ウォルフォウィッツ・ドクトリンを捨てられないネオコンは人類を破滅へ導く
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2019.02.03 櫻井ジャーナル
ドナルド・トランプ政権はロシアや中国に対する攻撃を強め、石油に対する支配力を強めようとしているが、これはビル・クリントン、ジョージ・W・ブッシュ、バラク・オバマといった大統領の政策も基本的に同じだった。ヒラリー・クリントンはロシアとの核戦争を厭わない姿勢を見せていた。 アメリカの支配層は1991年12月のソ連消滅によって自国が唯一の超大国になり、世界の覇権を手中に収める寸前だと信じた。そして新しい新秩序を確立するため、1992年2月にネオコンは国防総省のDPG草案という形で世界制覇プランを作成している。 当時のアメリカ大統領はジョージ・H・W・ブッシュ、国防長官がディック・チェイニー、国防次官がポール・ウォルフォウィッツ。リチャード・ニクソンがウォーターゲート事件で失脚した後、副大統領から昇格したジェラルド・フォード大統領の下でこの3名は重要なポストについている。 この政権ではデタント派が粛清され、ブッシュはCIA長官へ、チェイニーは大統領首席補佐官へそれぞれ就任、ウォルフォウィッツはブッシュCIA長官が指導させたCIA内の反ソ連プロパガンダ集団チームBのメンバーに選ばれた。ジミー・カーター政権では国防副次官補だ。 DPG草案はウォルフォウィッツを中心に書き上げられたことからウォルフォウィッツ・ドクトリンとも呼ばれる。このドクトリンに基づいてネオコン系シンクタンクのPNACが2000年に「アメリカ国防の再構築」という報告書を出した。この年に行われた大統領選挙で大統領に選ばれたジョージ・W・ブッシュはこの報告書に基づいて国際問題に関する政策は決めた。 国防政策を「革命的に変化させる」としているのだが、そのためには「新たな真珠湾」のような何かが必要だとも主張している。ネオコンに好都合なことに、2001年9月11日にそうした衝撃的な出来事が引き起こされた。 ウォルフォウィッツ・ドクトリンの第1の目的は新たなライバルの出現を阻止すること。敵対勢力が資源を支配することも防がなければならないとしている。 ウェズリー・クラーク元欧州連合軍(現在のNATO作戦連合軍)最高司令官によると、このドクトリンが作成される直前、ウォルフォウィッツはイラク、シリア、イランを殲滅すると語っていた。(3月、10月) また、2001年9月11日にニューヨークの世界貿易センターやバージニア州アーリントンの国防総省本部庁舎(ペンタゴン)が攻撃されてから数週間後、国防長官の周辺で攻撃予定国リストが作成され、そこにはイラク、シリア、レバノン、リビア、ソマリア、イラン、そしてスーダンが載っていたともいう。 ところが、この後にウラジミル・プーチンがロシアを再独立させることに成功する。2014年にネオコンはネオ・ナチを使い、ウクライナでクーデターを成功させるが、それを切っ掛けにして中国とロシアが戦略的な同盟関係に入った。アメリカに対する危機感を中国も抱いたということだ。 ロシアは世界有数の資源国だということもあり、米英支配層はロシアを再属国化しようと目論む。その一方、エネルギー資源を支配するために中東、そしてベネズエラを支配しようとしている。 ロシアや中国の制圧が先か、資源国の制圧が先かでアメリカ支配層内で対立があるようだが、結果として同時進行する形になっている。ウォルフォウィッツ・ドクトリンに執着しているとも言えるが、このドクトリンはロシアの再独立で破綻している。この事実を認めたくないネオコンは正気を失ったようで、人類を破滅へと導きつつある。 |