米国は朝鮮半島の制圧を望み、平和を望まない(その1)
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2018.09.16 櫻井ジャーナル
韓国政府と朝鮮政府はアメリカ政府の反対を押し切り、朝鮮南西部の開城に共同連絡事務所を9月14日に開設した。文在寅韓国大統領と金正恩朝鮮労働党委員長は今年(2018年)4月27日に板門店で会談、その際の合意に基づくという。
それに対し、アメリカ政府は朝鮮へ燃料を運ぶ船を追跡するために連合軍を編成するとウォール・ストリート・ジャーナル紙が伝えている。アメリカの有力紙ということで情報の信頼度は高くないが、その報道が事実だとするならば、連合軍にはアメリカのほかイギリス、オーストラリア、ニュージーランド、カナダのアングロ・サクソン5カ国に加え、フランス、韓国、そして日本が含まれる。司令船は横須賀を母港とするブルー・リッジ。言うまでもなく、イギリスとフランスは支配グループが重複する。
ロシアは9月11日から15日にかけて大規模な演習ボストーク18を実施、日本海でも演習を行った。そのロシア軍とアメリカをはじめとするアングロ・サクソン系5カ国、イギリスと後ろ盾が同じフランス、そして韓国と日本で編成される連合軍は向き合うことになる。東アジアで戦争が始まると、日本は中国だけでなくロシアを相手にしなければならない。その意味を日本人は考える必要がある。
ドナルド・トランプ米大統領は6月12日にシンガポールで朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長と会談、その翌日に朝鮮からのアメリカに対する核の脅威はなくなったとツイートしていたが、遅くとも20世紀の初頭からイギリスとアメリカは海上封鎖で内陸国を締め上げるという戦略に基づいて動いている。
その戦略をまとめたものが、1904年にハルフォード・マッキンダーが発表したハートランド理論。彼は世界支配の要をロシアだと考え、その地域をハートランドと呼んだ。そのハートランドを締め上げるため、西ヨーロッパ、パレスチナ、アラビア半島、インド、東南アジア諸国、朝鮮半島をつなぐ内部三日月帯を、その外側に日本を含む外部三日月地帯をマッキンダーは想定した。その後、内部三日月帯の上にイギリスはイスラエルとサウジアラビアを作り上げている。
その前にイギリスは中国に戦争を仕掛けている。アヘン戦争だ。この戦争は中国を略奪する目的で実施されたが、イギリスに中国を占領するだけの戦力はなく、薩摩と長州が実権を握った日本が侵略軍としての役割を果たしている。
徳川時代の終盤からイギリスは薩長と連携、琉球併合、台湾への派兵、江華島での軍事的な挑発、日清戦争、日露戦争という流れのなかでイギリスの支配層、特に金融資本は重要な役割を果たしている。関東大震災の後、アメリカの巨大金融機関JPモルガンが日本に大きな影響を持つようになったことは本ブログでも繰り返し書いてきた。
JPモルガンを中心とするウォール街を慌てさせる出来事が1932年に起こったことも書いてきた。ニューディール派のフランクリン・ルーズベルトが次期大統領に選ばれてしまったのだ。このニューディール派政権を倒してファシズム体制を樹立するため、1933年から34年にかけてウォール街がクーデターを計画したことは海兵隊の伝説的な軍人、スメドリー・バトラー少将によって暴露された。この構図は1945年4月にルーズベルトが急死するまで続く。(つづく)