトルがデカくて下品でビックリしますよね(笑)
危険なにおいを感じる
そして危険な匂いを感じました。うちでさえそうなのですから、他の書店さんにもこのように、政権をただ礼賛し、(花田紀凱編集長自らが吐露していますが)事実と異なるのに売れるからという理由だけで『朝日新聞』をファクトチェックもなしで叩く雑誌、その雑誌が一方的に配本されてくる。
二村さんの書店はどうやらリベラル色の強いラインナップを強みとしているようですが、その様な書店にもヘイト本が送りつけられてくることに二村さんは大変な危惧を感じています。
去年から、本の出版のあり方について考えさせられることがしばしば起こっています。LGBTの人たちを差別してネットで煽り雑誌を完売させる炎上商法、組織が大量に大手書店から購入して人為的にランキング1位を作るというやり方など。
たしかに『日本国紀』も、紀伊国屋新宿本店で定期的に数百冊単位のまとめ買いがあり、今もランキング上位が維持されています。(関連記事)
さらに、このような出版業界のシステムが悪用されて、ヘイト本が大量に売りさばかれいるとの指摘もあります。
ヘイト本は明らかに事実誤認が多く売りたくないのですが、現状は一方的に配本されてしまうのです。……
ベストセラー『オシムの言葉』の著者木村元彦さんはアマゾンの総合1位を取られた経験がおありですが、この配本のシステムをお話ししたら「作家なのにそれを知らなかったことは恥でした。配本制度はへイト本の流通と密接に関わっていると思う。これをきっちりと取材して問題提起したい」と言っていました。
確かに書店ではヘイトを垂れ流す異様なコーナーが目立つようになってきました。
このような異様なコーナーは、「売れている」から出来たのではなく、何らかの思惑に基づいて人為的に創り出されているのかもしれません。
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