日産会長の逮捕とソフトバンク携帯事業の上場
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2018年11月19日 在野のアナリスト
日産のカルロス・ゴーン会長とグレッグ・ケリー代表取締役が、東京地検特捜部に逮捕されました。有価証券報告書の虚偽記載で、2011〜15年に約50億円もの過少申告をしていた。また私的流用もあったということで、日産側の告発でもあり、ゴーン氏とケリー氏にはかなり厳しい状況です。 この動きがどういう波及をするのか? 今のところ読めません。もしかしたら日産・ルノーの決算の修正になるのか? ストックオプション絡みなら業績には関係しないでしょうが、年間10億円も穴が開いていたので、どこかに歪みも出そうです。ルノー株も急落しているようですが、今後の提携にも影響があるかもしれません。実質的には仏国の国営企業ともされるルノーは、小が大を飲みこむ形で日産を買収しましたが、そこから歪みがあり、日仏の政治問題にまで発展してくるのかもしれません。 株式市場ではソフトバンクの携帯部門の上場が、CMまで打たれて喧伝されています。ただ、ボーダフォンを買収した時点で、ソフトバンク本体とは別建ての株式として資金調達しており、いずれ上場するという話もありました。ただソフトバンクはその後、携帯事業も決算に含めており、違和感があったのも事実です。今後、子会社を上場しても連結で決算を上げるのか? それとも別建てで上場したのなら決算を上げるのか? 現状、前者が市場の主流ですが、それは投資家の目を欺く行為にも映ります。本当の意味で株式の価値を評価されていない可能性もあるからで、今後の動きに注目です。 今年最大の大型上場であり、証券会社がCMまで打つのも、実際には資金が集まるか? 不安もあるためでしょう。何より極めて市場環境が悪い。携帯電話市場は安倍政権が通信量の引き下げを至上命題に掲げる中、収益性の低下が懸念される。さらにMVNOの成長が止まっている、といえど、ここでMVNOへの割り当てに不平等がある、との指摘もあり、もし傘下のMVNOに優先的に割り当てをしているようだと、その見直しも経営の重しです。株式を上場しても、今後の成長がみこめないということでもあり、安定株という以上の価値が見いだせないのは、NTTや日本郵政の上場の時と同じです。 ソフトバンク本体も、サウジ皇太子によるジャーナリスト殺害でサウジの投資ファンド(SWF)の動きが滞り、また多くの投資運用ファンドの成績が軒並み急降下するなど、極めて厳しい状況です。携帯事業の上場も、半年以上前から計画されていたものでしょうが、世界全体の株式市場が停滞する中での上場となったのも不運…むしろそれは、孫会長の手腕に疑問、となるのかもしれません。 ゴーン氏の私的流用の話は、実は数ヶ月前に流れていた話です。株式市場が堅調なときは、そういうものが目立たない。もし流用しても、運用で増やして返却すれば、経理上の穴が開かないためです。しかしそれが運用に失敗すると、途端に崩れてしまう。今回がそう、というつもりはありませんが、株が高いは百難隠す。世界経済が斜陽に入ると、様々な不都合な事情が詳らかにされることにもなります。果たして、どの企業が不都合な事情を抱えているのか? それはこれから徐々に明らかになっていくのかもしれません。ただゴーン氏、イニシャルで書くとGhosnですが、Gone(落ちぶれた)と聞こえてしまう。一つの不祥事で企業が傾くことはよくあることですが、その不祥事に携わった人間の末路は、かなり悲惨なものとなってしまうのは仕方ないことなのでしょうね。 |